2014年05月15日

「聲の形」は美男美女だから成り立つ※の物語なのか?(1)

これはあちこちでよく言われていることですが、「聲の形」で、将也が硝子を5年ごしで追いかけたのは硝子がかわいかったからであって、もしそうでなかったら追いかけてもらえなかっただろう、あるいは硝子が将也の5年ごしのアプローチを受け入れたのは将也がかっこよかったからだ、もしそうでなかったら再会の場面で拒絶されていただろう、だから結局この話も「※」(ただしイケメンに限る)という前提つきの話であって、ブサイクであることは障害よりも悲惨なんじゃないか…みたいな議論があります。

本当にそうでしょうか?

まず、将也と硝子はほんとうに美男美女として描かれているのか、という問題があります。

私は、硝子は物語のなかでそんなに美形として描かれていないんじゃないか、と思っています。
「聲の形」のなかで明確に美形として描かれているのは植野だけでしょう。
将也は植野のことを「美人だったから」といい(第3巻95ページ、第19話)、永束は野暮ったい眼鏡をかけている植野にすら一目惚れしています。



一方、硝子については、男性にもてたり、言い寄られたりしている描写がまったくありません。
当然、まんがのヒロインですから表現上それなりにかわいく描かれてはいるわけですが、そういう表現の範囲のなかで、ちょっと野暮ったく、表情が豊かでない感じに描かれている、といったら言い過ぎでしょうか。

ところで、これは別エントリとして書きたいと思っていますが、このまんがは、「誰がそのキャラを見ているのか」によって、キャラクターの「見え」が微妙に違うように思われます。

つまり、この「聲の形」は、ほぼ全面的に将也の視点から描かれているため、そこで描かれている硝子は、「将也の目から見えている美化された硝子」である可能性があるわけですね。

そういう意味で、注目すべきはこのコマと直後のやりとりです。



第3巻20話、120~121ページになります。

この120ページで花屋にいる硝子は、コマとして非常に大きく描かれていていわゆる「作画崩壊」していないことを考慮すると、かなり硝子が「かわいくない方向で」描かれていると思いませんか?
私は、このコマの硝子は、「植野視点から見えている硝子」ではないかと思っているのです。
(そして、その前後での植野も、非常に醜く、ぶっちゃけバケモノのように不気味に描かれています。これは、その瞬間の将也から見た植野だと思います。)

なので、「将也フィルター」を取り除いた硝子のルックスは、このコマの印象程度なんじゃないかな、と思っているわけです。
決して美形というわけではなく、せいぜい中庸くらい。

一方の将也ですが、身長も180くらいはありそうですし、美形の植野が小学校からずっと憧れていたくらいですから、それなりに美形は美形なのでしょう。
(三白眼で怖いですし、頭髪には危機が迫りつつありますが…(笑))

というわけで、まず最初の議論としての「二人は物語のなかで実際に美男美女なのか?」については、「将也はそこそこのイケメンだがコワモテで、たぶん硝子はそこまでではない平凡なルックス、という設定だと思われる」というのが当ブログでの推測です。

長くなったので次のエントリに続けたいと思います。
ラベル:第19話
posted by sora at 07:26| Comment(13) | TrackBack(0) | その他・一般 | 更新情報をチェックする

2014年05月16日

「聲の形」は美男美女だから成り立つ※の物語なのか?(2)

さて、前エントリの続きです。

前エントリで、「聲の形」の世界のなかでの設定として、将也はそこそこのイケメン、硝子はそこまでではない中庸のルックスとされているのではないか、という話を書きました。
将也に関しては、永束が植野に恫喝されてブルブルしているときに「石田君は僕より少しイケメンですが…」と発言していることもあります(第20話120ページ、第20話)から、イケメン設定は間違いのないところでしょう。


この物語が将也と植野の物語だったとしたら、まさに美男美女カップルの※物語だったのかもしれません。

さて、話を戻します。
実際にはこの物語は将也と硝子の物語なわけですが、お互いが惹かれあっている理由の中で、相手のルックスが占める割合はどの程度なのでしょうか?

私はそれは実は非常に小さいのではないか、と思っています。

将也が硝子を追いかけた理由はなんでしょうか?
それは端的に、「いじめメッセージの書かれた机を毎朝拭いていた」ということからも分かる通り、あのクラスで唯一、将也がスクールカーストの頂点から底辺にまで転落したとき、まったく変わらずに接してくれた存在だったこと、自分がいじめたにもかかわらず、めげずに関係構築をめざして働きかけを続けてくれた存在だったことに、転校してから気づいたからでしょう。
スクールカースト転落後、彼が心を通わせることができる友達は、硝子と再会するまでついに一人も現れませんでした。
将也にとっての硝子は、ルックスなどとはまったく無関係なところでかけがえのない大切な存在になっていたことはあまりに明白です。
恐らく、将也は硝子のルックスがどのようなものであっても、硝子を追いかけたと(私は)思います。

一方の硝子ですが、そもそも彼女が小学校時代から、なぜか将也にばかり積極的にアプローチをしかけていたように見える理由は、いまだ謎です。
でも、高校になって再会したとき、彼女が将也と「友達になる」という選択をした理由は、筆談ノートを5年も保管してわざわざ返しに来てくれたこと、自分と話す、ほぼそれだけのためにわざわざ手話をマスターしていたこと、そして、かつての自分が伝えたかった手話「友達になりたい」をコピーして自分に投げ掛けてくれるという感動的な演出、そういったものがあいまったから、と言えるでしょう。

そしてその後も、川に落ちたノートを一緒に探してくれる、結絃をしっかり支えてくれる、佐原との再会を実現させてくれる、と、次々と「実績」を重ねる行動力を示したところから、「うきぃ」につながったと言えると思います。

将也と硝子、どちらについても、まちがいなく「相手の具体的な行動」のなかに、相手を好きになるだけの十分な理由、動機が、物語の中に存分にちりばめられていることがわかります。

だから、やはりこの「聲の形」という物語は、主人公やヒロインのルックスの良さを前提とする※物語ではまったくなくて、たしかにファンタジーの極みではあるのだけど、もし本当にこんな出来事があったとしたら、美男美女ばかりではないリアルの世界であったとしても同じようなドラマが生まれるだろうと思えるのですね。
posted by sora at 07:27| Comment(7) | TrackBack(0) | その他・一般 | 更新情報をチェックする

2014年06月01日

明日から更新タイミングが変わります。

皆さん、いつもこのブログにお越しくださりありがとうございます。

さて、このブログはしばらく朝に更新をかけていましたが、明日から朝の生活パターンが大幅に変わりますので、平日朝の更新は原則なくなります。
明日からは、平日の更新は夜になりますが、今後ともよろしくお願いします。
posted by sora at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | その他・一般 | 更新情報をチェックする

2014年06月08日

聲の形を英語で読むには?

はい、これはホンネとタテマエネタです(^^;)。(「ホンネ」のほうは放っておきます)

実は「聲の形」って、ちゃんと正式に英語版がリリースされて、読めるようになっているんですね。
講談社から正式にライセンスを受け、英語版の「聲の形」をリリースしているのは、アメリカのアニメストリーミングサイトである(といっても詳しくは知らないんですが)「Crunchyroll」です。

New Simulpub Manga from Kodansha: Ajin, Koe no Katachi, The Heroic Legend of Arslan

こちらのニュースリリースで書かれているとおり、今年の3月15日から、他のいくつかのタイトルと同時に「聲の形」の英訳版がリリースされています。

「公式」の英語タイトルは、「A Silent Voice」になっているんですね。
直訳すると、「(The) Shapes of Voice」だと思うんですが、ネイティブ的にはどっちが日本語タイトルに近いんでしょうか。

ニュースリリースなので、以下に「聲の形」に関連する部分を全文引用しておきます。
Happy Friday everyone! We've got a bunch of news for you today, starting with the announcement of 3 new simulpub titles from Kodansha!

Ajin : Demi-Human, A Silent Voice - Koe no Katachi, and The Heroic Legend of Arslan will all be launch precisely at MIDNIGHT, March 15 Pacific Time, and will be available to All-Access and Manga members worldwide except for the following countries: Algeria, Lebanon, Belgium, France, Germany, Luxembourg, Morocco, Switzerland, and Japan.

A Silent Voice - Koe no Katachi by Yoshitoki Oima

I wish we had never met. I wish we could meet once again.

A boy who can hear, Shoya Ishida, and a transfer student who can’t, Shoko Nishimiya. One fateful day, the two meet, and Shoya leads the class in bullying Shoko. But before long, the class shifts its target from Shoko to Shoya. Years later, Shoya feels strongly that he must see Shoko once again.

The author Yoshitoki Oima’s comment: “People living in isolation. I wrote this story out of a desire to write about people living distant, isolated lives. Nothing would make me happier than if you all read my story.”

We will be launch with the COMPLETE CATALOG, with simulpub starting on March 18, at 4pm Pacific Time.

残念ながら、Crunchyrollは日本からのアクセスを封じています。
そのため、当該「聲の形」ページにアクセスするとリダイレクトされてしまいますが、Googleのキャッシュを見るとどんなページになっているか大体分かりますね。


Crunchyroll「A Silent Voice」トップページ(Googleキャッシュ)

単行本単位で読めるようになっているようですね。
訳すのが非常に厄介な第23話(うきぃ告白回)がどんな風に公式に訳されているのか、見る機会があったらぜひ見てみたいものです。
posted by sora at 07:47| Comment(4) | TrackBack(0) | その他・一般 | 更新情報をチェックする

2014年06月14日

将也の自宅のモデルってあるの?

※(2017/7/28)本記事は、諸般の事情を考慮し、削除させていただきました。ご了承ください。

posted by sora at 17:02| Comment(8) | TrackBack(0) | その他・一般 | 更新情報をチェックする
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