2014年04月20日

なぜ硝子はいつもリュックなのか?

「聲の形」を読んでいると、すぐに気づくことがあります。

それは、硝子が常にリュックを背負っていることです。
硝子のリュック姿はそれこそありとあらゆる場面で見られますが、例えば第3巻23ページ、第16話で、将也と一緒に佐原を探しに行くシーン。



将也はショルダーバッグなのに対して、硝子はいつものリュックを背負っています。

これ、なぜなのかな、と思って少し調べたら、すぐに分かりました。

「手話をするときに邪魔にならないように」

ということのようです。
実際に手話を使っていらっしゃる方の意見として、リュック以外だと両手が自由にならない場合があって不便だ、といった話を見かけました。

なるほど、そういうことなんですね。

ちなみに、硝子のリュック以外の姿を探してみたところ、小学校時代、第1巻133ページ、第3話で石田母と西宮母が話し合っている間、待っているときにポーチ風のショルダーバッグ(たぶんおばあちゃんの手作り)を下げている姿が見つかりました。


ラベル:第03話 第16話
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2014年04月22日

植野の「ずっと好きでした」の真相とは?

はい、これは絶対に1つの結論にまとまらないネタだということは覚悟してます(炎上系?(笑))。


第3巻103ページ、第20話冒頭、勘違いした永束が見せびらかす「ずっと好きでした。」

ですので、ここでの結論はあくまでも個人的な私見ということで。(まあ、他のすべてのエントリもそうですが)

植野に対する疑問として、何よりも最初に出てくるのは、小学、中学、高校と、5年もほったらかしにしておきながら、なぜ高校3年になって急に将也を熱心に追いかけ始めたのか、そしてそもそも、「ずっと好きでした。」というのは本当なのか、という点、つまり「植野の将也への恋心とは、実際のところどういう経緯をたどったどういうものなのか、ということに尽きるでしょう。

この疑問には、植野と島田との関係や、永束が罵倒されたときに登場するガラの悪そうな「健脚コンビ」は何者なのか、といった別の謎もからんでくるのですが、ここではその辺りはいったん議論の対象から外し、将也と植野の関係だけに話題をしぼって考えたいと思います。

ただ、1つ考えていることとして、植野が中学・高校時代に将也を想って他の男性との交際を絶っていた、ということはないと思います。
植野にとって将也は、高校3年で再会しなければそれっきりの「苦い初恋の想い出」で終わっていた、そういう対象だったはずです。

まず、確実な前提として、植野が小学校時代から将也のことを好きだったこと、これは間違いないですね。
わざわざ将也の理髪店に通ったり、席替えのときに佐原と席を交換して将也の隣に座ったり、これはもう明らかすぎるくらい明らかです。

そして、将也がスクールカースト最低辺に転落し、いじめられるようになったあとも、よく読むと植野だけは将也いじめの輪に入ることに躊躇ないし抵抗しています。
だから、再会後に植野が言った「小学・中学時代にハブられてたときに声をかけられなくてコーカイ?」というセリフも信じていいものだと思います。

さらに、植野は川井と連絡を密に取り合う仲であること、これも明らかです。

これらを総合すると、私はこういう「物語」があったのではないか、と推測します。

植野は、小学校の頃から将也のことが好きだった。
でも、将也がいじめられるようになってからは、それをかばうだけの勇気はなく、消極的ながらも将也をいじめ、無視する側に身をおかざるを得なくなった。

そのことを植野はずっと後悔し、後ろめたく思っていたので、中学卒業後も会いに行く勇気もきっかけも作れなかった。
3年以上も将也へのいじめを黙認し、将也が壊れていくのを見ていた植野にとって、これは自然な感情だった。
いじめを受け続けた将也が、かつての「自分が好きだった」頃の元気な様子をすっかり失ってしまったまま、中学を卒業していったことも、その後会いに行こうと思えなくなってしまった理由のひとつだった。

そんなとき川井から、将也が川への飛び込みで停学処分を食らったこと、佐原と連絡をとろうとしていたことを知る。
それとなく佐原に聞いてみると、将也と実際に会ったということ、そして元気だったという話も聞いた。
植野は、高校3年になって、ようやく将也が元気になり、かつての「自分が好きだった」頃の姿を取り戻したんだと確信した。

とはいえ、最初からいきなり会いに行くのはきっかけもなくて話題に困りそうなので、ネコミミと尻尾を用意して、将也の通りそうな道で待ち伏せしてわざと近くをすれちがった…
ところが、そのときの反応が「好きだった頃の将也」ではなくむしろ「壊れてしまった将也」のままだったので、そこではあえてそれ以上踏み込まず、割引券だけ渡して立ち去ることにした。
そうしたらバイト先にも来てくれたので、やっぱり何だかんだ言っても「行動力のある将也」が戻ってきていると感じた。

ところが、将也は会員登録せず立ち去ってしまおうとしたことから、連絡先を手に入れようと思っていたのに失敗した植野は、想いがあふれて思わず「ずっと好きでした」のメモを書いてから、追いかけてきて猫ポーチを渡した…



この、第3巻99ページ、第19話での描写にあるとおり、猫ポーチを渡すのに走って汗だくでおいかけてきていることから、あのメモはあらかじめ用意していたものとは思えません。
慌てて書いて、それから追いかけてきたから距離が離れてしまっていたと考えるほうが自然ですね。

ともあれ、植野の将也への気持ちは、そんな「ずっと燃え続けていた」といったようなものではないと思いますが、消えない気持ちとして植野の中にずっとあり、そして、再会後は一気に盛り上がって現在に至る、そういうものだと思います。
ラベル:第20話 第19話
posted by sora at 23:02| Comment(4) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする

2014年04月24日

第22話・結絃の「用事」って何だった?

第22話で、結絃がわざわざ将也の家にきて、しばらく遊んだあと、「(用事は)終わってないけど帰るか」と言って帰ろうとするシーンがあります。(第3巻148ページ、第22話)



いったい、結絃の「用事」って何だったのでしょうか?
そしてまた、なぜ結絃はその「用事」を終わらせることなく帰ろうとしたのでしょうか?

これは実は簡単です。
来訪時、結絃が持っているものをよく見てみましょう。第3巻146ページです。



結絃が手提げの紙バッグを持っているのが分かります。

そしてこれは、よくみると、前話(第21話)で硝子が「猫ポーチ」のお返しとして将也のために買ってきたプレゼントであることに気づきます。
将也は、せっかく硝子がプレゼントを持ってきた日の橋に、再会してから初めて行かなかったのがこの日だったわけです。

つまり、結絃の「用事」とは、硝子から託されたお返しのプレゼントを、将也に渡すことだった、ということになります。
こんな「用事」をわざわざ結絃が自分から買って出てやるとは到底考えられない(次の週に橋で渡せばいいわけですから)ので、硝子が結絃に頼んで持っていってもらったということになるでしょうね。

でも、なぜ硝子はそんなことをしたのでしょうか?
そしてなぜ、結絃は実際にはプレゼントを渡さずに帰ろうとしたのでしょうか?

硝子は、前の月曜日、植野と将也との「修羅場」に遭遇して、しかも翌日に将也が橋に初めてこなかったことで、もう将也は自分からは離れていってしまうかもしれない、と考えたのではないでしょうか。(そしてそういう状態になったことで初めて自分の中の将也への気持ちに気づいて、翌週の「うきぃ」につながったともいえますが)

だから、それならお返しだけ渡して、その後橋に来なくなって終わりなら仕方ない、という気持ちで、プレゼントを結絃に託したのではないかと推理できます。

一方、結絃は、この時点で植野が将也のことを好きだということを知っています。
さらに、硝子から話を聞いているかどうかは分かりませんが、もしかすると月曜日に「植野と再会した」みたいなことくらいは結絃に話したかもしれません。
いずれにせよ、結絃は、将也をめぐる硝子と植野の三角関係を察して、それが将也が橋に来ず、また硝子がプレゼントを自分に託した理由なのだろうと考えたのではないでしょうか。

そこで結絃は、将也に植野のことについて聞きました。
ここで、もし将也が植野のことを好き、もしくはつきあっていると答えたなら、結絃はプレゼントを渡して帰ったと思います。
でも、将也は「友だち以下」とまで言って否定しました。

一方で結絃は、将也が猫ポーチを硝子にプレゼントしようとしているときのそぶりから、将也は無意識のうちに硝子に惹かれていることに気づいており、さらに橋での「ニッコォ!」で、硝子も将也に好意を持っていることにも気づいています。

こういった状況を総合的に勘案して、結絃はあえてプレゼントを渡さず、そのまま持ち帰って、硝子自身が橋で渡すように促すことに決めたんだと思います。

実際には、そのあとで植野が登場して、結絃は将也と植野の関係をより深く知ることになるわけですけどね。
ラベル:第22話
posted by sora at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする

2014年04月25日

第22話・結絃が背中に隠したものは?

昨日のエントリに続き、策士・結絃シリーズ第2弾です。

第22話前半で、いったん持っていった硝子から託されたプレゼントをあえて渡さずに持ち帰るという策士ぶりを披露した結絃ですが、その次の火曜日の橋でも、策士ぶりを遺憾なくはっきしています。

第3巻161ページ、第22話で、佐原が「お腹痛いって さっき帰っちゃった」と言っているコマをよく見てみましょう。



結絃が、背中に回した手で何かを隠しています。
これは、一体何でしょうか?

これは、この後の結絃の動きと、さらに第23話で硝子と再会した後の会話までを含めて考えると、はっきり答えが出ます。

結絃が背中に隠しているのは、鯉にあげるパンです。

そして、なぜ隠しているのかといえば、将也にパンを買いに行かせるためです。

なぜパンを買いに行かせようとしたのかといえば、その道中で硝子と会わせようとしたからです。


よくみると、パンを背中に隠しているコマの次のコマで、結絃はスマホで何かを確認しています。
これは、GPS監視機能を使って、硝子のいる位置をチェックしたのだと思われます。
そして、硝子の現在地と帰宅ルートを考慮し、途中ではちあわせるよう、将也に「必ず駅前のパン屋で」パンを買いに行って来い、とけしかけたわけです。

だから、硝子と出会ったときに、結絃はパンを持ってるはず、食べちゃったのかな、という話になったわけですね。

では、なぜ結絃は将也を帰宅途中の硝子と会わせようとしたのでしょうか。
ここで、先ほどのスマホを覗いているときに結絃が言っている「まー オレはでたらめだと思うんだけどな」というセリフがヒントになります。

つまり、結絃は硝子が「仮病を使ってその場から逃げた」と思っているわけです。
しかも、結絃は硝子がポニーテールという「超勝負ヘア」で橋に来ていることも知っています。

硝子は相当に気合を入れてプレゼントを渡そうとして、気合が入りすぎて緊張のあまり「仮病を使って」帰ってしまった、ということに、結絃は気づいていたということになりますね。
だから、この時点ですでに結絃は硝子の将也への気持ちを察していて、かつ、それは「とてもいいことだ(応援すべきことだ)」と考えていた、ということになります。

そこで、持っているパンを隠し、GPSで硝子の居場所を確認し、途中ではちあわせるようなルートを通るようパン屋を指定して将也にパンを買いに行かせる、という作戦を決行したわけです。

結絃…とんでもない策士ですね。

そして実際にふたりははちあわせ、あげくに「うきぃ」となってしまうわけですから、この第22話から「遊園地編」あたりまで、結絃が物語を動かしてる感が半端ないですね。
ラベル:第22話
posted by sora at 22:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする

2014年04月29日

第23話の「月」の見えについて再考察

さて、以前のエントリで、第23話で非常に重要な役割を果たす「月」について、夕方に満月は高く上がらない、ということを書きました。



この「うきぃ記念日」について、私のカレンダーでは「6月3日」だと推定されましたので、今回、さらにもう少し深く、この日ピンポイントの月の見えについて考察してみました。

今回は、カシオ計算機が提供している、こちらのサイトをつかってみました。
http://keisan.casio.jp/exec/system/1236679789
月の出月の入り(日本地名選択)

こちらに、地名ではなく緯度経度を入れて、大垣市の6月3日の月の出・月の入りを調べてみます。



そうすると、6月3日は月齢5.3、三日月より少し太くなった上弦の月が出ていることが分かります。
そしてこの時期は、夕方にちゃんと月が高いところに見える、「夕方に月を見る」には最高の時期だということがわかります。月の出が9時21分、最も高いところに上がる(南中)が16時9分、月の入りが22時51分です。

つまり、この第23話の描写ですが、月の満ち欠けの違い以外は、将也がこのくらいの時間(夕方5時に手話サークルが終わり、その後鯉にえさをやる時間帯の後ということで夕方6時くらい?)に空を見あげると、確かに月は高いところに出ている、ということが言えるのです。

ちょっと遊んでみました。
実際に見えるのはこんな感じでしょうか。


(改変ありのコラ画像)

誰かから怒られたら削除します(^^;)。
ラベル:第23話
posted by sora at 17:54| Comment(1) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする
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