前回みた「幻聴」よりも、はるかにわかりやすく将也のメンタル面での問題を象徴していて、かつこのまんがを非常にユニークなものにしている描写、それは「クラスメートの顔についた×印」ですね。
この×印は、将也のどういう思いを示しているものだと考えるのがいいでしょうか?
そのヒントとして、この×印が最初に登場する、第1巻最終話の第5話をみるのがいいと思います。
第5話はサブタイトルが「拒絶人間」となっています。
この「拒絶人間」というのが将也自身のことを指しているのは間違いありません。
そして、この話の将也のモノローグを追っていくと、「俺は孤立した(1巻171ページ)」→「俺は孤立を自分から選ぶようになった 自分は本当は孤独ではないと思い込むためなのかもしれない(178ページ)」とつながっています。
そして、第5話での限定版CDをめぐる島田・広瀬とのやりとりが最後の決定打になったのだと思います。
将也は他人とかかわることの難しさ、本当に自分は孤立していてどうにもならないんだという事実に打ちのめされてしまったのでしょう。
つまり、この×印というのは、将也が「自分は孤立している」という事実から目を背けるために、「自分が拒絶しているんだ」と思い込んでいること、それを象徴的に表したものである、ということが言えると思います。つまり「拒絶の×印」というわけです。
ですから、日々会うことのない、クラスメート以外のその辺の人たちには×印がついていないですし、×印がついたクラスメートであっても、相手からの何らかのリアクションがあったり、興味の対象になったりして、将也にとって「自分から拒絶する」必然性がなくなったときには、あっさり×印がとれてしまうわけです。
今のところ、下記の3人について、
永束:自転車パクられ事件以降友達になったから(第8話)
真柴:「自分と友達になりたい」と言ってくれたから(第24話)
川井:硝子ポニテ事件の直後に髪型を変えたことに興味をもったから(第24話)
といった理由で、×印が外れていますね。
特に、「はじめて×印が取れる」イベントとなった、永束との自転車事件の際には、その×印がとれる瞬間がドラマチックに描写されています(第2巻65~66ページ、第8話)。


でも逆にいうと、ずいぶん友人関係が広がってきたにもかかわらず、「その他大勢」のクラスメートの×印はいまだに取れていません。
これは、比較的理解のあるクラスメートや硝子姉妹などに支えられて交友関係が広がってきたとはいえ、将也のメンタルは本質的にはまだ弱ったままで、とても回復したといえるような状態にはない、ということを示しています。
おそらく、エンディングに向けて、どこかのタイミングですべての×印がなくなる日がくるのでしょう。
それと、言うまでもないことですが、上記の「×印のルール」にあてはまらなくて×印がついてる人があと2人います。
それについてはまたエントリを分けて書きたいと思います。
