2014年12月05日

第61話、植野が伝えたことと隠したこと(2)

※このエントリは、第61話連載時に書いたものです。そのため、その後の連載の内容と齟齬があったり考察に変化がある場合があることをご了承ください。

さて、第61話で植野が「語らなかった」秘密についてですが、今回の文脈の中で、あえて植野が話さなかったのではないか、と私が考えずにはいられないものが1つあります。

それは、

10)島田が将也を中学に入ってもいじめるほど嫌うようになったのは、植野が最後まで続けた硝子いじめを将也の犯行と誤解していたから

という、当ブログでずっととりあげている点です。

植野は、かつての仲間関係の崩壊後も、島田と将也の和解をずっと願っていたことは間違いありません。
ならば、島田がなぜ将也をそこまで嫌い続けるのか、ということをやんわりと聞くシーンも何度もあったに違いないでしょう。
「学級裁判で裏切った」ということだけが理由なら、それ以降、完全に牙が抜けて大人しくなった将也を、そこまで断罪し続けることには違和感があるのです。
逆に、島田がその程度で将也をそこまで嫌うなら、「硝子が転校するまでいじめを続けた」植野を嫌わないことが不自然になります

つまり、島田は少なくとも、後期の硝子いじめが植野の仕業だったことは知らないと考えるのが自然です


第6巻137ページ、第50話。

そして、「誰がいじめてるか分からないけれども、学級裁判後も硝子へのいじめが続いていて(むしろエスカレートして)、結局硝子は転校に追いやられた」という状況は、島田をして「将也が続けていたに違いない」と推測させるに十分だったでしょう。

島田が中学に入って「将也が女子をいじめて転校させた」という噂を流し、将也と友達であった過去を消したいとまで考えた理由はそれしかない、と思うのです。


第1巻171ページ、第5話。

だとすれば、です。
植野は、島田がそういう誤解をして、それを最大の理由として将也いじめを続けていることを知らなかったはずはないわけですね。

今回、植野が「語らなかった」最大の秘密は、おそらくこれじゃないかと思っています。

ただ、植野は実際にはこの秘密に将也自身が気づくための「ヒント」は出しているといえますね。
それは、前エントリで整理した「語られた秘密」のうち、

5)植野自身、硝子へのいじめを行ったこと。

です。
ここで植野は「上グツ 汚したり」という硝子いじめの内容を語っています。


第61話、7ページ。

この「上靴を汚される」という硝子いじめを、将也は学級裁判後に目撃しているはずです(第1巻がすべて「将也視点」であると考えて)。

ならば、将也は、今回初めて得た5)の情報を駆使して、

・硝子は自分がいじめをやめた後もいじめられていた。
・そのいじめは植野がやっていた。
・その後、硝子は転校した。
・中学に入って島田に流された噂は「自分が硝子をいじめで転校させた」というものだった。
・でも実際に「転校させるまでいじめを続けた」のは自分ではなく、どうやら植野だったようだ。
・島田は、植野の硝子いじめを自分がやっていたと誤解して、それで一層自分のことを憎んでいたのかもしれない。


という「推理」を、「将也が」働かせることも、不可能ではないわけですね。
posted by sora at 07:05| Comment(1) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。なおかさんが石田君が好きで硝子ちゃんがジャマだからいじめたなんて、そりゃ言うのはキツかろうと思います。


6巻目のなおかさんのお話、女の子なら当たり前の感情をリアルに描いてました。そりゃ思い人には知られたくないわな。


それと同時に、障害児が一般の人の中に入ると、こんな感情持たれるんだなと…
硝子ちゃんが聞こえる子ならただの恋の鞘当てで済んだんだろうなと思ってしまいます。


石田君が好きで硝子ちゃんがじゃま。思い人には墓場まで隠しておきたいよね。意識不明の時の接吻とか、硝子ちゃんボコった挙げ句の西宮ママとのバトルとか。ひとつなおかさん弁護するなら、人にコソコソと噂話にしなかったこと。それだけはフェアないじめでしたな。人に手を下させる事はしなかったわけだし…

少年誌でこれだけリアルな女の子の感情が描ける。 私がおれは鉄平や釣りキチ三平、コータローまかり通る読んでた頃は、女子がマガジン読むなんて変人扱いされてました。昭和は遠くなりにけり
Posted by あらやん at 2014年12月05日 18:03
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