第55話に登場する、やや分かりにくいせりふの意味を考察しています。
2)そうか… そーだったのか… 知らないこと あるもんなんだなあ

これは、硝子が転校直前にヘアメイクイシダで髪を切っていた、という話を聞いて、将也が思わずつぶやいたせりふです。
これ、ちょっと読むと、硝子がヘアメイクイシダにカットをしにきた日(将也が度胸試しで川に飛び込んでいる間に靴を盗まれた日と同じです)のことを将也が覚えていて、

第1巻27ページ、第1話。
ああ、あの日にお客として来ていた、あの女の子が西宮だったのか それは気づかなかったなあ。
という意味で話しているように見えます。
…が、よくよく読んでみると、このせりふはそういう意味ではないことが分かります。
このせりふの直前、将也は「あの おかっぱな感じの…! へー」と言っています。
そして、上記のせりふが書かれたコマで、硝子は後姿でボブカット(おかっぱ(笑))になっています。
ここまで見ていくと、ある「矛盾」があることに気づきます。
「あの日」、将也が硝子を店の待合室で見たとき、硝子はまだ髪を切る前のセミロングでした。
そして、その後の騒動(第1巻番外編)を将也は見ていないので、将也は「あの日」にはボブカットになる前の硝子しか見ていないのです。
さらにいうと、将也が硝子を見かけたとき、硝子は後姿ではなく前向きで雑誌を読んでいました。
つまり、ここで「ボブカットで後姿の硝子」を思い出しているということは、将也が思い出しているのは「あの日」の硝子ではなく、「転校してきたころ」の硝子だ、ということになるわけです。
そして、ここで思い出している映像は、自分の前の席に座っていた硝子を後ろから眺めたものということになるのでしょう。
ちょうど一番最近で言えば、第53話で将也の夢の中に出てきた「障害がなく普通に話せる硝子」の後ろ姿が、まさにこのページの硝子とまったく同じです。

第53話、1ページ。
というわけで、このせりふで将也が言っているのは、
転校してきたとき、硝子はボブカット(おかっぱな感じ(笑))だったけど、あの髪はうちで切ってたのか、それは知らなかったなあ。
という意味になるのだと思います。
つまり、さすがの将也も、まさか硝子が実際にカットしにきた日にも本人と会っていたということまでは思い出していない、ということになるわけですね。
もしそのことを思い出したら、(憧れだった理容師が実は将也の母だったと知って驚愕した硝子と同じく)将也もまたあまりの運命のいたずらに驚くことになるのかもしれません。
