2014年04月08日

硝子はどうやって将也のメアドを知った?

第3巻、第15話の冒頭で、将也はスマホを手に入れ、その日に向かったいつもの橋で、硝子のメアドをゲットしようとします。

ところが話題をふられた硝子は将也のメアドを聞こうとはせず、佐原のメアドを聞きます。



結局、将也は硝子とメアドの交換はできなかったわけですが、それなのになぜか、その後硝子と電車に乗って佐原を探しに行くときに、硝子から将也にメールが届くのです。



いったい硝子は、どうやって将也のメアドを手に入れたのでしょうか。

これは、ルートとしては恐らく1つしかありません。
第15話の冒頭で、永束が既に結絃とメアドを交換しているという事実が示されます。



そして、その後の橋のシーンで佐原のメアドを聞かれたとき、実は橋の下には結絃がいて、会話を(手話を)盗み聞き?盗み見?しています。(手話だから離れていても分かると思われます)
あのやりとりを見れば、普通に、「将也が硝子とメアドを交換したがっている」ということは分かるでしょう。

だから、将也のメアドは、将也から永束へ、永束から結絃へ、そして結絃から硝子に渡ったのだと考えられます。

そして、そう考えると実はもっと素直なストーリーが思い当たって、将也が硝子にメアド交換を持ちかけたときは、既に硝子は将也のメアドを入手していた、という可能性です。
そうであれば、将也から遠まわしに「メアドを知りたい人はいるか?」と聞かれたとき、質問を額面どおりに受け取って「(将也のは既に知ってるから)佐原さん」とナチュラルに答えてしまった(そして将也はがっかり)、という流れが考えられるわけですね。

そして、硝子のメアドにも伏線がひかれているのですが、それはまた次のエントリで。
ラベル:第15話
posted by sora at 23:49| Comment(3) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする

2014年04月09日

なぜ「ずっと好きでした」が永束の手に?

第3巻の非常に重要なシーンとして、永束と将也が「にゃんにゃん倶楽部」に偵察に行った帰り、店員(実は植野)から渡された猫ポーチのうち、なぜか「永束のほう」に「ずっと好きでした」という手紙が入っていた、というのがあります。(第3巻102~103ページ、第19話~20話)



なぜこの手紙が、永束の持っていた猫ポーチに入っていたのか、少し考察してみましょう。

こちらのシーンを見てください。





このコマの前で、永束は既に猫ポーチを受け取っています。

そして、店を出た後、追いかけてきた店員(実は植野)は、将也に猫ポーチを渡そうとしますが、手が滑って落としてしまいます。

その落とした猫ポーチを拾ったのは、将也ではなくて永束でした。

ここでポイントは、永束は右手で猫ポーチを拾っているということです。

そして次のページ「ほら将也、良かったな」と言っているページでは、左手で猫ポーチを渡しています。

つまりここで永束が将也に渡しているのは、もともと永束が受け取った猫ポーチで、店員(実は植野)が渡そうとした猫ポーチは、結果的に将也ではなく永束の手元に残った、ということがわかります。

これでお分かりですね。
店員(実は植野)は、猫ポーチに「ずっと好きでした」という手紙を入れて、将也に渡そうとした、ところがその猫ポーチを落としてしなって永束に拾われ、しかも入れ替えられてしまうというアクシデントがあったために、将也ではなく永束が手紙を受け取ってしまったわけです。

まあ、これが永束にとっては悲劇のはじまりでしたね・・・(笑)
ラベル:第19話 第20話
posted by sora at 21:29| Comment(1) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする

永束の将也の呼び名変遷

「聲の形」をずっと読んでいると、「ビッグフレンド」永束が、将也のことを呼ぶときの「呼び名」が、二人の友情が深まるにつれ少しずつ変わっていくことに気づかされます。

初めて永束が将也のことを「石田君」と呼ぶのは、将也が永束の自転車の代わりに自分の自転車を貸して、永束がその結果なくなってしまった将也の自転車を見つけ出してきたときでした。(第2巻65ページ、第8話)

その後、各話で永束が将也のことをどう呼んでいるかを集計してみました。(なお、この中には永束が将也本人ではなく別の人に対して将也の名前を出すときの呼び名も混ざっています。)

第8話 石田君
第9話 石田君 石田君 石田君 石田君 石田君 石田君 石田君 石田君 石田君
第14話 石田君 将也君 石田君 将也 石田君
第15話 石田君 ショーちゃん 石田君 石田君 石田君 やーしょー
第17話 石田君 将也 石田君 やーしょー 将也 将也
第18話 将也 将也 将也 しょうや
第20話 石田君 石田君 石田君 石田君 やーしょー
第24話 将也 石田君 やーしょー 石田君 やーしょー 石田君 やーしょー
第25話 石田君 石田君
第27話 やーしょー
第32話 やーしょー
第33話 やーしょー 石田君 やーしょー やーしょー やーしょー やーしょー やーしょー やーしょー

これはすごくはっきりしてますね。

最初の頃「石田君」と呼んでいた永束は、途中「将也」と呼ぶところを経て、最近はほぼ100%「やーしょー」と呼ぶようになっています。



この「やーしょー」という呼び名の記念すべき1回目は、第3巻15ページ、第15話になりますから、永束が「やーしょー」と呼ぶようになるまで、ちょうど1巻分の時間がかかっているということになりますね。

しかもこのとき、将也が「やーしょー?」と聞き返しているのが味わい深いです。

そして、第33話、映画製作の話での「やーしょー」の連呼にはちょっと笑ってしまいます。(^^)
posted by sora at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする

2014年04月10日

伝説の23話・月に関する2話

恐らくほとんどの「聲の形」ファンが知ってることだとは思いますが、せっかくなのでここでもとりあげておこうかと。(後半にオリジナルネタも盛り込みました)

「聲の形」前半の最大のヤマ場が、第3巻最終話、第23話の硝子の告白であることは誰も否定できないでしょう。

ところが、硝子がこの気持ちを手話ではなく、声で伝えようとした「思い」が裏目に出て、将也はそれを聞き取れず、「好き」を「月」と聞き間違えてしまいます。



その間違いに驚愕した硝子ですが、さらに将也はそこに輪をかけて、「きれいだね」と言ってしまう間抜けさ。



結局、硝子の想いは将也には伝わらず、硝子はテンパって走ってその場を逃げてしまいます。

ところが、このやりとり、別の見方をすると意味が全然変わってくるんですね。

このやりとりを整理すると、硝子が「好き」と言ったのに対して、将也は「月が綺麗だね」と答えていることになります。

そして、この「月が綺麗だね」というのは、かつて、かの文豪、夏目漱石が「I love you」の日本語訳として示したものである、という逸話が大変有名なのです。

”小説家・夏目漱石が英語教師をしていたとき、生徒が"I love you"を「我君を愛す」と訳したのを聞き、「日本人はそんなことを言わない。月が綺麗ですね、とでもしておきなさい」と言ったとされる逸話から。遠回しな告白の言葉として使われる。 ”


つまり、将也は実際には単なる聞き間違いをしているだけなのですが、結果として硝子の「好き」に対して(夏目漱石的には)「I love you」で返していることになるのですね(^^)。

第28話で、机の上にびっしり本が並んでいるところを見ても、第29話での結絃の話からしても、さらには先天性の聴覚障害であるにもかかわらずまったく違和感のない日本語を駆使できているところからしても、硝子は大変な読書家であることが想像され、恐らく夏目漱石のこの逸話も「知っている」でしょう。

そこまでふまえてこのやりとりを見ると、本当に、本当にこの場面って味わい深いんですよね。大今先生天才すぐる。



さて、これがネタの1つめ。
もう1つのネタは、「実はこの月の見え方はありえない」という話です。

もういちど先ほどのシーンを見てみましょう。




将也は、月をかなり高い目線で見上げて、見上げた先には満月が見えます。
また、このやりとりは橋での鯉へのえさやりの時間からそんなにたっていないはずなので、せいぜい午後6時前後だと思われます。

実は、月の形と月の出・月の入りにははっきりした関係があって、満月の場合、月の出がだいたい午後6時くらいです。

http://www12.plala.or.jp/m-light/keisan/sun.htm

こちらで、月齢15前後の日の月の出・月の入りを見てみてください。

ですから、月が満月の場合、午後6時だと普通の場所に立っている限り、月は出たばかりで建物の影に隠れて見えません。
恐らく7時半くらいになってようやく建物の向こうに低く見えてくる、といったくらいの感じです。でも、それでも「見える角度」は非常に低いわけです。

ところが、この場面で将也はかなり高く空を見あげています。
この高さの目線の先に満月があったら、もうそれは深夜です(笑)。

逆に、もし夕方6時半くらいに高く空を見あげて月が見えるとしたら、それは上弦の月のはずなんですね。

以上、23話に関する月の話題2件でした。

23話については、書きたいことがまだまだあるので、おいおい書いていきたいと思います。
ラベル:第23話
posted by sora at 21:49| Comment(1) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする

2014年04月11日

伝説の第23話・硝子はなぜ突っ走ったのか

さて、「聲の形」前半最大の山場となった第23話についての話を続けてみます。

そもそも、あの場面で硝子はなぜあんな大告白をしたのでしょうか?
彼女は最初から、あの日そういった行為に出るつもりだったのでしょうか?

私は、YesでもありNoでもあると思っています。

ただ、確実に言えることは、硝子はあの日、「もしかしたら自分の気持ちを伝えることになるかもしれない」とは思っていたのだ、と思います。
あの日、硝子は「ポニーテール」や「説明しないと男子高校生である将也には分からないようなプレゼント」、「手話ではなく声で話す決心」等、会話が続きそうなネタをいろいろ仕込んで橋にやって来ました。
そういったもので話題をつなぎ、お互いが相手に対して考えていることなども十分に伝えあうことができたら、そのときは、将也に対する自分の正直な気持ちを伝える、、、

硝子の想定していた「シナリオ」は、恐らくこんな感じだったんじゃないかと思います。

まあ、結局いろいろ考えすぎて「お腹が痛くなって」先に帰ってしまったわけですが。

そして、その後の展開を硝子視点で考えてみるに、

1. 疑惑?を抱いていた植野の件について将也から率直なメールが届き、また「友達ごっこじゃないよな」というメッセージから将也の自分へのポジティブな思いが感じられた。

2. その直後、偶然?将也と再会。もしかするとここでも「運命」的なものを感じたかもしれません。

3. 一生懸命「声」で話そうとする自分に、「変だけど、それでいい」と言ってくれた。

4. さあ、ここまで「舞台」が揃ったんだからいよいよいろいろな話を・・・と思ったら、将也はせっかく仕込んできたさまざまなネタをオールスルーして、会話もろくにせず帰ってしまおうとした。プレゼントも効果なし。

5. この盛り上がった気持ち、いま伝えるしかない!という衝動。

6.うきぃ




こんな感じなんじゃないかな?と私は考えています。
こうやってみるとつくづく将也はヘタレな男ですね(笑)。
硝子の気持ちをここまで盛り上げておきながら、肝心なところでは踏み込めずに腰が引けてしまう。

もちろん、なぜそこまでヘタレなのかというのはちゃんと描写されていて、それはまさに硝子に対する過去の自分の行為への罪の意識、それが将也をしてただの友達という「意識」から先に踏み込むことを許さないわけです。

まあ、外から見ればもう完全にベタぼれメロメロなのはバレバレで、気づいていないのは本人だけ、周りはみんな「ニーヤ」なわけですが。



第23話についての話はまだ続きますよ。
ラベル:第23話
posted by sora at 23:11| Comment(3) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする
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