第23話で、硝子は、将也とのやりとりの後、衝動的に自分の気持ちを将也に伝えようとします。
では、その直前のやりとりで、「決定打」となったのはどの発言なのでしょうか?
私は間違いなく、ここだと思っています。

一生懸命自分の声で話した硝子は、ふと冷静になって、「私、声、変?」と将也に訊ねます。
それに対する将也の答えは、
「うん。」
でした。
そのストレートな答えに落ち込む硝子。
そんな硝子の様子に、将也は焦りつつも、こんな言葉を返すのです。

「それで、いいから」
これはすごい。
ほんとにすごい。
この言葉は、きっと硝子の胸に深く深く刺さったと思います。
もちろん、いい意味で。
それこそ「一瞬で惚れてしまう」くらいに。
もしこれが、最初の質問に対して将也が「いや、変じゃないよ」と答えていたら、ここまでの「力」はなかったでしょう。
硝子の声は、客観的にいって、「変」と言わざるを得ません。
それを「変じゃない」と答えるのは、まあ率直にいって「優しい嘘」だと思います。
逆に、たとえばこれが硝子の母なら、「変」→「だからしっかり矯正しなさい」になると思います。
将也の答えは、そのどちらでもありません。
「変、だけどそれでいい。」
ありのままの硝子を、障害があっていろいろ「変」なことも含めて、そのまますべて受け止める。
これはまさに、本質的には愛の告白に近いくらいの発言で、最高にかっこいい、「超イケメン発言」だと言っていいと思います。
だから、硝子の「うきぃ」は、この「将也の側からの告白?」に対して「応えた」という側面だってあるわけです。
そう考えると、ますますこの23話の「多重性」、奥の深さが染み渡ってきます。
23話、本当に本当に、味わい深い「伝説の回」です。
ラベル:第23話