2014年11月03日

第59話、硝子はなぜ進路を語るのを照れていたのか?(3)

硝子は、自身が目指していた「理髪師」という将来の夢と、いまや誰よりも大切な存在となった将也の「生きるのを手伝う」という役割が交わる究極の未来の夢として、「理髪師として一人前になって、将也と互いに支え合って生きていく」ということを考えている可能性が高いと思います。

ただ、現時点での硝子を冷徹に評価するならば、その「夢」にたどり着くには、「一人前の理髪師になる」という前半の部分について、まだまだ頑張らなければならない段階に留まっていると言わざるを得ません。

その「至らない部分」を具体的に言うなら、

a)硝子はまだ理容師の資格を取れていない。

b)硝子には障害があり、お客との意思疎通等でハンディキャップがある。

c)ヘアメイクイシダは現状では理容師は1人いれば十分で、付加価値がつけられなければ硝子がもう1人追加で入る余地がない。


といった課題をクリアする必要があるわけです。

そして、これらの問題をクリアするためのカギとなっていそうなのが、先ほど並べたポイントの5番目である、

1)硝子は将也から「生きるのを手伝ってほしい」と言われて、それを心から承諾している。
2)将也の自宅が理髪店であり、石田母こそが自分が理容師を目指すきっかけになった憧れの理容師だったことを、硝子は将也昏睡中に気づき、将也退院後に石田宅を訪れて確信した。
3)石田母の経営するヘアメイクイシダは、石田母一人で切り盛りしている零細理髪店である。
4)硝子はいまの高校の理容科を卒業しただけではまだ理容師資格が取れていないようで、資格取得は卒業後、実務経験を積んだうえで取得という流れらしい。
5)硝子の理容科での成績は優秀で、硝子が尊敬する東京の先生から修業に来るよう誘われている。


ということになります。
これによって、

a)理容師の資格は取れます。
b)先生も聴覚障害者だということで、障害を持ちつつお店で働くためのノウハウを得ることができます。
c)特に優れた技術を身につけることで付加価値を生み、それによってお客様の数を増やしてヘアメイクイシダの「2人目の理容師」としての居場所を作り出せるかもしれません。


という風に、すべての課題の解決が見えてくるわけですね。

恐らく硝子は、このあたりまで考えて、「上京して理容師としての腕を磨く」ことを選ぼうとしているのだと思います。

だから、硝子の頭の中では、「将来、理容師になる」ということは「将来、将也と一緒になる」ということに限りなく近く、それを将也に告げることはほとんどプロポーズするようなものだと感じているのではないかと思います。

だからこそそれを語るときに真っ赤になったのでしょうし、それを頭ごなしに否定されて、ショックで怒って帰ってしまったのだと思います。


第59話、14ページ。
タグ:第59話
posted by sora at 07:48| Comment(3) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。

岐阜県では、奉公しながら通える理容師養成施設がないからしょうこちゃんが資格取るなら、専攻科に進むか、名古屋近辺に出るか誘ってくれた先生がいる東京しかない事がわかりました。ゆづちゃんの進学を考えたら東京でしょうね。仮に太陽女子に行けても、初年度や教材費払ったら二人とも学生にしておける余力は西宮さん家にはないはず。名古屋に奉公出ても、ママから何らかの支援がないと難しい。ろう学校の就職も並大抵じゃないから、推薦状が取れた東京が一番現実的でしょう。そもそも推薦状を取ったら、取り下げはきかないよ?学校と事業者のお付き合いがヤバくなるから…支援学校が事業者を怒らせたら、後輩がひとつ就職先をなくしちゃう事をしょうこちゃんは知っているはず。
お互いが興奮しちゃって、石田くんはしょうこちゃんの立場に目をやれない。自分の焼きもちや寂しさを自覚しないままべらべら喋る。しょうこちゃんもつられて怒っちゃって、あげくに手話でウザい!!なんていう始末。若い時はそんなもんですが…

おーい、みんなの声をきちんと聞きますって誓いはどこへやっちゃった〜なんてオバサンは突っ込んでしまいます。一番大事な人の声を聞き逃してるよ?


小学生の時、石田くんに乾坤一擲の張りビンタ食わして取っ組み合いをやらかした。今は手話でウザい!!と言い捨ててむくれちゃう。そりゃ、一世一代の告白を読み間違えられた上に話を聞いてくれなきゃ怒って当たり前ですが、言葉が少なすぎるよ?石田ママへの尊敬やあこがれを伝えたら少しは違ってきたろうに。

もうケンカのやりっ放しはしないでしょうが、ほんとにオバサンまでやきもきしてしまいますよ、このお話…
Posted by あらやん at 2014年11月03日 14:44
あらやんさん、

コメントありがとうございます。

また、専門的な分析ありがとうございます。
そうですねえ、ここへきて話が急に具体的になってきたので、まだそこまで大人じゃない2人は(特に将也は)いろいろとまどっているところもあると思います。

でも、2人ともちゃんとすぐに「冷静になれる」といういいところがありますから(これまでもそうでした)、たぶん残り少ない話数のなかで、ちゃんと本音で話し合って、いい結論が出せると思います。
Posted by sora at 2014年11月03日 23:39
にわかですが昨日初めて見ましたDVDをそして漫画の情報をあさっていました。
公式で作者の方が「恋愛感情じゃないっす」的なことを言っていたのがショックだったのですがどう考えても「いやこれ恋だろつか橋の上のあれ、プロポーズだろ同考えても」としか思えずもんもんとしていたんですけどここまで「やっぱそうじゃんプロポーズじゃん(石田だけ無自覚っぽいけど)」と納得できた解説は初めてです。よかったです。いろいろ難しいことを考えずに単純に最高のボーイ・ミーツ・ガールとして楽しみたいと思いつつ裏づけが欲しかったのでとてもありがたいです。
ありがとうございました!
Posted by にわかですが at 2017年06月04日 18:08
コメントを書く
コチラをクリックしてください
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/408227724
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック