さて、これまでの考察で、実は硝子は単行本2巻の巻末の時点ですでに将也に(かなり明確な)好意をいだいていた、ということが判明しました。

そうすると、好きになってから告白するまで、実は単行本3巻1冊をまるごと使っていることになりますから、全7冊といわれているこの作品の中では、実は「ある程度時間をかけて」告白にいたっている、ということになります。
それが唐突に見えるのは、少なくとも部分的には、私たち読者が「ものすごく鈍感な将也目線」だけで物語を読まされているからなのだろうと思います。
そこで、第3巻で登場するさまざまなイベントを、「既に将也のことが好きな硝子(と、そのことに気づいている結絃)」の視点から見直してみると、この第3巻がまったく違ったものに見えてくることに愕然とします。
それこそ、「硝子からみた第3巻」だけでスピンオフ小説が1冊書けてしまいそうなくらいです。
・佐原の話題が出た端の上でのやりとりの時点で、既に恋する女子モードだった(これは番外編2で描かれているとおり)
・このとき将也のメアドを聞かなかったのは、結絃経由でとっくに聞いていたから
・将也の佐原探しに付いていったのは、将也と一緒にいたいという気持ちが強かったから
(冷静に考えると、硝子自身が佐原といきなり会うというのは、佐原を傷つけた、という経緯からすると少しデリカシーに欠ける行動とも言えるが、将也への好意がまさってしまった、と考えられる。天使も人の子。)
・たぶんこのデート?をお膳立てしたのは結絃。永束から連絡を受けて硝子をたきつけて連れていき、自分は永束ともども「気を利かせて」帰った

(第3巻17ページ、第15話)
・3巻の表紙はこのときの二人だが、ここでの硝子の笑顔は、すでに将也への好意を含んだものだということに
・電車のなかで自分からメールを送ったのも、将也に対する精一杯のアプローチ、積極性のあらわれ。さらには将也にメアドを提供するため
・そんな将也から猫ポーチを送られて、それはうれしかったはず。お返しのプレゼント選びも気合いが入りまくりだったはず
・そこに突然植野登場、修羅場が展開され、将也はことばを濁して詳細を語ってくれない
・その翌日、不安な気持ちを何とか振りきっていつもの橋でお返しのプレゼントを渡そうとしたら、なんと再会後はじめて橋にこなかったことで疑心暗鬼に
・スパイ結絃を石田家に派遣、結絃も植野情報を存分に収集していい仕事をする(どこまで硝子に伝えたかは不明なものの、二人は付き合ってないくらいは最低限伝えただろう)。
・次の火曜日、髪型も変えて気合いを入れて待っていたが緊張のあまり帰ってしまったが、帰り道で偶然将也に出会って勢いで「うきぃ!」
なんか「将也目線」と全然違う話でワロタ。
こうやって整理してみると、硝子は小学生時代からかわらず、「こいつと仲良くなりたい」と思ったら躊躇せずにガシガシと相手との距離を縮めてくる、かなり積極的な性格の持ち主であることが浮き彫りになりますね。
そして、こうやって整理してみると、少なくとも硝子にとっては、あの「うきぃ」はそれほど唐突でむちゃくちゃなことではなくて、自身の感情に素直に行動するなら、あのタイミングで言ってしまうというのも「十分ありえる」ものだった、と私には思えます。
ラベル:第15話









