2014年04月04日

ブログを作ってみました。

「聲の形」、ほんとにいいまんがですよね。
このまんがのすごいところは、もちろん取り上げているテーマの重さもそうなんですが、週刊での連載でありながら、非常に緻密に伏線が散りばめられ、またさまざまな部分に、ちょっと読んだだけでは解読しきれない「謎」が満ち溢れているところです。
そういった伏線や謎を解きほぐしていくのも、「聲の形」を読む楽しみですね。

というわけで、このブログでは、「聲の形」のなかで、私が気づいた伏線や謎について考察していきたいと思います。

もちろん、ここでの考察は私の個人的な考えなので、違う解釈や、読み誤りなどもあると思います。
もしそういった場合は、ぜひコメントなどで教えていただければと思います。

それでは、よろしくお願いします!


聲の形 第1巻・第2巻・第3巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC
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2014年04月05日

読みきり版と連載の違い

さて、1つ前のエントリとも関係してくるのですが、なぜ短い読みきり版ではあった「硝子がノートを拾ってまた落としてしまう」シーンが、より尺の長い連載版ではカットされたのでしょうか。

KOE_NO_KATACHI_029.jpg

これ以外にも、読みきりにはあったのに連載ではカットされた描写がたくさんあるのです。

それは、作者の大今先生へのインタビュー記事を読むとわかります。

「クロノ・トリガー」のマンガを描いていました「週刊少年マガジン」で新連載『聲の形』大今良時に聞く2

───『聲の形』の連載にあたり、読切と何か大きく変えたところはありますか。
大今  読切ではとにかく必要最低限の要素──それぞれの登場人物の感情がどう動き、何がどうなったという“情報”を作品の時間軸に合わせてひとつひとつ描きこんだり、コンパクトに情報を伝えるために、聴覚障害者の西宮硝子視点のシーンも描かなければならなかった。連載では視点をなるべく主人公の石田将也にしぼって、理解できない相手との間でどうやって理解を深めていくかということに焦点を当てるつもりです。“読み味”は読切と少し違うかもしれません。

───視点を固定した狙いはなんでしょう。
大今  これまで読んでいない人をどう引き入れるかということを考えた結果です。読切で描き上げたものを連載にするというのも、リメイクといえばリメイクですし、同じことを描きながら、いままで興味を持ってもらえなかった人を引き込みたい。それでいて読切で知ってくれたたくさんの読者にもオトク感というか、新鮮な印象で読んでもらえたらいいですね。


このように、連載版は読みきりとは異なり、視点を石田からの一人称に原則統一しています。
硝子がノートを落とすシーンは、完全に「硝子視点」からの描写であり、硝子の内面まで具体的に描いてしまっています。
ですから、「石田視点限定」という連載版の原則にしたがって、このシーンは外されたということになります。

もちろん、「石田視点限定」という「縛り」によって、描写(特に硝子の側の描写)には著しい制約がかかることになります。
その制約を緩和するために、読みきり版の内容の「その後」となる単行本第2巻以降では、「硝子側の視点」を語る新たな人物が登場してくることになります。

また、上記の「視点」以外にも、連載版では「その後の伏線」になるよう、読みきり版からは細かく修正されているところがたくさんありますが、それはまた次の機会に書きたいと思います。
ラベル:読みきり
posted by sora at 11:35| Comment(0) | TrackBack(0) | その他・一般 | 更新情報をチェックする

2014年04月06日

「結絃」というキャラクターの役回り

読みきりでは登場せず、連載で登場したキャラクターの代表が、永束であり結絃であるわけですが、この「西宮結絃」というキャラクターはそもそもなぜ「連載で登場」したのでしょうか。

それは、前のエントリでも掲載したこちらのカットなどからうかがい知ることができます。



以前のエントリでご紹介したとおり、作者の大今先生は、「聲の形」を連載するにあたって、描写に1つの大きな制約を自ら課しました。

「クロノ・トリガー」のマンガを描いていました「週刊少年マガジン」で新連載『聲の形』大今良時に聞く2

【読切とは読み味を変えた】
───『聲の形』の連載にあたり、読切と何か大きく変えたところはありますか。
大今  読切ではとにかく必要最低限の要素──それぞれの登場人物の感情がどう動き、何がどうなったという“情報”を作品の時間軸に合わせてひとつひとつ描きこんだり、コンパクトに情報を伝えるために、聴覚障害者の西宮硝子視点のシーンも描かなければならなかった。連載では視点をなるべく主人公の石田将也にしぼって、理解できない相手との間でどうやって理解を深めていくかということに焦点を当てるつもりです。“読み味”は読切と少し違うかもしれません。

───視点を固定した狙いはなんでしょう。
大今  これまで読んでいない人をどう引き入れるかということを考えた結果です。読切で描き上げたものを連載にするというのも、リメイクといえばリメイクですし、同じことを描きながら、いままで興味を持ってもらえなかった人を引き込みたい。それでいて読切で知ってくれたたくさんの読者にもオトク感というか、新鮮な印象で読んでもらえたらいいですね。


簡単にいうと、読みきり版では使っていた「西宮硝子の視点や内面を直接描く」という手法を、連載では封印して、基本すべて将也の視点からだけの一人称の物語にしている、ということになります。

ところがこれだけだと、「将也が見ていないところで起こる物語」をまったく描けなくなってしまいます。
やはりどうしても、「硝子の側だけで起こる物語」や「硝子の内面や視点を、『石田フィルター』なしに描く物語」を描かなければならない場面は少なからず起こってしまうわけですね。

でも、だからといって硝子の内面を直接描いたのでは、ある意味読み切りと同じだし、また読者が「神の視点」に立ちすぎてしまう、という、(恐らく作者が危惧したであろう)問題が結局浮き上がってしまいます。

「コミュニケーションの難しさやすれ違い」がテーマである本作において、たとえ読者であっても、それらをすべてお見通しな視点を設定するのは安易だ、ということもありますね。

そこで登場したのが「結絃」である、というのが私の考え方です。
硝子本人ではない、でも硝子に誰よりも近くて硝子の近くで起こる物語を代弁し、また、将也と硝子のコミュニケーションがすれ違っているときにそれを仲介することができる役回りをもったキャラクター(=結絃)を設定することで、上記の問題をクリアできるようにしたわけです。
実際、第3巻~第4巻において、将也と結絃のコミュニケーションがスタックしたとき、結絃が動き回って問題を解決していくシーンがたくさん出てきますね。
そして、第4巻において顕著ですが、作者は「石田視点の一人称の物語」以外に、チャプターによっては、「結絃視点の一人称の物語」を許すという、制約の緩和をも行っています。

とだけ書くと、結絃ファンからは怒られそうです(^^;)。
もちろんそれだけではないのは当然です。
作者も、結絃を単なる「便利屋」にしてしまわないよう、第2巻、第4巻を中心に、結絃自身を深く掘り下げ、物語全体の中核キャラになるように設定しています。
ですから、出発点としては「物語に別視点を与える便利キャラ」ではあったと思いますが、そこから物語を深めていった結果としては、「物語になくてはならない中核キャラ」になったんだと思います。
posted by sora at 08:33| Comment(0) | TrackBack(0) | その他・一般 | 更新情報をチェックする

「聲の形」は全部で何巻完結(予定)?

先日、連載中のマガジンの巻末コメントで、大今先生が「(聲の形は)あと3巻ほど」と書いて、ファン界隈を騒然とさせました。

そして、全体のボリュームの予定が確定したのが、マガジンSPECIAL班長の以下のツイートです。



はい。聲の形は全7巻の予定です。大今先生は毎話毎話、毎巻毎巻の構成を決めて、連載をスタートされているので、どうにもできないんです。それでも連載ものならではの「揺れ」はあり、担当としてはそこも楽しんでいます。ただ全体のプランは概ね、先生の予定通りに進んでいます。


みじかっ!

まあ、もともと、全10巻くらいといった発言はあちこちのインタビュー等でもあったので、そんなに長く続かないということは予想していましたが、7巻とは短いですね。
もうこのエントリを書いてる時点(4巻終わりくらい)で、折り返しどころか終盤にさしかかりつつある感じですね。

でも、そのぶん濃密な物語になることを期待しています。

ちなみに、そのあとに続いていたSP班長のこのコメントにも笑いました。

いえいえ。なんぴとも大今先生を前にしたら、見守ることしかできない、というだけです。変だし、天才だし。あとやっぱり変だし。ははは。

posted by sora at 08:59| Comment(0) | TrackBack(0) | その他・一般 | 更新情報をチェックする

キャラ別・専用擬音

「聲の形」、扱われているテーマの話題性もさることながら、まんがの表現としてもなかなかユニークな試みがいろいろ仕掛けられています。

その1つに、「キャラクターごとに専用の擬音がある」というのがあります。

たとえば、ヒロインである硝子の場合、パンをちぎってエサをあげるときの「ムシリ」「ポポイ」です。



そして、なにかと話題のキャラ「植野」の場合は、登場時の「サラ」と走るときの「したたた」ですね。




また、石田と因縁のある「島田」の場合、「ふ(っ)」というのがそれにあたりますね。



これ以外にも、石田母の「ニーコニーコ」「ニーヤニーヤ」というのも、専用擬音に準ずる表現と言ってもいいかもしれません。

これらの登場人物が登場するたびにこの擬音が出てくるのが、なんというか様式美というか、「待ってました!」という感じで楽しいですよね。(^o^)
posted by sora at 17:33| Comment(16) | TrackBack(0) | その他・一般 | 更新情報をチェックする
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