とはいえ、私一人ではとても解読できるものではないので、今回、当ブログを通じて親しくさせていただいているぽてとさんにご協力いただき、映画の各シーンの手話の解読を行いました。
ぽてとさん、今回は本当にありがとうございました。
それでは以下がその解読です。
なお、タイミングの時間については、松竹のロゴが出る冒頭からの時間になります。
10:03 小学校の遊具の前で
硝子「私、あなた、友達」
15:08 ノートを取り上げられて
硝子「私、あなた、友達」
23:22 手話教室から出てきた硝子がおばさん達に
硝子「こんにちは」
24:36 将也が「忘れ物」手話をしたのに対して驚いた硝子
硝子「どうして、手話をあなたが!?」
41:11~41:35 永束、結絃がカメラ越しに二人を見ているシーン(結絃がウソ翻訳をする場面)
将也「久しぶり。元気にしてたかい?」
(永束、結絃のやりとり)
硝子「あなたに会えてよかった」
将也「(追いかけてきちゃって)手話教室、大丈夫なの?」または「手話を勉強できたのは…」
42:51 橋で将也が渡したノートを見せて
硝子「これ、ありがとう」
44:21 ずぶ濡れの硝子が去り際に
硝子「またね」
48:24 結絃の回想、硝子から叱られる
硝子「結絃!(将也に)謝りなさい!要らないわよ!あんたなんか!」
57:17 佐原と再会、佐原の「びっくりした」のあとで
硝子「私も」「ねぇねぇ」
1:03:27 植野が将也とやり取りした後、去っていくのを見送った硝子
硝子「あの…何を話してたの?」
1:12:04 ジェットコースターから降りてきた硝子
硝子「楽しい」
1:21:04 橋崩壊直前、到着した将也に佐原が「どうかしたの?」と聞いているときに
硝子「大丈夫?」
1:21:31 橋崩壊の序盤(遠景)
硝子「どうしたの?」
1:26:06 結絃の夢の中の回想
硝子「死にたい」
1:29:49 祖母の葬儀場で蝶々が羽ばたいているのを見て
硝子「おばあさん…」
(蝶々の羽の斑点が祖母のほくろと同じ位置なので、この蝶々は祖母の化身かも?)
1:30:27 デートごっこで滝に着いて
硝子「気もちがいい」
1:31:27 デートごっこで将也が転倒して
硝子「ごめんなさい」
硝子「私と一緒にいるとあなたが不幸になる」
1:32:33 駅前で将也と待ち合わせて
硝子「こんにちは」
1:32:38 福祉会館の手話サークルの場で
硝子「こんにちは」
1:33:03 結絃が「明日は予定がある」と言ったのに対して
硝子「一緒に作ろう」
1:34:08 結絃の写真をコンクールに出した話題で
硝子「お母さんが(写真を)選んでくれたのよ」
1:34:24 来週火曜に花火大会があると結絃が言って
硝子「みんなで行こう」
1:36:24 花火の音を聞いて
硝子「耳じゃなく体の振動で感じてる」
※後ろ向きなので断定できないですが、そのように見えます
1:36:38 花火大会で立ち上がって
硝子「帰る」
1:36:54 将也に「送るよ」と言われて
硝子「大丈夫」(背中を向けていてほとんど見えませんが・・・)
1:36:59 去り際に
硝子「大丈夫」
1:37:08 将也に「またな」と言われて
硝子「ありがとう」
1:40:26 落下中の将也の走馬灯
硝子「友達」
1:54:20 将也が硝子の手を握って
将也→硝子「友達」
1:54:58 橋の上の再会のラスト
硝子「約束だよ」
1:58:37 学校の校門前で
硝子「おはようございます」
1:58:52 うずくまった将也に
硝子「どうしたの?」
1:59:02 将也に「なんか人の顔みれなくて」と言われて
硝子「どうして?」
2:03:01 植野に「そんな深刻な話してねーよ」と言われて
硝子「ごめんなさい」
手話が将也と硝子の会話を結絃が覗いてるところで
「筆談用のノートを使う?」
「手話を勉強したから大丈夫」
というようなやりとりが行われているのではないかと思うのですが、もしよろしければご検討をお願いいたします。
41:11~41:35の部分ですね。ぽてとさんの解読は、おっしゃっているものとは少し違うようです。
このシーンは、
硝子「会えてよかった」
石田「(追いかけて来ちゃって)手話教室は大丈夫なの?」
だと思うのですがいかがでしょうか。
問題のシーンを改めて検討しました。
まず硝子のセリフですが、カメラのレンズをズームしてからピント合わせしている演出をしているのと、斜め後ろから見ているため、分かりにくい部分があるのは否めませんが、「会う」「良い」の手話をしているのとみるのが妥当なようです。
参考:
「会う」NHK手話CGより
https://cgi2.nhk.or.jp/signlanguage/enquete.cgi?dno=2756
「良い」NHK手話CGより
https://cgi2.nhk.or.jp/signlanguage/enquete.cgi?dno=8076
「筆談用のノートを使う?」でしたら「ノート」の手話が出てくるはずですが、それが出てないです。
参考:
「ノート」NHK手話CGより
https://cgi2.nhk.or.jp/signlanguage/enquete.cgi?dno=1832
そういうわけで、「会う」「良い」から会話の流れとして
「あなたに会えてよかった」と訳するのが適切と判断しました。
次に将也の手話ですが、「できる」と「大丈夫」は手話は同じ表現であり、口形で補うか、話の流れ(文脈)で区別することになります。
参考:
「できる」NHK手話CGより
https://cgi2.nhk.or.jp/signlanguage/enquete.cgi?dno=1003
「大丈夫」NHK手話CGより
https://cgi2.nhk.or.jp/signlanguage/enquete.cgi?dno=6062
そして該当部分で、将也の口形はたしかに「だいじょうぶ」と動いているように見えないこともありません。
ただ、硝子のセリフが「あなたに会えてよかった」とするなら、「手話を勉強したから大丈夫」とするよりも「手話を勉強できたのは…」としました。
もちろん、これは絶対的に「この訳文でなければならない」わけではなく、「一つの解釈である」ことを理解いただければと思います。
「(追いかけて来ちゃって)手話教室は大丈夫なの?」
なるほど、その解釈の方が話の流れとしては自然ですね。
また、「できる/大丈夫」の手話(右手を左肩から右肩にあてる)をするところをコマ送りしてみると、その直後に将也の右手が少し動きかけたところで画面が切り替わっています。
なので、その手話の直後に将也が何を言おうとしていたのかは推測するしかないですが、「?」と問いかける手話(右手の手のひらを上に向けて相手の方に突き出す感じ)をしようとしていたというようにも見えます。
参考:ですか?(NHK手話CG)
https://cgi2.nhk.or.jp/signlanguage/enquete.cgi?dno=1005
それから、私を悩ませているのは、そのシーンの少し前
「久しぶり。元気にしてたかい?」の後も将也が手話しているのですが、遠景で手話が小さく見えていることと中途半端なところで画面が切り替わっているので、何を言いかけているのか解釈しかねています。
この部分、将也が何を言いかけていたのか、皆さんのご意見を伺いたいと思います。
ここまでのやりとりを踏まえた追記と、さらに見つかった手話を追加しました。
硝子「(書くのと、手話)、どっちが、良い?」
将也「手話、勉強したから、大丈夫」
たしかに「会う」も「どっち」も両手の人差し指を立てるという基本形です。
ただし、その後の動き方が異なります。
・「会う」はその人差し指をくっつけるようにする。
参考:出会う(NHK手話CG)
https://cgi2.nhk.or.jp/signlanguage/enquete.cgi?dno=4967
・「どっち」は両手の人差し指を交互に上下させる。
参考:どっち(NHK手話CG)
https://cgi2.nhk.or.jp/signlanguage/enquete.cgi?dno=1036
問題のシーンは両手の人差し指をくっつけるようなしぐさをして、その直後に「良い」手話をしていますので「会えてよかった」と解読しました。
手話は手の形だけでなく、その動き方も大きな意味を持つので、書籍だけで学ぶのは困難で、動画を見たり、実際に人間が手話している場で学ばないと、なかなかマスターできません。
こうしてみると、将也は硝子に再会するまでは手話教室などに通った様子もなく独学でマスターしてしまったというのは、いくら硝子への贖罪意識が強かったとはいえ、すごいことです。
地元でも屈指の進学校に通い、終盤では結絃の勉強も教えているので、地頭はすごくいいんでしょうね。
今、久しぶりに読み返して思いました。
硝子「約束だよ」
手話には詳しくないんですが、私なりの解釈は、
「わかりました。(約束します)」だと思ってます。