2014年09月01日

第50話、こんなところに1巻のリフレインが?

さて、第50話で、さりげないところにちょっと興味深いネタが仕込まれています。

それが、これです。


第50話、14ページ。

植野が「貸してみ!」といって硝子の筆談ノートを奪い、書き込んでいます。

書いている内容は「うざい!きもい!」ではありますが、それでも「ちゃんと筆談ノートに書き込んでいる」というところに意味があります。

ふりかえると、植野は、遊園地編の観覧車のなかでは、(わざわざ自分から会話の機会を作ったにも関わらず)筆談を拒否しました。
いろいろ理由はつけていましたが、これは本質的には、硝子との「コミュニケーションの拒否」だ、ということは、つい最近の「川井回」で、川井が筆談ノートを叩き落としてひとりでぺらぺらと喋っていたシーンでも象徴的に描かれていました。

ところが、今回は、ちゃんと筆談ノートに書いています。
しかも1度ではなく、何往復もやりとりをしています。

そして、この「貸してみ!」というせりふ自体も、第1巻で、植野が硝子のためにノートをとってあげたシーンで出てきたせりふのリフレインになっているのです。


第1巻79ページ、第2話。

合唱コンクールより前、まだ植野が、硝子のことを敵対視せず、せいぜい「世話するのが面倒な子」くらいに思っていた、平和な時代。

ここから、硝子はいじめの標的にされ、将也はカースト転落し、植野は硝子を誤解して嫉妬の炎を燃やしました。
そして、高校になって再会後もずっと「弱そうなふりをして将也を騙している」と硝子を敵視してきた植野ですが、このシーンにいたって、硝子との「関係」が、実は少しずつ修復され、「平和だったかつての2人」に、わずかながらも近づいてきている、ということを感じます。

第50話をみると、硝子に対する植野の心情は「ハラグロ」とか「害悪」から、今は「カワイソーで無口な女」に変わっています。
「ハラグロ」や「害悪」とまともに会話しても無意味でしょうが、「カワイソーで無口な女」なら、まあ文句ぐらい言ってやろうか、という気持ちにもなるんじゃないでしょうか(つまり、それだけマシな見方になっている、ということです)。

だから、今回、植野は筆談ノートでやりとりをする気になったのでしょう。
そして、何往復かしたやりとりの最後には、植野は「島田との関係作りを硝子の映画作りに託す」という、これまででは考えられない選択をします。


第50話、18ページ。

こうやってみると、硝子が映画再開で「取り戻そう」としているものの形が、だんだん見えてきているように思います。
硝子が取り戻そうとしているのは、単に橋崩壊事件で壊れた「(高校になってからの)映画メンバーの関係」ではなく、時間を超えて、小学校時代に壊れてしまった、さまざまな関係にまで広がっているのではないでしょうか。
タグ:第50話 第02話
posted by sora at 07:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 第6巻 | 更新情報をチェックする
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