第55話に登場する、やや分かりにくいせりふの意味を考察しています。
3)この髪 ねーちゃんが切ってくれてるの 知ってた?(結絃)

第55話、16ページ。
このせりふ、表面的な意味は言っている通りですから全然難しくありません。
でも、それに対して将也が「そうなんだ っへ~……」と感心するような普通のせりふを返したら、結絃はジト目(期待したリアクションが得られなくてずっこけた気持ちを表現)をしていますから、そういうリアクションを期待していたわけではない、ということが分かります。

第55話、17ページ。
ここは結絃は、将也から、
「えっ、西宮って髪切れるの?なんで?」
みたいなリアクションを期待していたに違いありません。
そして結絃はその流れで、
・硝子がいま理容科に在学している(だからカットができる)こと。
・小5のときに出会った石田母が理容師を目指すきっかけだったこと。
を語りたかったんだと思います。
「そろそろチューくらいはしてもいいんだぞ」とまで言っていた結絃ですから、勢いで「うちのねーちゃんをこの店の跡継ぎにしてもいいんだぞ」くらいは言おうとしていたのかもしれません。
でも、そういう大事なときに限って必ずボケをかます将也…(笑)
4)次は俺もああやって(将也)

第55話、18ページ。
このせりふ、将也は酒を飲んで盛り上がっている石田・西宮両家の母親を見て言っています。
となると、「ああやって」というのは、ストレートに読むと「酒を飲んで盛り上がる」ということになってしまいますが、将也は(もちろん硝子も)まだ高校生ですので、酒を飲んで、の部分は修正して、「食べたり飲んだりして」盛り上がる、という風に解釈するのが適切だと思います。
そして「ああやって」、その結果としてどうするのか、というところですが、席を外す前はまだまだよそよそしくて、しかも少し険悪な雰囲気まで漂っていた石田母・西宮母が、戻ってきたときには(酒のおかげで)すっかり意気投合して親密になっていたわけですから、ここで将也がイメージしているのは、「自分と硝子も、同じように意気投合してもっと親密になりたい」ということだと思います。
そう考えると、この将也のせりふは、こんな風に読み取れるのではないでしょうか。
「次の機会には、俺も硝子と、食べたり飲んだりして楽しく盛り上がって、いま以上に意気投合して親密になりたい」
確かに、みんながコンビニに出向く前の食卓は、暗くてどんよりとした雰囲気でしたから、まあシンプルにいって「また硝子と家で食事をする機会があったら、今度はこんな風にわいわいと盛り上がりながら食べたいな」くらいの気持ちだったのかもしれませんね。
ラベル:第55話