
第1巻35ページ、第1話。
そもそもこの場面も、けんかを売っているかと思ったら、実は「返す」って言ってるわけですしねえ。
この先、デラックスについてのエントリをいくつか投下したいと思いますが、まず何より書きたいのが、あの「デラックス事件(デラックスに盗られたスニーカーを奪還し、げんき君に殴られる事件)」の真相についてです。
デラックス事件のポイントを整理すると、
0)「ゆうたろう」君から新作スニーカーをもらう。
1)「第41回度胸試し」の日、姉の部屋に「げんき君」がいる。
2)「第42回度胸試し」の日、スニーカー盗まれる。
3)島田がデラックス情報を将也に伝える。
4)将也がデラックスからスニーカーを奪還
5)その帰りにげんき君に殴られる
6)そのまま自宅に戻ると姉の部屋に「ペドロ」がいる。
となります。
ここで、4)5)6)は同じ日である、というのがポイントです。
一方、5)で将也がげんき君に「ひさしぶり」と言ってることから、1)と5)との間にはある程度の期間が空いていて、その間に石田姉はげんき君と別れ、ペドロと付き合い始めています。
さて、このデラックス事件でもっとも不思議なのは、なぜげんき君は、弟が殴られた相手、スニーカーの元の持ち主が将也であると瞬時に分かったのか、ということです。
そもそも、デラックスと将也は面識がなく、盗んだときには川には3人いてその中の誰の靴かもわからないでしょうし、奪還されたときも「どこの誰か」はわからないはずです。
つまり、デラックスが兄に電話で連絡したとしても、せいぜい伝えられるのは「持ち主が取り返しにきて殴られた」ということどまりなわけです。
にも関わらず、げんき君はそれだけの情報から、靴の持ち主が将也であると即断し、速攻で帰ってくる将也よりも先に石田家に突撃して待ち伏せし、将也に一言もスニーカーのことを聞くこともなく、即座になぐりつけて弟の仇を打っています。
つまり、げんき君は不自然なくらい詳細に、この「スニーカー盗みの件」を把握していたことになります。
もしも、将也の家でスニーカーを偶然見ていて、一方で偶然弟が盗んだ靴がよく似ているから、「これは将也の靴を盗んだのではないか」と「推理」していた、程度でこんな素早く確信に満ちた行動がとれるでしょうか?
加えて、デラックスについては、将也は勝手に強くて怖いやつというイメージを持っていますが、実際にはいじめのリーダー格の後ろでかばんを持っているような格下ポジションであることも描かれており、スニーカーを盗むほどの度胸があるタイプだろうか?ということも疑問です。
(しかも、別エントリで降れますが、この日はデラックスは硝子と結絃をいじめるいじめグループでかばん持ちをさせられていて、ある意味「拘束」されています。)
これらを総合すると、高い蓋然性で導かれる結論は、
将也のスニーカーを盗んだのは実はげんき君であり、それを弟のデラックスにプレゼントしていた。
ということです。
これですべての辻褄が合います。
1)石田姉の部屋にやってくるげんき君は、将也が新作のかっこいいスニーカーを持っていること、川への飛び込みを繰り返していることを知っていた。
2)将也が「第42回」で川に飛び込んでいる間に、密かに待ち伏せしていたげんき君が将也のスニーカーを盗んだ。(偶然見かけて、でもいいのですが、確率から言って意図的に、のほうがありえそう)
3)将也のスニーカーを、げんき君が弟のデラックスにプレゼント。盗んだとは言わず適当にごまかして渡したと思われます。げんき君としては「弟想いの兄」的な自己満足もあったのでは。
4)このあたりで石田姉とげんき君が別れる。もしかすると靴泥棒の件が(石田姉がげんき君宅に行ったりして)石田姉にばれたりしたのかもしれません。
5)デラックス、塾で島田にスニーカーのことを問い詰められる。詳細を聞いていないデラックスは当惑してなにも答えずに逃げる。
6)将也、第2小に出向きデラックスから靴を奪還。デラックスは兄のげんき君に電話して、「持ち主に殴られてスニーカーを持ってかれた」と伝える。「盗んだ靴だと言わないでプレゼントするなんてひどいよ」くらいのことは言ったかもしれません。
7)電話を受け、弟が殴られたことと、自分自身も恥をかかされたことに激怒したげんき君が速攻で石田宅に赴き、将也を待ち伏せ。帰ってきた将也を問答無用でなぐり倒す。
将也を殴ったげんき君から逃げるときの表情から察するに、げんき君が待ち伏せしていたのを見て、島田はことの背景をぼんやりと理解したのかもしれません。
少なくとも、上記の説明のほうが、「デラックスが自分で盗んだ」と考えるよりもはるかにつじつまが合っているように思うのですが、いかがでしょうか。
ラベル:第01話