2014年07月06日

デラックス事件の真相とは?(当ブログ的仮説)

それほど多くのエピソードに登場していないにもかかわらず、圧倒的な存在感を示すサブキャラの「デラックス」ですが、よく読んでみるとなぞの多いキャラです。


第1巻35ページ、第1話。
そもそもこの場面も、けんかを売っているかと思ったら、実は「返す」って言ってるわけですしねえ。

この先、デラックスについてのエントリをいくつか投下したいと思いますが、まず何より書きたいのが、あの「デラックス事件(デラックスに盗られたスニーカーを奪還し、げんき君に殴られる事件)」の真相についてです。

デラックス事件のポイントを整理すると、

0)「ゆうたろう」君から新作スニーカーをもらう。
1)「第41回度胸試し」の日、姉の部屋に「げんき君」がいる。
2)「第42回度胸試し」の日、スニーカー盗まれる。
3)島田がデラックス情報を将也に伝える。
4)将也がデラックスからスニーカーを奪還
5)その帰りにげんき君に殴られる
6)そのまま自宅に戻ると姉の部屋に「ペドロ」がいる。


となります。
ここで、4)5)6)は同じ日である、というのがポイントです。
一方、5)で将也がげんき君に「ひさしぶり」と言ってることから、1)と5)との間にはある程度の期間が空いていて、その間に石田姉はげんき君と別れ、ペドロと付き合い始めています。

さて、このデラックス事件でもっとも不思議なのは、なぜげんき君は、弟が殴られた相手、スニーカーの元の持ち主が将也であると瞬時に分かったのか、ということです。
そもそも、デラックスと将也は面識がなく、盗んだときには川には3人いてその中の誰の靴かもわからないでしょうし、奪還されたときも「どこの誰か」はわからないはずです。
つまり、デラックスが兄に電話で連絡したとしても、せいぜい伝えられるのは「持ち主が取り返しにきて殴られた」ということどまりなわけです。

にも関わらず、げんき君はそれだけの情報から、靴の持ち主が将也であると即断し、速攻で帰ってくる将也よりも先に石田家に突撃して待ち伏せし、将也に一言もスニーカーのことを聞くこともなく、即座になぐりつけて弟の仇を打っています。
つまり、げんき君は不自然なくらい詳細に、この「スニーカー盗みの件」を把握していたことになります。
もしも、将也の家でスニーカーを偶然見ていて、一方で偶然弟が盗んだ靴がよく似ているから、「これは将也の靴を盗んだのではないか」と「推理」していた、程度でこんな素早く確信に満ちた行動がとれるでしょうか?

加えて、デラックスについては、将也は勝手に強くて怖いやつというイメージを持っていますが、実際にはいじめのリーダー格の後ろでかばんを持っているような格下ポジションであることも描かれており、スニーカーを盗むほどの度胸があるタイプだろうか?ということも疑問です。
(しかも、別エントリで降れますが、この日はデラックスは硝子と結絃をいじめるいじめグループでかばん持ちをさせられていて、ある意味「拘束」されています。)

これらを総合すると、高い蓋然性で導かれる結論は、

将也のスニーカーを盗んだのは実はげんき君であり、それを弟のデラックスにプレゼントしていた。

ということです。
これですべての辻褄が合います。

1)石田姉の部屋にやってくるげんき君は、将也が新作のかっこいいスニーカーを持っていること、川への飛び込みを繰り返していることを知っていた。
2)将也が「第42回」で川に飛び込んでいる間に、密かに待ち伏せしていたげんき君が将也のスニーカーを盗んだ。(偶然見かけて、でもいいのですが、確率から言って意図的に、のほうがありえそう)
3)将也のスニーカーを、げんき君が弟のデラックスにプレゼント。盗んだとは言わず適当にごまかして渡したと思われます。げんき君としては「弟想いの兄」的な自己満足もあったのでは。
4)このあたりで石田姉とげんき君が別れる。もしかすると靴泥棒の件が(石田姉がげんき君宅に行ったりして)石田姉にばれたりしたのかもしれません。
5)デラックス、塾で島田にスニーカーのことを問い詰められる。詳細を聞いていないデラックスは当惑してなにも答えずに逃げる。
6)将也、第2小に出向きデラックスから靴を奪還。デラックスは兄のげんき君に電話して、「持ち主に殴られてスニーカーを持ってかれた」と伝える。「盗んだ靴だと言わないでプレゼントするなんてひどいよ」くらいのことは言ったかもしれません。
7)電話を受け、弟が殴られたことと、自分自身も恥をかかされたことに激怒したげんき君が速攻で石田宅に赴き、将也を待ち伏せ。帰ってきた将也を問答無用でなぐり倒す。


将也を殴ったげんき君から逃げるときの表情から察するに、げんき君が待ち伏せしていたのを見て、島田はことの背景をぼんやりと理解したのかもしれません。
少なくとも、上記の説明のほうが、「デラックスが自分で盗んだ」と考えるよりもはるかにつじつまが合っているように思うのですが、いかがでしょうか。
ラベル:第01話
posted by sora at 08:32| Comment(15) | TrackBack(0) | 第1巻 | 更新情報をチェックする

2014年07月07日

デラックスの本当の性格とは?

デラックス関連エントリの第2弾です。


第1巻35ページ、第1話。

将也からみたデラックスは別の小学校(第2小)の大ボス的存在のように映っていると思われますが、実際のデラックスは「体が大きく虚勢を張っているだけの(どちらかというと気の弱い)子」だった可能性が高いです。

まず、将也自身の経験した「デラックス事件」に関していうと、

1)島田と同じ学習塾に通っている。
2)島田が靴のことを問い詰めたら、言い返すこともなく逃げた
3)将也が靴を返せといったら、素直に返している
4)将也がなぐりつけたら、素直に殴られてべそをかいている。(そしてそのまま裸足で逃げ去ったはず)
5)兄であるげんき君が、「本人に代わって」殴り付け、「あいつは繊細で傷ついている」と言っている。


さらに、第2巻の結絃の回想にもデラックスと思われる子どもが出てきますが、ここでも、

6)硝子をいじめる3人グループの、リーダーではなくかばん持ち


第2巻118ページ、第11話。

です。
また、植野がデラックスを将也の待つ裏手に誘導するために観察しているとき、デラックスは(まだ第2小に通っていた)硝子らしき女の子を突き飛ばしていますが、これは「いつもいじめている相手」だから偉そうにしているだけのようで、逆に周囲からは「なんだあいつ」とかあっさり言われているところからも、「生徒から特に怖がられてはいない」という人物像が浮かびます。

そして、先の考察からは、

7)デラックスはそもそも将也の靴を盗んでおらず、兄が盗んできた靴を知らずにはいていただけ。

という可能性も浮かび上がってきました。

これらの事実と状況証拠からみて、デラックスの「本当のキャラクター」というのは、「第2小に君臨する大ボス」なんてものでは到底なく、大柄で強がってはいるものの、実際にはいじめっ子のかばん持ちに甘んじているような小心者で、塾に通うような勉強熱心なところもある意外とまじめな子ども、といったものであることがわかります。

将也を殴ったときにげんき君が言った、「お前が思っている以上に繊細だから ものすごい傷ついてっから」というのも、あながち嘘ではなくて、むしろこちらが正しくて将也のイメージが間違い、というのが真相なんだと思います。

そしてこの、デラックスという一見分かりやすそうな人物における「イメージと実態の(相当大きな)ずれ」というのは、このあとも繰り返し語られていく「人と人とのディスコミュニケーション」の、最初のとっかかりとして示されている側面もあるんじゃないかなと思います。
言い換えると、このデラックス事件を「将也が見たままに(怖い隣の小学校のボスを倒した、と)受け取って、そのまま疑問を持たずに流してしまう」という読み方をしていると、この後も繰り返し登場してくる「将也から見えている世界と、ほんとうの実態とのずれ」を見逃してしまう、そういうある種の「リトマス試験紙」のような役割もかねているエピソードにも思えてきます。
posted by sora at 07:35| Comment(5) | TrackBack(0) | 第1巻 | 更新情報をチェックする

デラックス事件が将也たちに与えた影響とは?

さて、デラックスに関する考察の続きです。

デラックスの靴を奪還して兄のげんき君に殴られるという「デラックス事件」は、将也と島田・広瀬との間に、決定的な溝を作ったのではないかと推測しています。

それより前、「第42回」のときも、島田は塾を理由に飛び込みを断りましたが、ヌートリアを見つけて結局飛び込んでいますし、デラックス事件についても、そもそもこのネタを楽しそうに振ってきたのが島田でした。
そして、第2小に出向いて靴奪還に成功し、意気揚々と帰ってくるところまで、将也のグループにはまだまだ一体感があったことが伺えます。


第1巻37ページ、第1話。

ところが、自宅で待っていたげんき君に本気で殴られるところを見て、様相が一変します。
この後、「年上に殴られるなんて名誉なことだ」という将也のことばに、島田は生返事をし、広瀬は賛同しません。


第1巻41ページ、第1話。

これは、「第41回」のときに石田母から「2人とも 嫌だったらこいつに付き合わなくてもいいのよ」と聞かれたときの二人のリアクションとは明らかに異なります。
そして、「第43回」の誘いには島田も広瀬も乗らず(広瀬についてははっきり拒絶)、将也の仲良しグループはここで崩壊します。

恐らく、島田はデラックス事件の「真相」をある程度見抜いたうえで、そういった考えにまったくいたらない(頭の悪い)将也を軽んじる気持ちを強めたのではないかと思いますし、広瀬はシンプルに「こいつといるのは無駄に危険すぎる」ということで敬遠したくなったのではと思います。

将也の視点からは、その直後に転校してきた硝子を「いじる」ことで、彼らとの関係が継続しているかのように映っていますが、実際にはデラックス事件で関係は醒め、それ以降は将也は裸の王様状態だったように見えます
(だからこそ、学級裁判当日の放課後から島田に池に突き落とされるほど、あっさりとカースト転落したのでしょう。)

つまり、デラックス事件というのは、将也がある種の精神的幼さゆえに徐々に仲間を失って孤立していく流れを決定付ける大きな事件になっており、将也が孤立していく流れというのは、実際には硝子が転校する前から起こっていた(硝子が転校してこなくても、遅かれ早かれ将也は失脚していただろう(むしろ時期が早まったのでは?))、ということを明確に示す事件として位置付けられているのだと思います。
ラベル:第01話
posted by sora at 21:12| Comment(4) | TrackBack(0) | 第1巻 | 更新情報をチェックする

2014年07月08日

「7か月前」のあの日に起こったこととは?

これも「デラックスネタ」の1つとしてまとめておこうと思います。

将也が靴を盗まれた「あの日」は、小学校編のなかでも際立って多くのイベントが起こっている非常に重要な日になっています

一見バラバラに見える、4つのイベントが重なっているのです。

1)将也の靴がなくなった日に、硝子らしき女の子が頭に葉っぱを乗せて散髪に来ている


第1巻28ページ、第1話

2)第1巻の番外編で、硝子が頭に葉っぱを乗せて散髪に来ていて、石田母が「川に跳び込むの流行ってるのかしら」とつぶやいている。このとき、西宮母が「いじめられて補聴器を川に投げられた」と言っています。


第1巻62ページ、番外編

3)第2巻第11話の結絃の回想で、いじめられて川に補聴器を投げられて探している硝子が登場します。やはり頭に葉っぱを乗せています。


第2巻114ページ、第11話

4)第4巻第31話の回想場面で、硝子が西宮母に髪を切られそうになり、結絃が代わりに自分の髪を切る場面。ここで「さっき切ったばっかじゃん」と結絃が言っていて、硝子・結絃・西宮母、全員が1)~3)と同じ格好をしていることから、これも同じ日であると判断できます。


第4巻158ページ、第31話

この4つは明らかに同じ日であり、次系列的には3)→1)→2)→4)の順になっていると思われます。
ちなみに、硝子が3)で補聴器を探している川は浅く、将也らが1)の前に飛び込んでいる川は深いので、この2つの「川」の場面はある程度離れているでしょう。

これらをふまえ、この日のイベントを時系列に整理すると、このようになりそうです。

1)硝子、補聴器をデラックスを含むいじめグループに川に投げ捨てられる。結絃とともに補聴器探し。
2)結絃がデラックスらの相手を始める。
3)それに気づいた硝子が間に入る。
4)硝子と結絃、デラックスら、それぞれが帰途につく。
5)ほぼ同じ時期に、将也らの「第42回度胸試し」が始まる。
6)げんき君が、橋の上に放置されていた将也の靴を盗む。
7)将也、靴が盗まれていることに気づき、2時間かけて靴探し。
8)その頃、帰宅した硝子は西宮母に連れられてヘアメイクイシダへ。植野が先客だったため待たされる。
9)将也が自宅に戻ってくる。ちょうど植野のカットが終わる。植野と将也の会話。
10)将也が待合室にいた硝子を見かける。
11)将也、島田、広瀬が将也の部屋で遊ぶ。
12)硝子のカット。石田母と西宮母のやりとり。
13)将也の靴を自宅に持ち帰ったげんき君は、それを弟のデラックスにプレゼント。
14)硝子と西宮母が帰宅、西宮母は硝子の髪を切ろうとする。
15)それを止めるために、結絃が自分の髪を短くカット。


個々のできごとの日時についての情報の少ない小学校編のなかで、この日だけは突出していろいろなことが起こっていますね。(でも、何月何日かはわかりませんが…「7か月前」というのもヒントになりそうでならないですし。
posted by sora at 07:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 第1巻 | 更新情報をチェックする

デラックスと島田の関係のなぞとは?

デラックス関連エントリの続き(第5弾)です。
こちらはコネタですが、意外と重要かもしれないと考えています。

あのデラックス事件のあと、島田が将也からの「第43回」度胸試しの誘いを塾を理由に断ったときのせりふです。

島田「お前も塾 始めたら? デラックスに会えるぞ!」


第1巻45ページ、第1話。

この発言は冗談の一種だとは思いますが、それでも、この発言を見る限り、島田はデラックスにそんなに悪い感情も持っていないし、逆にデラックスから塾で何らかの反撃を受けたりしている様子も伺えません。
あれだけのことが起これば(靴のことをモロに本人に聞いているわけですし、将也が殴り付けた現場に島田もいたわけですから、島田のことは覚えているでしょう)、普通は険悪なムードになるでしょうし、同じ塾にいられなくなったりする可能性も十分考えられます。

それがそうなっていないのは、恐らく島田が事件のあと塾で会ったときに何らかのフォローをして「和解」したからではないかと想像します。

ここからはさらに想像になりますが、

1)島田は、デラックス事件でのげんき君の登場によって、スニーカー盗難の主犯はげんき君で、デラックスはむしろ巻き込まれた側だということを察知。
2)にもかかわらず、将也に思いっきり殴られたということで、そもそものきっかけを作った立場として申し訳なく思い、塾で自らデラックスに話しかけ謝罪した。
3)デラックスと和解し、スニーカーの件について事情を全部聞いた。


といったことがあったのではないでしょうか。
あの状況から、デラックスと「和解」しようと思うと、まちがいなく島田の側から歩み寄らないと実現しないと思いますから。

ここで重要に思えるのが、「謝罪」というキーワードです。
なぜなら、この「謝罪」というキーワードが、「島田が将也をなぜ執拗にいじめたのか」あるいは「将也が乗り越えなければならない課題」といったこととつながっている気がするからです。(このあたりについてもまた別の機会に書きたいと思います)
ラベル:第01話
posted by sora at 20:27| Comment(4) | TrackBack(0) | 第1巻 | 更新情報をチェックする
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