2014年04月12日

伝説の23話・将也の最高のイケメン発言は?

さて、伝説の第23の話題をまだまだ続けます。

第23話で、硝子は、将也とのやりとりの後、衝動的に自分の気持ちを将也に伝えようとします。

では、その直前のやりとりで、「決定打」となったのはどの発言なのでしょうか?

私は間違いなく、ここだと思っています。



一生懸命自分の声で話した硝子は、ふと冷静になって、「私、声、変?」と将也に訊ねます。

それに対する将也の答えは、

「うん。」

でした。
そのストレートな答えに落ち込む硝子。

そんな硝子の様子に、将也は焦りつつも、こんな言葉を返すのです。



「それで、いいから」

これはすごい。
ほんとにすごい。
この言葉は、きっと硝子の胸に深く深く刺さったと思います。
もちろん、いい意味で。
それこそ「一瞬で惚れてしまう」くらいに。

もしこれが、最初の質問に対して将也が「いや、変じゃないよ」と答えていたら、ここまでの「力」はなかったでしょう。

硝子の声は、客観的にいって、「変」と言わざるを得ません。
それを「変じゃない」と答えるのは、まあ率直にいって「優しい嘘」だと思います。

逆に、たとえばこれが硝子の母なら、「変」→「だからしっかり矯正しなさい」になると思います。

将也の答えは、そのどちらでもありません。

「変、だけどそれでいい。」

ありのままの硝子を、障害があっていろいろ「変」なことも含めて、そのまますべて受け止める。
これはまさに、本質的には愛の告白に近いくらいの発言で、最高にかっこいい、「超イケメン発言」だと言っていいと思います。

だから、硝子の「うきぃ」は、この「将也の側からの告白?」に対して「応えた」という側面だってあるわけです。

そう考えると、ますますこの23話の「多重性」、奥の深さが染み渡ってきます。

23話、本当に本当に、味わい深い「伝説の回」です。
ラベル:第23話
posted by sora at 18:33| Comment(6) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする

2014年04月13日

第21話・植野の泣き笑いのわけは?

第3巻、ベストの神回はおそらく第23話で決まりですが、それに匹敵する圧倒的な密度をもつ回が第21話だということは間違いないでしょう。

さて、今回はこの第21話をとりあげたいと思います。

将也の自転車を転倒させてまで、強引に西宮と再会をはたした植野が、将也をdisりながら笑っているのですが、なぜかだんだん泣き笑いになっていく、単行本130ページ~131ページの場面です。


          ↓

          ↓


このあと、立ち去った植野は泣き笑いどころか思いっきり泣きじゃくっていたところを将也に目撃されるわけですが。

なぜ、ここで笑っていたのが泣き顔になっていったのか、ちょっと考えてみます。

まず、植野は将也のことが好きだった、というのが前提にありますね。
そして、何らかのきっかけで(ここが実はいまだに物語の中で謎ですが)その想いが再び盛り上がって、猫耳での出会いを演出したり、猫ポーチに「ずっと好きでした」という手紙を入れたり、さらには川井を通じてメアドを渡そうとしたり、あげくにそれらがことごとく失敗しても、直接学校に乗り込んで自転車の後ろに乗っかる、と、猛烈なアプローチをしかけてきたという場面なわけです。

ところが、想いをこめた肝心の猫ポーチは、手紙が間違って永束に渡ったどころか、本体?は自分が嫌いだった硝子に将也がプレゼントしていた、という事実を知らされます。

ここで植野は、将也と硝子が親しい関係にある、ということを察するわけですね。
そして、無理やり自転車を止めさせて硝子のもとに(したたた!と)走り、小学校のころの「硝子いじめの場面」を再現し、さらにはその場をとりつくろおうとする将也を嘲笑することで、二人の関係を(もしあるのだとすれば)台無しにしようと試みました。

その結果がこの130~131ページになります。
結果的に、植野は将也と硝子の関係が思っていた以上に深いことを悟り、再起不能なくらいのダメージを受けることになっています。

1.将也が手話で硝子と会話していること。
 将也が手話を勉強する動機なんて、硝子以外には考えられない。
 しかも、手話を勉強するには恐らく何年もかかる。それだけの努力を、それだけの長い期間、硝子のためだけにしていたことになる。
 硝子も将也に手話で話しかけており、二人の間で手話での会話が当たり前になっていることも窺わせる。
 
2.将也が植野とのことを「さっき偶然会ってさ」とごまかしている。
 将也は硝子に対して、植野とのことを「さっき偶然会ってさ」と説明しているが、実際には、植野ははっきり意識的に会いにきているわけですから、この説明にはかなりごまかしがある。
 ごまかす理由は、「硝子に植野とのことを誤解されたくない」ということしか考えられない。
 対照的に、猫ポーチが硝子の手にある理由については、将也は「自分があげたんだ」と明言しており、硝子との親しい関係を隠そうともしていない。
 この非対称性は、将也の、硝子と植野に対する明確な意識の違いを表しているとしか思えない。

この2つの残酷な現実をつきつけられ、「この場」を笑い飛ばそうとした植野は、逆に「最初から自分が負けている」ということに叩きのめされてしまいます。
それで、笑いがだんだん泣きに変わっていき、その場にいられなくなって去っていくことになるわけですね。

それにしてもこの場面、植野が「両目開き」→「片目開き」→「両目閉じ」に変わっていくのも面白い表現ですよね。

第21話の話も、もう少し続けようと思います。
ラベル:第21話
posted by sora at 10:15| Comment(2) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする

第21話・なぜ硝子は「またね」を返さなかったのか

高校になってからの再会後、硝子は将也と別れるとき、常に「またね」という手話をします。

考えてみると、最初の再会のときに、最後に硝子が「またね」とやってくれたからこそ、将也は「また会っていいのかも」と思い、火曜日ごとに手話サークルに通った(そのたびに結絃に邪魔されましたが)わけです。

そして、第3巻70ページ、第18話では、硝子からの「小学時代のクラスメートで自分が会いたい人はいないのか」という問いかけに、将也のトラウマスイッチが入ってしまってどなりつけられてしまった後ですら、硝子は「またね」とやって、結絃から「”またね”じゃねーって ねーちゃん!」と怒られています。(ここで将也が「やさしい」とか思ってるところが妙な味わいをかもし出していますが(笑))



そんな硝子が、唯一、ふだんと違ったリアクションをとったのが、まさに第21話、植野と将也のやりとりを目の前で見せつけられた後です。

補聴器を奪われ、何も聞こえない状態で激しく何かを言う植野、顔面蒼白の将也。
植野が去った後、硝子は将也に、いったいどんな話をしていたのかを聞きますが、将也はごまかして答えようとしない。
ここで硝子にしては珍しく、強い口調で(実際には手話ですが)将也に話してくれと迫るのですが、それでも答えず、去っていく将也に対して…




将也が「また」と言って「またね」の手話をして見せたにもかかわらず、硝子はここで初めて、「またね」を返さず、ただ愛想笑いを浮かべただけで見送ったのです(第3巻132~134ページ、第21話)。

将也も明らかに状況の異様さを察知していて、「またね」が返ってこなかったことにショックを受けていることが分かります。

なぜ硝子は「またね」を返さなかったのでしょうか?
簡単にいえば、植野と何を話していたか知りたかったのに教えてくれなかったからがっかりした、ということなんでしょうが、たぶんもう少し深いところに理由はあるでしょう。

こちらのカレンダーを見れば分かるとおり、この「事件」は、第18話で将也が「会いたいクラスメートはいない!」と激高した日から1週間たっていません。

会いたいクラスメートがいないはずだった将也が、目の前でかつてのクラスメートの植野と痴話げんかっぽいことをして、修羅場っぽくなっている。
(恐らく、硝子は植野が将也のことをかつて好きだったことも気づいていたでしょう。)
そして、将也に何が起こったのか、何を話したのかを聞いても、何も話してくれない。

これはいよいよ何かありそうだ。

硝子は、将也と植野はつきあっていて、もしかしたらそれを自分が邪魔しているのかもしれない、と感じたのではないでしょうか。

だから、将也の「またね」に対して、「またね」と返さず、愛想笑いだけを返したのではないでしょうか。

そして、この事件こそが、恐らく硝子自身の将也への想いが恋愛感情であることを、硝子が自覚するきっかけになったんじゃないかと思います。

そしてうきぃへ。

第21話語りはまだ続きます。
ラベル:第21話
posted by sora at 22:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする

2014年04月18日

植野とにゃんにゃん倶楽部をめぐる矛盾

さて、以前から「神回」としてご紹介している第3巻の21話(通称「植野回」)ですが、1つ、どうしても解決できない矛盾(だと私が思っている点)があります。

それは、第3巻138ページの、ここです。



将也「お前の店に行ってみたのも 夢みてたんだ もしかしたらお前と西宮も友達になれるかもって」

ここで将也は、植野のバイト先「にゃんにゃん倶楽部」に自分が行ったことを、植野も知っているという前提で話しています。

ところが、将也は、「自分がにゃんにゃん倶楽部に行ったときに植野がいた(あの店員が植野だった)」ということに気づいていないことになっているのです。
例えば、これより後の第24話(第4巻収録)で、永束が「にゃんにゃん倶楽部の子」とつきあっていると思っています。もしあれが植野だと分かっていたら、こんな想像はするはずがありません。

となるとおかしくなるのです。
将也は、にゃんにゃん倶楽部に1度しか行っておらず、会員登録もしませんでした。
そして、あの店員が植野だとも気づいていません。

だとすると、将也からみると、

・植野はにゃんにゃん倶楽部の店員(だろう)けれども、行ったときには会えなかった。
・行ったときに会員登録しなかったから、自分が行ったという痕跡は残っていない。


という認識になるはずで、だとするとこの21話で「お前の店に行ったのも…」といきなり話し始めるのはどう考えてもおかしいわけです。

これがもし仮に「実は、割引券をもらったあと、お前の店には一度顔を出したんだ。お前の店に行ってみたのも…」みたいな会話だったら、まったく不自然はありません。

でも、「植野が、自分が行ったことを知っている」かのような、この会話はとても不自然だと思うのです。

これは、いまだに解けない謎(というか、現時点での自分の中では「矛盾」)だと思っています。
ラベル:第21話
posted by sora at 20:41| Comment(7) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする

2014年04月19日

メアド通知メモに現れた植野の想いとは?

続いて第21話の「植野回」のネタ。

この回、いろいろなところに「将也を想う植野の切実な気持ち」が強く現れた場面がてんこ盛りなわけですが、今回はそのなかでも、よく見ないと見逃してしまう、「植野の気持ち」がはっきり現れた場面をご紹介したいと思います。

それは、第3巻113ページ(もちろん第21話)で、川井が植野のメールを将也に伝える場面です。



川井はここで「あのね なおちゃんが石田君と連絡とりたがってるみたいなんだけど これにメールしてあげてくれる?」と言っていますが、このメモをよく見ると、メアドだけじゃなくて、

・メアド
・携帯番号
・自宅の番号


までびっしり書かれています。
わざわざ川井がここまでびっしり書くとは思えませんから、植野が自分で書いたメモ、もしくは植野が希望して川井にメモにそこまで書かせた、としか思えません。

なんとしても将也から連絡がほしい、という植野の気持ちが強く現れた場面だと言えるでしょう。
こんなよく見ないと分からないようなメモにまで「仕込み」があるというのはすごいですね。


ちなみに、このメモをよく見ると、植野のメアドが読み取れてしまいます(笑)。

nyaonyao29q@mocomo.co.jp

にゃおにゃお肉球@モコモコJP」となってますね。(マンガ上のでたらめメアドですのでメールしてはいけないですよ。)

面白すぎです。どんだけネコ好きなのかと。
ラベル:第21話
posted by sora at 16:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。