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2014年12月02日

将也だけが罰を受けすぎ? あるいは将也=キリスト仮説(12)

さて、第7巻です。
将也は復活し、将也の贖罪によって将也と硝子をとりまくあらゆる人物の罪は救済されました

硝子は障害をありのままに受け入れて自分を認めて生きていけるようになり、自分が周囲を不幸にするという「呪い」からも解放されました。

結絃は登校を再会して高校にも合格し、西宮母は子どもが全員立ち直ったうえに自らも飲み友達ができ、外にも中にも味方がいる安定した環境を手に入れました。

石田家にはペドロが戻り、新しい子どもも生まれ、将也の進路選択の結果、家業の後継問題もなんら心配がなくなりました。

佐原は植野と和解し、自らを高める努力が実って東京行きが決まり、自らファッションブランドを立ち上げて20歳で社長になってしまう勢いです。

植野も過去へのとらわれから解放され、東京で成功する道を切り開いて家庭の貧困から脱出するチャンスを得ました。

永束はずっと渇望していた確かな「友情」を手に入れて信じられるようになり、
川井は矛盾が生じてきていた優等生キャラをスムーズに卒業し、人間関係を維持したままより自然に振舞えるようになり、
真柴は過去のいじめ経験のトラウマを解消して前向きに将来を考えられるようになり、人間も丸くなりました。


これらは、もちろん個々の登場人物の成長としてとらえることもできますが、「将也=救世主」論をとおしてみたときには、全員の罪をつぐなったあとで復活した将也が見た、「すべてが救済された世界」でもあった、と思うのです。

そして、肝心の将也自身ですが。

将也の進路自体は実家の家業を継ぐ、という、率直にいえば「地味な」ものになりましたが、「未来への希望」という、かけがえのない大きなものを手に入れました。

それに、将也は2度も命を救われているんですよね。
1度目は、最初に硝子と再会したとき、「友達になれるか?」の手を硝子が握り返してくれたことによって。
2度目は、転落し、昏睡して生死の境にいた将也の「手を引っぱって」、目を覚まさせてくれたことによって(こちらで「手を引っぱった」のも、硝子(の心)だった、と考えられそうです)。


第53話、3ページ。

命を救われ、未来に希望を得て、はっきりした進路が見つかったこと(さらには硝子を人生のパートナーとして得たこと)、これらを総合的に考えるならば、実は最も大きな「救い」が将也に与えられていると私は思います。

佐原や植野、島田が外の世界に羽ばたき、真柴や川井が大学に進学していくなど、これらのメンバーが「大きな成功」を手に入れているように見える一方で、将也が地元で「くすぶっている」ことに、やはり不公正感(罰を受けていない植野や島田がのうのうと成功して、罰を受けまくりの将也が地元で先の見えた将来なんておかしい)を感じるむきもあるかもしれませんが、作者はあえて意図的にそれをやっているように思います。
タグ:第53話 第62話
posted by sora at 07:35 | Comment(8) | TrackBack(0) | 第7巻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>これらのメンバーが「大きな成功」を手に入れているように見える一方で、将也が地元で「くすぶっている」ことに

ええ?そうですか?石田の将来・進路が主要キャラ中もっともマトモなように私には思えましたが?

ファッションブランド立ち上げっていっても、ああいうのは新陳代謝の激しい世界でそう甘くない世界ですし、ジャンルがはっきりしない島田の音楽留学なんかもクラシックとすれば幼少時から楽器ばっかり弾いてきた連中と渡り合うのは並大抵のことではないでしょうし。

石田の場合、すでに親が築き上げた店舗と顧客があるわけで一から理髪師を目指す人間に比べればかなり有利な条件ですし、そこに好きな娘と一緒に仕事して(まあ、硝子ちゃんとの仲がうまく成就すれば・・ですが)・・っていうのは羨ましい限りで、俺が代わりたいと思うほどですわ(笑)

真柴と川井は・・結局、普通に就職活動してサラリーマン、OLになるのかな?あるいは真柴はそのまんま売れない俳優になって川井に食わせてもらうのか?
石田姉、ペドロ夫妻の「この子の為にちゃんと仕事見つけてよね!」というやりとりは将来の真柴と川井の姿??

やはり、最終回は成人式の日で正解だったと(笑)
Posted by prijon at 2014年12月02日 08:24

確かに成功かどうかはまだ分かりませんよね、むしろ不安定な世界に飛び出していったキャラばかり。

かといってどれも成功すれば小さな理髪店には勝ち目ないですし、将也が地元でくすぶっているのは事実…。
Posted by 永束体型 at 2014年12月02日 14:29
島田についてですが、音楽「留学」と音楽「修行」ではニュアンスに若干違いがあるような気がします。テキ屋のバイトといい、順調に音楽の道を歩んでいるというより、若干ドロップアウトしながらも夢を追っているキャラなのかなーと思ってました。
「のうのうと成功」って感じはあまりしないですね。

話は変わりますが、金曜日に転落して日曜日に復活してたら綺麗にまとまる一連のエントリーなのに惜しいな、と思いましたw
Posted by スリフ at 2014年12月02日 19:49
こんばんは。ガブリエル・フォーレの楽曲聞きながらエントリを読みました。


水門脱出組には、夢の後に。やがて訪れる停滞の音を。水門に残った石田君は、シチリアーノ。倦怠感の中で風だけが動いてる音がなんともお似合い。シチリエンヌと合わせると硝子ちゃんのテーマに。


いろんな方の想像する未来像がフォーレの音にピタリと決まって面白いの、なんの…
Posted by あらやん at 2014年12月02日 21:56
皆さん、コメントありがとうございます。

はい、私も「親の床屋を継ぐ」は堅実な選択肢の1つだとは思います。
既に初期投資も回収し、固定客も持ち、住むところにも困らない、といった環境を考えると、自営業をやるうえではもっともリスクが小さい形でスタートを切れるのは間違いないですからね。(そういう意味では、同じ自営でも佐原と植野はリスクがありますね。)

このエントリですが、たしかに金曜から日曜ではありませんでしたが、日曜から始めて火曜日までの「3日で」完結しています(笑)。

最終話ですが、東京や海外に羽ばたいていった「リスクテイカー組」と、地元の水門市に残った「堅実組」という対比も描かれていると思います。
Posted by sora at 2014年12月03日 00:15
将也は実家の後を継ぎ、堅実に生きてゆくことになりましたが、最終回の描写は、彼がもしかすると硝子と一緒に「旅に出る」可能性もあるよ、まだわからないよ、と言っていると思いました。

将也は母親が女一人で、男性客の多い理容の店を切り盛りすることを心配していますが、ペドロというこの上ない守護者が帰ってきました。

また、薬を飲んでいるくらいだから体も不安があるでしょうが、日々気にかけてくれて本音で話せ、しかも病院とのつながりのある友人が得られました。

それと、お姉さんには第二子が生まれる予定で、家はさらに狭くなります。

そんなわけなので、将也はしばらく、旅に出ることになると思います。どういう形の旅かはわかりませんが、東京だって意外と近いですし。それから、理美容の技術のある人なら、今世界中どこでも生きてゆくことができますよね。ほんとにすばらしい未来です。

Posted by かさ at 2014年12月03日 09:29
肝心の将也と硝子の行く末が今ひとつはっきりしない最終回でした。
将也が硝子に聞いてない…大丈夫か?ですが、いくら進展がないと言ってもあれだけ親しければ進路くらい聞けるでしょうから互いに切り出せない状況と想像。以下考えられる理由をいくつか…。

1.将也は一緒にヘアメイク石田で働くことを硝子に申し込むつもり。
実質的にプロポーズに等しい話なので軽々しく切り出せない。
断られてキモいと思われたらどうしよう?

2・同様に硝子もヘアメイク石田で働こうと思っているが断られてキモいと思われたらどうしよう、と考えている?

3・硝子は東京で就職するつもり。2年前に野良先生のところに行くときも後ろめたかったのに切りだしづらい。
もしかして本格的な自立と別れの始まり?

4・実は将也が東京に出るつもり。最終回の状況を見る限り、ペドロも戻ってきたし、当分石田母のみで大丈夫そう。でも追っ掛けと思われてキモいと思われたらどうしよう?

5・硝子は実は東京で彼氏ができた?
植野の「イチャついてるんじゃねぇ」
は(東京に彼氏がいるのに)にかかっている?ラストの手繋ぎの赤面は実は(東京に彼氏がいるのに)こんなことしていいの?という困惑だった?
知らぬは石田ばかりなり?

ママ宮に探りを入れるものの「自分で聞け」「あの子が決めること」とあっさり中立不介入宣言され逃げ道を塞がれた将也くん。幸運を祈る…としか。
正解は作者のみぞ知る…ですな。
Posted by prijon at 2014年12月03日 18:01
皆さん、コメントありがとうございます。

私も、将也は「家を出る」という流れが少し見えているような気がします。

大今先生はよほどのことがない限り続編を描くことはないと思いますが、これから数作が連続して打ち切りになるような不幸な展開が万一あったとしたら、その「よほどのこと」が起こる可能性もゼロではないでしょう。

そのとき、最終話の続きとして、将也はきっと家を出るんじゃないか、と思うんですよね。(その場合、きっと硝子とはまだ「くっつかない」展開になると思います(笑))
Posted by sora at 2014年12月03日 23:30
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