今回は、「3バージョンの間の微妙な違い」についてです。
ちなみに、今回の「Wikiっぽいもの」は、「完全に客観的でフラットな最大公約数的な解説をする」のが目的ではありません(そこが「っぽいもの」たる所以でもあります)。
それよりは若干踏み込んで、「明確に描かれていないことでも、多くの人が同意するであるような解釈や人物像はむしろ積極的に盛り込む」という内容を目指しています。
バージョンごとの主要な相違点
・オリジナル版・読みきり版は小学校時代の硝子いじめから高校になって将也と硝子が再会するまで。連載版は読みきり版の期間に加えて、硝子が転校してくる前の将也の小学校生活と、再会後の高校生活を含む。
・連載版は、物語の視点を主人公である将也からのものに原則限定しており、特に硝子からの視点はまったく登場しないが、オリジナル版・読みきり版はそうではなく、硝子視点の部分が存在する。特にオリジナル版では将也視点と同等のボリュームで硝子視点が使われている。
・オリジナル版では硝子が転校してきたという描写はなく、長く同じ学校に在籍しているように見える。読みきり版、連載版では、硝子は将也の通う小学校に転校してきて、半年ほどでまた別の学校に転校していく。
・オリジナル版で登場する小学校の教師は担任の竹内だけだが、読みきり版・連載版では、「きこえの教室」の喜多先生も登場する(校長先生も登場)。さらに喜多の設定は読みきりと連載で微妙に異なり、連載版の方が経験がなく熱意だけが空回りする無能さが強調されている。
・硝子の障害の度合いに微妙な差がある。オリジナル版では、ある程度の聴力は残っている一方で発話はかなり拙く母音しか出せない。読みきり版では、中度以上のかなり重い聴力障害をもち、発話はほとんどない(3バージョンを通じて最も重い設定)。連載版では、聴力は読みきり版と同様とされている一方で、発話は子音も含めてある程度できる(訓練を積んでいる)ようになっている。
・あとのバージョンになるほど、小学校時代のクラスメートが増えている。オリジナル版→読みきり版で増えているのが広瀬、読みきり版→連載版で増えているのが佐原。(もちろんそれ以外でも、特に連載版では多くのキャラクターが増えているが、その点は省略。)
・将也がいじめられる側に転落したあとの、それまでの友人に対する将也の感情が異なる。オリジナル版と読みきり版では、「(すぐに手のひらを返す)こんな奴ら」とすぐに友人関係に見切りをつけるが、連載版では「あんなに仲がよかったのに友達は変わってしまった」と、失ってしまった友情への未練を引きずり、それが高校時代まで続く1つのトラウマとなっていく。
・硝子が去ってから再会するまでの間の将也の境遇が異なる。オリジナル版・読みきり版ではその過程は多くは語られず、将也は普通の中学・高校生活を送っていたように描かれているが、連載版では中学までいじめが継続し、高校でも孤立して幻聴が聞こえるまでにメンタルにダメージを受け、自殺をするつもりで硝子と再会する。
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