2014年12月28日

遊園地編、植野はなぜ来たのか?

※このエントリは、単行本第4巻発売当時に書いたものです。そのため、その後の連載の内容と齟齬があったり考察に変化がある場合があることをご了承ください。

第4巻の前半パートである遊園地編、当初は「うきぃ」の熱もさめやらないタイミングでの将也と硝子のグループデートのようなものになるのかと思いきや、旧小学校メンバー勢揃いのトラウマ回となりました(^^;)。

そもそも、駅で待ち合わせのときに呼んでもいない植野がきたのがすべての出発点で、遊園地のトラブル(島田との再会、硝子ビンタ、ソフトクリーム投げつけ)はぜんぶ植野が持ってきたようなものですが、植野はなぜ呼ばれていないのに遊園地に来た(来れた)のでしょうか?


第4巻26ページ、第25話。

これ、よく読むとつながるようになっています。

まず植野は、「川井っちに呼ばれた」と言っています。


第4巻27ページ、第25話。

でも川井も呼ばれていないはず…ということでチェックしてみると、第24話のこのコマにヒントがあります。


第4巻18ページ、第24話。

…真柴が川井に相談したのか…。

ちなみにこのコマは、単行本掲載にあたって修正の入ったコマになっています。連載のときには、このコマには会話の書き込みがありませんでした。


第24話16ページ(連載当時)

このように連載時はただ3人が「何かを話していた(内容不明)」コマとなっていましたが、単行本化にあたって文字の会話が追加されています。なぜ川井と植野が集まってきたのかを明確にする意図と、「最初から誰かが謀っていたわけではない」ということをはっきりさせるための加筆だと思います。

ただ、この作品に「将也視点でずっと進んでいる」という前提があることをふまえると、この修正によってちょっとこのコマは例外的なものになってしまいました。
第25話で、川井や植野がなぜきたのかよく分からないと将也が感じているのに対して、すでに第24話で「将也が」真柴が友達と相談するという話を聞いていることになってしまっているからです。

というわけで、植野サイドで何があったかの経緯は、こういうことになるでしょう。

1)真柴、川井に休日遊びのプランについて相談する。

2)この瞬間に川井も同行することを決定。

3)参加メンバーの中に将也がいることを知った川井は、植野が将也のことを好きなのを知っているので「気を利かせて」植野を呼ぶのと同時に、行き先についても相談する。

4)植野は、「将也と島田の仲直り」を実現しようと、行き先を遊園地に決定。


こう考えると、すべてのやりとりがつながりますね。
例えば、植野にソフトクリームを投げつけられた将也に、川井が「わざわざ連れてきてあげたのにしっかりしてよね」と声をかけているのも、川井にしてみれば「自分×真柴」「将也×植野」のダブルデート的な意識も強かったんだと思います。

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第4巻69ページ、第27話。
posted by sora at 07:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 第4巻 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんかこれを見ると、
「川井は早々に植野を裏切って石田と硝子をくっつけるように動けば石田の操縦さえ可能で万々歳」
だったのではないかと思えてしまいますね……

流石に真柴よりは植野の方が優先順位が高かったのかしらん。
Posted by 白えんぴつ at 2014年12月29日 08:22
白えんぴつさん、

コメントありがとうございます。

この頃は、川井は非常に計算高いキャラクターだと思われていましたが、第6巻の川井回で、どちらかというと天然キャラだということが分かり、この第4巻あたりの行動原理も、シンプルに「より身近な友達の植野を応援する」というだけのことだったのかな、とも思います。
Posted by sora at 2014年12月30日 00:56
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