2014年11月22日

最終回、聲の形は「マイノリティの形」でもあった?(1)

第62話での展開で変わったところ、目立つところというと、まずはペドロの再登場があげられますが、同時に、高校卒業組のうち、佐原と植野が微妙に「友人」のラインを少し超えるような関係になっているところも見逃せません。


第62話、11ページ。

掲載誌が少年誌であるからか、微妙にはぐらかされているようにも思いますが、一般的に考えると、右手ではなく左手に指輪をするというのは、「本気」の関係であると受け取られてもおかしくないと言えますし、そういうファッション面のセンスについて、最も敏感であるのがこの2人のはずです。(もちろん、いつも右手にしてるのを将也に邪推させるために左手に移したのかもしれませんが、右手だとしても話は同じでしょう)

そういえば、もともと佐原は太陽女子で宝塚の男役的なノリで後輩に絶大な人気を誇っていましたし、さらに遡ると第3巻の佐原カラオケ回では硝子の胸を、カップサイズを「確かめてやるぅ!」と言って触っている描写もあり、さらには一緒にプールに泳ぎにいったりもしていました(さらにいえば、このときも硝子と同じバスタオルにくるまっています)。


第5巻86ページ、第37話。

というわけで、仮に佐原がもともと同性愛志向をもっていて、そこに、おそらくルームシェアをしているであろう植野が加わって、「友人関係」を踏み越えるような関係を育みつつあるのかもしれない、と想像したりしてみて、ふと考えると、実はこのまんがの中では、かなり多様なマイノリティないしは「弱者」が登場し、物語のなかに自然に溶け込んでいることに気づきます。

まずその「マイノリティ」、弱者性を持つ者の筆頭が、聴覚障害者である硝子であることは論を待たないでしょう。
硝子が聴覚障害者であるがゆえのディスコミュニケーション、差別、いじめは、この作品の中核要素であることは間違いありません。

そして、将也の姉はブラジル人のペドロとの間にマリアという女の子を設けています。
ペドロは在日外国人というマイノリティであり、マリアもまた、肌の色で差別を受ける可能性があるという意味で、ハーフというマイノリティであると言っていいでしょう。
さらにいうと、ペドロが外国人であることは、やはり硝子のケースと同様に、言語によるコミュニケーションが万全でない状況を作り出している(つまり、ペドロはコミュニケーションの面で必然的に苦労することになる)ことも見逃せません。

次に、将也、硝子(、結絃)、いずれもが母子家庭の子どもであり、ペドロが戻ってくる最終話の直前までの石田姉とマリアの親子もそうでした。
日本の社会における母子家庭の貧困度は世界でも群を抜いているといわれ、その点からはこれら親子も、経済的弱者としてのマイノリティ的存在であると言えます。
(また、はっきりとは描かれていませんが、植野の家庭は父子家庭である可能性があります)

「母子家庭」「20代前半男性」「子ども」に際立つ日本の貧困 国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩部長が解説

そういう観点からは、「結絃」というキャラクターにも注目すべきだと思います。
posted by sora at 07:53| Comment(7) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。毎度のお目汚し失礼します。

貧乏と貧困は似て非なるもの。なおかのような居場所を絶えず脅かされかねない立場の子どもは、硝子のような子どもを排除に動くのは普通にあります。私学の被服学科みたいにカネ食い虫の高校に電車通学できても、貧困と言えるでしょう。片親+人間関係の不安定=貧困の公式が成り立ちます。


西宮ママと石田ママの描かれ方は、暗い貧乏と明るい貧乏のコントラストでしたよね。分かれ道は、人間関係の豊かさのある貧乏と人間関係の足場を流された貧乏。中学のガキタレが高価なデジカメ持ち、タブレット持っていても豊かだとか羨ましいとは思えなかった。


硝子ちゃんは意志疎通の貧乏が周りの誤解と無理解から人間関係の貧困に追いやられた。それは死神を引き寄せるほど重いものでしたよね。


役所から手帳が出る難聴者の親がいて、発達障害と不登校持ち娘を持っていたせいで、外国人や混血児が当たり前にいる学校に娘をやり、まわりにマイノリティが普通にいたから逆に普通に学園物やホームドラマとして読めました。逆にこんなに当たり前のシュチエーションとして読めちゃうの、社会的には少数派の証左なんでしょうね。
Posted by あらやん at 2014年11月22日 11:40
発達障害…

ゆづるのことですか?
たしかに小さいけど、ゆづるは発達障害でないのでは?
Posted by けー at 2014年11月22日 17:11
けーさん

差し出がましいようですが。

発達障害というのは、あらやんさんご自身のお子さんについての言及かと思われます。

Posted by ブラウニング at 2014年11月22日 18:38
発達障害はうちの娘の事です。ゆづちゃんは頭のいい定型っ子で単にママと関わりをトラブった兄弟児かと。


あんまり手前がたりは好ましくありませんが、発達ちゃんが家に持ち込み、ホームドラマと見ていただけとお伝えしました。


お目汚し失礼しました。
Posted by あらやん at 2014年11月22日 20:03
皆さん、コメントありがとうございました。

我が家も、重い障害児をかかえていますので、特段「変わった人たちが集まっている」という印象はもたず、さらっと読んでいるほうかもしれません(橋崩壊から硝子飛び降りまでは胃が痛かったですが)。
Posted by sora at 2014年11月22日 23:35
以前から記事を拝見していました(._.)
完成度の高い考察をいつも楽しみにしていたので、この先聲の形の考察が見れなくなると思うと寂しいです。
アニメ化するらしいですが、感想などは更新する予定でしょうか?
Posted by おしん at 2014年11月23日 20:52
おしんさん、

コメントありがとうございます。

このブログは、基本的には「まんが」のみを扱うつもりですので、単行本の7巻が出たら、あとはファンブックでも出ない限り更新はしなくなると思っています。

アニメについては、何度も細かいところを繰り返しみて考察するのは、時間がかかりすぎますので…。

ということで、軽い感想くらいは書くかもしれませんが、アニメで考察エントリを書くということは、ないとお考えください。
Posted by sora at 2014年11月24日 19:59
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