2014年04月27日

読みきりと連載の違い(その2)

さて、「聲の形」には3つのバージョンがあるということは以前エントリで書きましたが、そのなかでも特に関連性が高い(よく似ている)のが、「読みきり版」と「連載版」ですね。

読みきり版は、概ね連載版の第1話~第6話までの内容を含んでいます。
当然、ボリューム的には連載版のほうがはるかに大きいため、基本的には読みきり版で描かれている内容は連載版でも描かれています。

その例外が、以前のエントリでもご紹介したとおり「連載版では硝子の内面描写がカットされている」ということでしたが、実際にはそれ以外にも「変更された部分」がいろいろあります。

1.喜多先生が少し有能に描かれている。
 連載版では、「障害はかわいそうだからみんなで支えなきゃいけない」的なステロタイプの弱者論以上のことを考えておらず、そういう場に生まれる摩擦をどう解消するかといったことにはまったく行動できない、ぶっちゃけ「無能」な先生として、わりと単純で分かりやすく描かれている「きこえの教室」の喜多先生ですが、読みきり版ではもう少し「らしい」行動をとっています。



 読みきり版14ページ。合唱コンクールから硝子を外そうとする担任の竹内に対し、「決めるのは私たちじゃなくて本人」と強く返しています。そして、硝子がうたうときに別の生徒に「音程調整」をさせる、といった工夫もさせるなど、それなりに「本人目線で」奮闘しています。(それでもうまくいかなかった、という物語として描かれているわけですね。)
 これに対して、連載版では「オンチなのは障害だから仕方がない(だから受け入れろ)」といった、クラスに反発を招きそうな発言をする先生に描きかえられていますね。

2.佐原がいない。
 これは1.とも関係しますが、喜多先生による「手話を覚えましょう」エピソードは、読みきり版にはありません。
 このエピソードは、喜多先生の無能ぶりを強調する目的と、あとで登場させるために佐原というキャラを出す目的、そして将也が手話に興味をもつきっかけを設定するという目的で連載版で新登場したのだとわかります。

3.竹内先生が性格づけされてない。
 これも1.とも関係してますが、連載版では微妙に自意識が強く、将也への説教に「自己責任」とか「俺に恥をかかせるな」といった、妙に「大人の論理」をふりかざすキャラとして設定されている担任の竹内先生が、読みきり版では比較的平凡な「事なかれ主義の無責任な先生」として描かれています。

4.植野が単なるクラスメート。
 連載版では、硝子と並ぶ屈指の人気をもち、将也をめぐって硝子と三角関係を構成する超重要キャラクターとされている植野ですが、読みきり版では単なるクラスメートのOne of themです。
 読みきり版では、将也転落後のいじめ描写で植野はほとんど登場しませんが、その数少ない出番のなかでは「普通にいじめる側」になっています。

5.すべて将也視点で描かれている。
 これは以前のエントリで書いたとおりですが、これによって変更されている面白いシーンを1つ。
 高校生になっての将也と硝子の再会シーン。「友だちに…なれるか?」というあの名場面で、連載版では「将也視点」なのでこうですが…(第2巻21ページ、第6話)



読みきり版では「第三者視点」なのでこうなってます。(読みきり版60ページ)



連載版では見えなくなっている、このシーンでの硝子の口元の表情が見えてお得な感じですね。(笑)
ラベル:第06話 読みきり
posted by sora at 09:42| Comment(8) | TrackBack(0) | 読み切り | 更新情報をチェックする

2014年05月12日

絶版の読み切り版「聲の形」を無料で読む方法は?

期間限定ですが、素晴らしい企画が飛び込んできました。
週刊モーニングの電子書籍アプリ「週刊Dモーニング」の創刊1周年特別企画として「電子増刊号」の特別配信があり、その企画の中に「聲の形」読み切り版の無料配信が含まれていることが、ニュースリリースで判明しました!



http://morning.moae.jp/news/1098
【週刊Dモーニング1周年記念祭】 無料で読める“Dだけの電子増刊号”なんと5連発!!!!! 『ちはやふる』『アルスラーン戦記』『聲の形』など大集結の「ALL講談社号」も登場!

こちらのリンク記事をご覧ください。



「聲の形」読み切り版を含む増刊号は、「ALL講談社号vol.1」として、5月19日0時から21日23時59分までの期間限定の配信になります。
また、この増刊号は、次の号が出ると(恐らく起動時に自動的に)そちらがダウンロードされて消えてしまうようです。

なお、「週刊Dモーニング」はiOSとAndroidでアプリがダウンロードできる、スマートフォン・タブレット用アプリです。
ダウンロードページからiTunes StoreまたはGoogle Playに移動してアプリをダウンロードし、アプリ内からコンテンツをダウンロードすれば読むことができるようです。

私も、「読み切り」は持っていますが、雑誌でしか掲載されていないため印刷の品質がいまいちなので、この電子書籍版はぜひおさえておきたいのでアプリをダウンロードしてみました。
ダウンロードのサイズがかなり大きいので、Wifi環境でのコンテンツダウンロードをおすすめします。

まだ「読み切り」を読んでいない方、これはまたとないチャンスですよ。
1週間後の19日を楽しみに待ちましょう!
ラベル:読みきり
posted by sora at 21:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 読み切り | 更新情報をチェックする

2014年05月19日

いよいよDモーニングで「読みきり版」の配信開始!

さて、先日もエントリ書きましたが、現在廃版のため簡単には読めない、「聲の形」の読みきり版(去年マガジンに掲載された、連載版のプロトタイプ)が、いよいよ今日からスマートフォン・タブレット用アプリ「週刊Dモーニング」で特別配信中です!



読み方は、Google PlayもしくはiTunes Storeで週刊Dモーニングのアプリをダウンロードし、起動して最新号をダウンロードする(自動)だけです。
アプリ内課金システムのアプリですが、無料でも利用することができ、「聲の形・読みきり版」も無料で読むことができます。

なお、「聲の形 読みきり版」を含む特別増刊号の配信は、今日5月19日(月)0:00から21日(水)23:59の3日間限定です。
この期間中にダウンロードした場合でも、次の号をダウンロードすると消えてしまいます。
ただし、次の号のダウンロードの案内が出た場合に、ひたすら拒否り続けるとずっと読めるようです。

というわけで私もダウンロードしてみました。


特別増刊号のトップページ。


「聲の形・読みきり版」の最初のページ。


連載版ではダメキャラに設定変更されてしまったこともあり(また将也視点限定となったこともあり)カットされた、喜多先生がらしく活躍してるシーン。

でも、やっぱり電子配信はきれいでいいですね。
この「読みきり版」はマガジン本誌にしか掲載されておらず、単行本にもなっていないため、紙のほうでは印刷品質に限界がありますが、電子配信は実にきれいです。
紙の「読みきり版」を持っている方も、おさえておいて損はないのではないでしょうか。

あさってまでの期間限定(かつ、ダウンロード以降は次の増刊号などをダウンロードすると消える)なので、気になる方はお早めに。(^^)
ラベル:読みきり
posted by sora at 07:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 読み切り | 更新情報をチェックする

読み切り版に込められた編集者の熱い思いとは?

さて、Dモーニングの特別配信で盛り上がる「聲の形」読み切り版ですが、そんな読み切り版でぜひ注目していただきたいポイントがあります。

それは、

枠外に散りばめられた編集者の熱いメッセージです。
たくさんのページに、この「聲の形」にかける編集者の熱い想いと期待、熱気があふれるメッセージが書き込まれているのです。

ここでいくつか拾ってみたいと思います。


まず表紙のトップからして気合が入りまくり。


「魂の読み切り」。


「絶対に読んでほしい読み切り」。


そして最後は、読み切りであるにも関わらず、読者の応援で連載化させてほしいといわんばかりの、これまた熱いメッセージが。

これらのメッセージを見ると、当時ネットをにぎわせたこれらのツイートを思い出しますね。










いやーみんな熱すぎる。
私も、こういう熱いツイートなどに注目して「読み切り版」を読んだクチなので、懐かしいです。

ちなみに、残念ながらDモーニングでは、これらの「熱いメッセージ」はカットされています。

また、それに加えて面白いことを発見したので、それは次のエントリでご紹介したいと思います。
posted by sora at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 読み切り | 更新情報をチェックする

Dモーニング「読み切り版・聲の形」の分かりにくいオリジナルとの違いとは?

さて、前のエントリを書いていて、Dモーニング版「聲の形・読み切り版」と、オリジナルの(マガジンに昨年掲載された)「聲の形・読み切り版」の非常に気づきにくい違いを見つけたのでメモしておきたいと思います。

それは、

冒頭のヘッダーと巻末のフッターの文章が違う。

です。

まずヘッダーです。
マガジン掲載時のヘッダーのメッセージは、「23歳の俊英!・心震える魂の読み切り61P!」でした。



これに対して、Dモーニングで配信されたバージョンのヘッダーのメッセージは、「「週刊少年マガジン」から魂の出張掲載61P!」となっています。

「魂の出張掲載」って。(笑)


そして、巻末のフッターです。
マガジン掲載版では、連載化推しまくりの「動き出した2人の不器用な青春!応援よろしくお願いします!」でした。


それに対して、Dモーニング版では、連載が決まった後ということもあり「連載版「聲の形」は週刊少年マガジンにて絶賛連載中!」に変わっています。


…個人的には。
マガジン掲載当時のオリジナルメッセージのほうが「熱く」て、ずっといい感じですね。

他には、前エントリでも触れたとおり、枠外の熱いメッセージがDモーニング版では削除されたりDモーニングの広告に変わったりしています。

それ以外に、もし違いを発見されたら教えてください。
posted by sora at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 読み切り | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。