
第1巻42ページ、第1話。
デラックス事件後、ペドロはわずか1コマだけ登場して、将也に「お前を守る」と伝えました。
でも、その割にはその後消えてしまって、将也を守ることもなく、せいぜい、マリアが色黒であることの理由づけ程度の役割しか与えられていませんでした。
ですから、ペドロは今回「いきなり現れた」のではなく、「元々ここで役割が与えられていて、それで現れた」のだ、と考えたいですね。
では、その、ペドロが最終回で与えられた「役割」とは何でしょうか?

第62話、3ページ。
私は、大きく2つあると思っています。
1つは、せっかく将也がペドロから受け継いだ「美徳」である「お前を守る」を、ペドロ自身がちゃんと体現する場面が必要だった、ということです。
登場回数がわずか1回だったにもかかわらず、ペドロの「存在感」があまり薄れなかったのは、もちろんキャラクターとしての存在感の大きさもあったと思いますが、恐らく1つには、ペドロの「お前を守る」という価値観がそのまま将也に乗り移り、将也がずっと「硝子を守る」という価値観で生き続け、そしてそれが物語を引っ張ってきていたからだ、ということがあると思います。
将也は、ペドロから受け継いた「お前を守る」をちゃんと実現しました。
でも、このまま肝心のペドロが出てこなければ、ペドロ自身は、パートナーとして選んだはずの石田姉や、実の娘マリアを「守って」いないことになってしまいます。
ですからペドロは、最終回に登場して石田家に戻ることで、自身が誓っていたはずの「お前(石田姉、マリア)を守る」をちゃんと実現する姿を描かれたのだ、と思うわけです。
そして理由の2つめですが、ペドロの復帰は、石田姉やマリア、さらには石田母(さらにはペドロ自身)に、「エンディングとしての救済」を与えるためだった、ということだろうと思います。
第7巻で、将也をとりまくすべての人物には多かれ少なかれ「救い」が与えられて、ささやかな幸せを手に入れています。
詳細は別エントリで書きたいと思いますが、これは、「救世主としての将也」が覚醒し、周囲の人間をみな救済したのだ、と考えずにはいられません。
その一環として、将也のいちばん身近にいる家族である姉やマリアにも、将也の「救済」の力が働き、ペドロが帰ってきたのだ、と思うわけです。
さて、ペドロはかつて将也に「お前を守る」と言いましたが、実際に帰ってきたペドロが守らなければならないのは、マリアをはじめとする自分の子どもと家族でしょう。
今はかわいがられているマリアも、これから学校に行くようになれば、肌の色ゆえの差別にさらされることも十分考えられます。それは次の子どももそうでしょう。
そんなときに、一番頑張らなければならないのは、間違いなく父親であるペドロです。
ペドロにとって、これからの石田家での人生が幸せで充実したものになることを祈らずにはいられません。

エンディングに心を打たれました。打ち切りのような終わり方、に納得です。
あえて多くを語らず、読者にゆだねる。実質新人の作者による作品とは信じられないほど充実していました。
最後のコマを見て、二人の幸せを祈らずにはいられませんでした。それほどに余韻が残っています。
ペドロが石田家にもどり、広瀬も父親になったことで(どちらも見過ごしがちなキャラでしたけど)、作品を貫いていた「父親不在」の世界も終わりを迎えました。
これまでの将也と硝子の物語が一旦ここで幕を閉じ、ここから二人の新しい物語が始まるというメタファーなのでしょうか。
改めて、このマンガに出会えたことをうれしく思います。
竹内や喜多先生ではなく姉とマリアの救済が描かれるとは…
家族を守る男の役目は将也から彼に返されるのですね。
余韻のある、いい終わり方でしたね。
大今先生は「語らずに見せる」という描き方がちゃんとできるので、こういうシーンは本当にうまいと思います。
「父親不在」というのがラストでかなり緩和されましたね。
石田家は家族が増え、西宮家はどちらかというと減って、西宮母も石田家に出入りしていて、西宮家は家そのものがだんだん石田家に吸収されていっているようにも見えます(^^;)。