2014年12月29日

硝子メールの矛盾とういろうの謎

※このエントリは、単行本第4巻発売当時に書いたものです。そのため、その後の連載の内容と齟齬があったり考察に変化がある場合があることをご了承ください。

第3巻で将也と硝子が二人で佐原を探しにいくとき(実質初デート?)、硝子は将也にメールを送ります。


第3巻21ページ、第15話。

実は今日、妹からもっと嬉しいことを聞きました。
妹が家出した時に助けてもらったこと
妹と一緒に私を探してくれたこと


このメールについて、最初に読んだときはちょっと違和感を感じていました。

というのも、このメールからは、この日(カレンダーによると5月12日)に初めて、硝子捜索の日のこと(5月3日未明)を知った、と読み取れます。
ところが、それより前、結絃と永束・将也の先頭騒動があった日(5月5日)に、硝子は結絃が借りた服を将也に返し、その場で結絃が迷惑をかけたことを謝っているのです。


第2巻183ページ、第14話。

これは矛盾しているように見えます。
いったい、どういうことなのでしょうか。

最近、その謎を解くヒントが、この5日に硝子が返そうとした服と一緒に入っていた「ういろう」にあることに気がつきました。

このときの硝子の表情を見ると、ばつが悪いような恥ずかしそうな顔をしています。
どうも、ういろうが出てきたのが予想外で、それが恥ずかしかったようにしか見えません。
つまり、硝子は服と一緒にういろうが入っていることは知らなかったと考えられます。
ういろうというと、確かに名古屋から岐阜あたりの名物のお菓子ですが、まあ地元の若い人はあまり食べないんじゃないでしょうか。
そういうお菓子をチョイスした人物というと…西宮祖母(いと)が思い当たります

ですので恐らく、将也から結絃が借りた服は祖母が洗濯して紙袋に入れ、ついでにお礼としてういろうを入れたものを、結絃を通じて将也に返すよう硝子に託されたということなのではないでしょうか。
そして硝子がGPS携帯で結絃の居場所を探しながら歩いていたら、将也にも出くわした、それであの場面になった、と考えると辻褄があいます。

硝子は、紙袋に入っているのが結絃が将也から借りた服で、結絃が家出をしたときに将也から服を借りるような迷惑をかけた、くらいまでは漠然と聞かされていたものの、詳細は知らなかったのだと思います。

そして、より詳しい話を聞いたのが、将也と一緒に佐原を探しにいった12日だった、ということなのでしょう。
そう考えれば、説明がつきますね。
ラベル:第15話 第14話
posted by sora at 07:15| Comment(7) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先日しょうやの夢の手について質問したもも毛です。先日の回答は興味深く拝見させていただきました。ありがとうございます。自分は映画化がきまり今か今かと情報をまってる状態です。前後編になればいいなと思っていますがどうなんでしょうかね?最終巻が発行され最終話をみて気づいたのですが上野の「いちゃついてんじゃねーよ! 」は 石田と硝子の手話を見ていってますよね。これはただ二人でにやにやしてるのがムカついたのか、それとも手話の内容を知っていっているのか。管理人さんはどちらだと思いますか。後者なら植野は東京に行ってから手話を勉強し、硝子に歩み寄ったとみていいのかなと自分はそう思います・・・ 。映画では追加シーンにも期待したいところです。
Posted by もも毛 at 2014年12月29日 08:23
もも毛さん、

コメントありがとうございます。

映画の情報は、もう少ししたら出てくるんじゃないかと期待してますが、前後編になるというのはなかなかハードルが高そうですね(^^)。

植野は、多少は手話を覚えた(覚えてしまった)のではないかと思います。このときの手話も「きれい」「いい」といった、ヘアサロンでも普通に使う手話だと思われますので。

映画は、どうせ2時間に押し込めなければならないのなら、思い切ってまったく違うシーンがてんこ盛りでもいいんじゃないかと私も思います。
Posted by sora at 2014年12月30日 00:59
おばあちゃんっ子の硝子ちゃん姉妹、こうしたしつけは行き届いていますね。
名古屋文化の手土産のお菓子は、価格のわりに持ち重りがあるのが特徴です。若い子はコンパクトかつ高価格が手土産の主流ですから、あ、おばあちゃんや大人の教えが入っているな、と思った次第であります。

余談ですが、いとばあのお里は岐阜から名古屋に近い場所かなと。ママが肉じゃがに文句たれた時、手がふるい、場所、と動いてましたっけ。硝子ちゃんの手は東と表されていましたので、何となく名古屋から西三河エリアの食文化?と思った次第であります。尾張から三重県、岐阜県の県境付近の言葉は関西弁が主流ですがいとばあは名古屋弁が入っていますし。


地方をかいた作品は、何気ない描写にも土地の臭いがするので好きですよ。大垣は、京都大阪に近いからホットプレート調理が盛ん、水都ならではのバカ男子のいたずら。電車でひとっとびの場所に大きい遊園地がある。名鉄より近鉄の勢力圏。ファッションやアパレルの教育盛ん、ろう学校に昔ながらの理容科学科がある、精密機械や紡績産業の関係で外国人労働者が身近にいるなど。
女子高生のお礼の手土産ひとつにも大今良時さんの生活文化が透けて見えて愉快ですね。
Posted by あらやん at 2014年12月30日 09:21
あらやんさん、

コメントありがとうございます。

そうですね、確かにこの作品には、地方文化の香りがあちこちに漂っているように思います。
私も、岐阜ではありませんがその隣の滋賀がふるさとなので、ホットプレートやういろうなどは、懐かしさを感じる要素になっていたりします。
Posted by sora at 2014年12月30日 23:58
あらやんさんからの書き込みで思い当ったのですが、実は私には東三河地区出身の友人がいましたが、その人の手土産が、やはりそういう感じだったので、その地区の習慣なのですね。
(ちなみに、その友人の実家は豊橋から在来線で数駅行ったところの、その一帯では有名らしい銀杏の大木がよく見えるところでした)

方言についてですが、第2巻収録の第12話「あがき」で行方不明になった硝子を深夜、将也と結絃が探すエピソード内で、近所の家から「どこのたわけじゃ、うっさいぞ」と怒鳴られるシーン(第2巻150ページの最上段のコマ)、この言葉づかいもこのあたり一帯の方言なのでしょうか?
Posted by ぽてと at 2014年12月31日 20:57
3巻告白の手前の「知っていったら必ず小6の自分に・・・」の部分ってどういう意味ですか?
西宮さんの事を知ると小6の自分の悪さを思い出して気分が悪い、もしくは相手に思い出させるから知りたくないってことですかね?
Posted by すぴ at 2015年12月24日 20:07
すぴさん、

コメントありがとうございます。

この部分ですが、すごく率直なところをいうと、

「わからないです。」

ざっくりといえば、「俺(将也)が、これから硝子のことを知っていったら、きっと小6のころの俺の話になる(そしてそれはとても苦痛なことだ)」みたいなことかな、と思うのですが、ちょっとヒントが少なすぎて、はっきりしたことは分からないですね。

ただ、要は将也にとって自分が小6のときに硝子にやってしまったことがトラウマになって、いま(高校)の硝子にも素直にアプローチできなくなっている、ということが描写された場面だ、ということなんだろうとは思います。
Posted by sora at 2016年01月07日 20:53
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