本当にそうでしょうか?
まず、将也と硝子はほんとうに美男美女として描かれているのか、という問題があります。
私は、硝子は物語のなかでそんなに美形として描かれていないんじゃないか、と思っています。
「聲の形」のなかで明確に美形として描かれているのは植野だけでしょう。
将也は植野のことを「美人だったから」といい(第3巻95ページ、第19話)、永束は野暮ったい眼鏡をかけている植野にすら一目惚れしています。

一方、硝子については、男性にもてたり、言い寄られたりしている描写がまったくありません。
当然、まんがのヒロインですから表現上それなりにかわいく描かれてはいるわけですが、そういう表現の範囲のなかで、ちょっと野暮ったく、表情が豊かでない感じに描かれている、といったら言い過ぎでしょうか。
ところで、これは別エントリとして書きたいと思っていますが、このまんがは、「誰がそのキャラを見ているのか」によって、キャラクターの「見え」が微妙に違うように思われます。
つまり、この「聲の形」は、ほぼ全面的に将也の視点から描かれているため、そこで描かれている硝子は、「将也の目から見えている美化された硝子」である可能性があるわけですね。
そういう意味で、注目すべきはこのコマと直後のやりとりです。


第3巻20話、120~121ページになります。
この120ページで花屋にいる硝子は、コマとして非常に大きく描かれていていわゆる「作画崩壊」していないことを考慮すると、かなり硝子が「かわいくない方向で」描かれていると思いませんか?
私は、このコマの硝子は、「植野視点から見えている硝子」ではないかと思っているのです。
(そして、その前後での植野も、非常に醜く、ぶっちゃけバケモノのように不気味に描かれています。これは、その瞬間の将也から見た植野だと思います。)
なので、「将也フィルター」を取り除いた硝子のルックスは、このコマの印象程度なんじゃないかな、と思っているわけです。
決して美形というわけではなく、せいぜい中庸くらい。
一方の将也ですが、身長も180くらいはありそうですし、美形の植野が小学校からずっと憧れていたくらいですから、それなりに美形は美形なのでしょう。
(三白眼で怖いですし、頭髪には危機が迫りつつありますが…(笑))
というわけで、まず最初の議論としての「二人は物語のなかで実際に美男美女なのか?」については、「将也はそこそこのイケメンだがコワモテで、たぶん硝子はそこまでではない平凡なルックス、という設定だと思われる」というのが当ブログでの推測です。
長くなったので次のエントリに続けたいと思います。
ラベル:第19話