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2014年09月17日

やはり聲の形は「鯉の形」だった?(あるいは第53話のオカルト展開をどう読むか)(2)

第53話で、将也が橋で泣いている硝子を「透視」する場面、なぜこの場面だけ露骨に超能力っぽい展開になっているのか、と考えたときに、

これは、「鯉」が起こしている奇跡ではないのか?

という仮説にいきあたりました。

これまでも、聲の形ワールドにおいて、「鯉」は実はインガオーホーの理を司る「神」のような存在なのではないか、と考えていたのですが、今回、その思いがさらに強まりました。

つまり、

「聲の形」の物語のなかで、「鯉」は神のような存在であって、これまでもさまざまな奇跡やインガオーホーの理に基づく罰を与えたりしているが、今回もその「奇跡」の1つとして、昏睡したまま息を引き取ろうとしていた将也を死の淵から引き上げ、さらに将也をして橋で泣いている硝子を「透視」させた。

ということですね。
別の言い方をすると、「聲の形」ワールドの全員が超能力を使えるわけでも、「聲の形」ワールド全体がオカルトで動いているわけでもなく、ただ1つ、「鯉」だけがオカルト的存在として超常的能力を発揮して物語を動かしている、という風に考えるわけです。

そう考えるならば、第52話から第53話で起こった「奇跡」も、スムーズに整理できるように思います。
つまり、将也に心から会いたい、生きて戻ってきてほしいと願って硝子が落とした涙を、橋の下の川にいた鯉が受け止め、その想いを認めた鯉が「その瞬間に」奇跡を起こして、昏睡していた将也を死の淵から引き上げ、さらにいま橋で泣いている硝子の姿を透視させて、硝子の願いをかなえさせた、ということになります。


第52話、15ページ。

考えてみると、聲の形のなかで大きな「奇跡」が起こっている場所には、常に「鯉」がいます

将也が転落したときに「たまたま」島田がいてすぐに引き上げられて一命をとりとめたのも、「そこにいた鯉がこっそり奇跡を起こしていた」と解釈することも可能ですし、第52話で硝子が向かったのが病院ではなく橋だったのも、単に病院に将也を見舞っただけでは希望はかなわなかった(会えなかったでしょうし、恐らく死んでいた)のに対して、橋に行って(結果的に)鯉に祈りを捧げたおかげで、将也は生還し、しかも会うことができた、と考えれば「正しい選択だった」と考えることができます。

さらに遡ると、そもそもこの物語がただの「小学校の頃のいじめ」で終わらず、これだけのドラマに発展したのも、あの「筆談ノート」が校庭の池を介して硝子から将也の手にわたったことが出発点ですが、それもまた、あの池にいた鯉によって運命付けられた「奇跡」だった、と考えることも可能ですね。(そして、そういう展開が訪れた原因は、もしかすると硝子がパン係になって鯉に餌を与え続けたからかもしれません。)

そう考えていくと、この「聲の形」の物語というのは、単純にオカルト要素のあるドラマとして考えるよりも、「障害者いじめが起こってそのまま時が過ぎていくだけの平凡で残酷なリアルなセカイ」に、「インガオーホーを司り、運命を弄び、奇跡を起こす鯉」を登場させ、介入させることで、「こんなドラマがあったらいいな」という物語を私たちに見せてくれている、そんな構造をしているんだ、と考えることができるように思われるのです。
タグ:第53話
posted by sora at 07:24 | Comment(7) | TrackBack(0) | 第7巻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。今回の展開をどう読むか、まだ決めかねる点がたくさんありますが、大今先生はこの話を「単純な勧善懲悪ものにはしない」と言っていたので、「理を司り、従おうとしない者に罰を与える神」は物語に登場しないだろうと思っています。

確かに将也たちは因果応報としか言えないような形で報いを受け、傷つきますが、煎じ詰めればそれは将也たち自身が弱く未熟だったからです。事前に良い行いをしておけば、あるいは何かに犠牲を捧げていれば、防げた類の災いではありません。これは、作中で一貫して描かれてきたと思います。

現実には、将也のようにいじめた相手に謝りに行ける人間が稀であるように、自身の弱さを乗り越えるのはとても難しいと思います。私は、自身の弱さを乗り越える稀有な勇気を与えて(時には超常現象を引き起こして?)「インガオーホーの理を乗り越える手助けをする存在」として鯉が描かれているのではないかな、と思います。

それから、島田たちが将也墜落の現場にいたのは単なる偶然ではないのではないか、と思っています。
広瀬(と島田)は、硝子を追いかける将也を見て「面白そうだから」追いかけたと植野に伝えていますが、遊園地での島田は将也と関わりたくなさそうな口振りだったので、この理由はかなり不思議に思われます。島田は何か別の目的があって(あるいは何かを確かめるために)将也を追いかけたのではないでしょうか。

もしこれが正しいとすると、この時起きた偶然は、あくまで島田たちが硝子と将也を見かけたことだけになりますね。その目的が何なのか、今後の展開で明かされると期待しているのですが…
Posted by alps at 2014年09月17日 21:54
コイの神様に翻弄された2人の物語というわけですか。

私は、石田は正夢、予知夢を見たのかなと思いました。
で、橋に行ったら本当に硝子がいてびっくりしたと。
まぁ、もし正夢だとしても硝子の服装やら泣いている様子やらが正確すぎますが(笑)

硝子回から夢とも現実ともつかない展開の連続で混乱しますね。

夢は無意識の現れといいますし、「無意識は全ての人類とつながっている」という心理学かなんかの考え方もありますから、二人が同じような夢を見たのも石田が予知夢(?)を見たのも、お互いが夢に導かれるように橋に赴き再会したのも、二人の無意識が交錯した、一種のテレパシーとかだったら素敵ですね。
深く精神でつながる、究極のコミュニケーション(聲のかたち)。

まぁ作者がそこまで考えたとは思いませんが。

Posted by sun at 2014年09月17日 23:16
今週の聲の形、ついに二人の再会で、もうこのままくっついてずっと幸せになっちゃえよ!と思わずにはいられませんでした。(でも、大今先生はまだ一波乱、二波乱用意しているんでしょうね…。)


ところで、「鯉」はsoraさんの考察に加えて、「水の中=(心理学でいうところの)超自我」のようなものも表しているのかなと思いました。
将也と硝子の無意識をつなげる存在の象徴としての「水中」であり「鯉」であるのかなと。やっぱりちょっとオカルト的ではありますが…(汗)。
それならば、今回のような(ご都合的?)展開も、「シンクロニシティ(共時性)」として説明がつくような気がするのです。
Posted by よーかい at 2014年09月18日 01:18
鯉が特別な力をふるって二人を導き合わせたということはないと思います。
鯉は罪悪感の象徴なので、ここでは鯉はむしろ去っていくことに意味があるのです。
そしてそれは他ならぬ硝子がもたらしたものとして素直に受け止めてしまっても構わないのではないでしょうか。
人の子が人を赦したという、ただそれだけのことのメタファーだと考えてよいのではないでしょうか。

言わせてもらいますが、硝子が毎朝石田の机を拭いていたことの、石田が硝子を忘れられずに探していたことの前では、予知夢などは些細なオマケに過ぎません。
そんなことはいくらでも起こるし、起こったところで何も驚くべきものではないのです。
辛子種ほどの信仰があれば、山でも動くってイエス様も言ってましたしね。
Posted by 白えんぴつ at 2014年09月18日 01:30
皆さん、コメントありがとうございます。

オカルトにはある意味「合理性」が不要なので、オカルトを許すと読み解きはいくらでもバリエーションが増えるのは仕方がないことだと思います。

鯉に「神」の意味を持たせたのは、オカルト的要素を物語全体にばらまくのではなく、「鯉」だけに集約して読みたいな、と思ったのが大きな理由の1つなので、もちろんそれ以外の読み方もいろいろあると思います。(^^)

何人の方が触れているとおり、今回は「シンクロニティ」が描かれていることもあり、精神分析、ユングっぽい世界になっているのは間違いないですね。
Posted by sora at 2014年09月18日 21:54
初めてのコメントです。
おとつい漫画を読んで、すっかりハマってしまい、いま3週目です(笑)
いま気づいたのですが、一巻の22ページと23ページにも鯉がいました。将也たちが飛び込んだ川ですね。嬉しくてコメントしちゃいました。もうお気づき…ですよね( ´ ・ ω ・ ` )?
Posted by おもち at 2014年10月15日 22:01
おもちさん、

コメントありがとうございます。

そうですね、以前、エントリでチェックした場所以外にもあちこちに鯉がいることはだいたい分かっています(すみません、更新はできてませんが…)

1巻の最初、将也が飛び込んでる川にもいるんですよね。

結局、やはり「鯉」は非常に重要な存在だということが、巻を追うごとに分かってきて、このころ書いたエントリもあながち間違いではないな、と思っています。

また時間があるときにぜひ覗いてやってください!
ありがとうございました。
Posted by sora at 2014年10月17日 00:06
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