2014年11月09日

第60話で描かれた、結絃の硝子からの卒業と使命感とは?(1)

さて、第60話でちょっと驚いたのは、結絃が急に登校しはじめて、さらに真面目に勉強を頑張って授業に追いつこうとしていることです
つい1話前の第59話では「大丈夫 諦めてる オレもばばーも」と言って登校・勉強する気がないようなそぶりだったのに、なぜ結絃は急に態度を変えたのでしょうか?

私は、ここには結絃の大きな「気づき」と価値観の転換があったと感じています。

結絃が登場した第2巻から、硝子が自殺を決行したあたりまで、結絃はずっと「硝子の保護者」を自認し、障害者である硝子を自分がいじめや辛いことから守っているんだ、硝子は自分がいなければだめなんだ、と考えていました。

そういった考えが端的に現れていたのが、たとえば第4巻のガムシロ回です。
泣いていた結絃が強がって「退屈だ」と言っているところに、将也が「(退屈なら)ねーちゃんがいるだろ」と言ったとき、結絃は、


第4巻138ページ、第30話。

結絃「ねーちゃんは だめだめだよ オレがおもりしてやんねーと」

と返しています。硝子のことを「オレがおもり」する対象と認識していることが分かります。
さらに、硝子が自殺を決行してしまって、将也が眠る病院で石田母に会ったときも、結絃は、


第6巻29ページ、第44話。

結絃「オレのカントクフユキトドキです ごめんなさい」

と言って土下座して謝罪しています。

考えてみると、そもそも結絃が髪を短く切って男性的に振舞うようになったのは、第1巻番外編のあの日、石田母が硝子の意を汲んでボブカットにした髪を西宮母がさらに短く切ろうとしたとき、それに抗議する意味も込めて結絃が自分で自分の髪を切ったときからでした。

さらに遡ると、硝子が水門小に転校してくる前、第二小の時代には、硝子はデラックス一味に石を投げられたり補聴器を捨てられたりしていじめられており、結絃はそんな硝子を守ろうと、必死にいじめっ子に立ち向かっていました。

つまり、結絃は小学校低学年の頃からずっと、障害がゆえにいじめられ弱い立場におかれていた硝子を「守る」ために行動し、硝子の保護者のように振舞っていた、ということになります。
髪を短く切って男性的に振舞ってきたところからは、西宮家に存在しない「父親的役割」を担おうという「使命感」も持っていたんだろうと推測されます。

でも、そんな結絃の意識と使命感(そしていくばくかのプライド)は、まさに先ほどの土下座騒動、「カントクフユキトドキ」と語った直後に起こったイベントで、ズタズタに引き裂かれることになります


posted by sora at 07:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする
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