2014年08月30日

島田は将也の何が許せなかったのか?1つの仮説

前のエントリ(将也は謝罪してない)から続いているエントリです。

学級裁判後、将也いじめを徹底して続けた島田。それは中学校になっても続きました。
塾に通うようになって度胸試し大会から抜けていったあたりから、将也と島田との関係にはすきま風が吹き始めていたのは事実ですが、それにしても、カースト転落後の将也に対する島田の仕打ちは、驚くほど冷酷です。

その理由の一端として、第50話の植野視点で、島田が、学級裁判のとき、一人で硝子いじめをやっていたのに罪をなすりつけようとしたことに腹をたて、将也いじめを開始したことが明かされました。

次回(または近い将来)出てきそうな「島田視点回」で、このあたりの理由がさらに詳しく明かされるかもしれませんが、現時点においても、この「自分の非を認めず、謝罪せず、人になすりつける」という将也の行動原理が島田には許せなかった、という可能性は高いと思っています。

以前、デラックスに関する連続エントリのなかで、島田がデラックス事件後もデラックスと同じ塾に平穏に(二人とも)通っているという事実から、島田はデラックスに謝罪的なこと(和解)をした可能性があることを書きました。

島田は、悪いことをしたら謝罪すべきだ、自分で責任を負うべきだ、という価値観を意外に強く持っているように思うのですが、それは次のエピソードでもわかります。

小学校時代の硝子いじめについて、島田は途中までは積極的ではないにせよ加勢していますが、ある事件を境に、加勢している描写が消えます。
それは、あの最初の補聴器事件、硝子の耳に怪我を追わせたときです。
このときの島田と将也の会話をみてみると、


第1巻108ページ、第2話。

将也「俺 わかったよ! 謝る必要ないって!」
島田「えー 俺 お前が謝る所 見たいのに」


そして、硝子を見かけて、


第1巻108ページ、第2話。

島田「チャンス」
将也「あ~~?」


と言っています。
いったい、何が「チャンス」なのでしょうか。
文脈を素直に読むと、

・将也が謝るところを(島田が)見るチャンス

ということだと思います。
別の言い方をすれば、

・将也が硝子に謝るチャンス

ということにもなりますね。

硝子にケガを負わせた瞬間にも、島田は「ゲェ ショーヤぁ お前やりすぎ」と言っていますから、ここは冗談めかしてはいるものの、島田は将也に、やりすぎたことを謝罪したほうがいい、と真面目に考えていたのではないでしょうか。

それに対して将也は、せっかく会いに来た硝子にも「誰が謝るかよ バカ」と考え、このとき硝子が示した必死のアプローチをすべて拒絶し、筆談ノートを川に投げ捨てます。
島田からすれば、さすがに将也は硝子に謝るべきなんじゃない?と思っていたのに、そういった態度をまったく見せず、むしろ硝子のほうから謝罪して歩みよりを見せているのを無視していじめの重ねがけをするような将也の態度に、不正義を感じたのではないでしょうか。
(それにこの場面で、逆に硝子は「ごめんなさい」と言っているわけです。これも大きいかもしれません。)

ここから、将也は硝子いじめを加速させますが、逆に島田は距離を置いていきます。

そして、そこに起こったのがあの「学級裁判」です。
学級裁判では、担任の竹内が最初から全責任を将也に押しつける気マンマンだったものの、いちおう植野にしても島田にしても、あまり重い責任が将也に回らないように配慮した「発言」をしていることが伺えます。(川井だけは厳しく裁きたがっていましたが)
ところがそれに対して、将也はやはり謝罪せず、キレて周りの仲間を「売る」ような発言を繰り返しました。

こういった「どうしても謝ることができない」将也の性格に、島田は許せないものを感じたのではないでしょうか
それが、島田にとっては将也をいじめる「正当な理由」となり、将也転落後、躊躇なくいじめるようになったのではないかと想像します。
posted by sora at 09:21| Comment(6) | TrackBack(0) | 第1巻 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
聲の形の考察ブログがあったことに感激です。
エントリーをいくつか読ませて頂きました。キャラの内側まで深く掘り下げていて感心しきりです。
特に島田は友人から手の平返して中学時代まで虐めていたのに、どう修復する気なんだよ!と思っていましたが、この考察を読んで得心がいきました。
もしもこの通りだとすると、大今先生は全てのキャラの全てのストーリーを用意した上で、「チャンス」のくだりなど、全ての台詞配置を考えているわけです。鳥肌ものですね。
Posted by 隣の at 2014年08月30日 15:02
隣のさん、

コメントありがとうございます。

島田については、読者は将也視点からずっと物語を見ていたので「ひどいやつだ」という風に見えていましたが、6巻で周りのキャラの描写がなされるにつれて、「将也が思ってる以上に、初期の硝子いじめは将也の単独犯だった」ということがだんだん分かってきて、見方がだいぶ変わった気がします。

大今先生は、メインキャラについてはしっかり個々のストーリーを作り込んでいると思います。
「チャンス」というせりふも、きっと意味を持たせて話させていると思っています。
Posted by sora at 2014年08月30日 23:18
島田は硝子の事が好きだったんじゃないかな?と思ってました
島田が将也を虐める理由「恋敵だから」と言う小学生の短絡的思考と思ってました
Posted by 通りすがりのColorless at 2014年09月07日 16:40
島田は、植野か硝子か、どちらかが(あるいは両方が)好きだったのかもしれない、というのは、ずーっとくすぶっている謎ですね。

ぜひとも回収して欲しい謎なんですが、「島田視点回」が回避されてしまった現状、島田の「内面」にかかわるこの謎が回収されるのかどうか、もはや分からなくなってしまいました…。
Posted by sora at 2014年09月08日 21:28
なるほどって思う仮説です。
ただ、そうであるなら島田の石田へのいじめも不当なものに思えますね。
Posted by ばからく at 2016年10月13日 16:37
ばからくさん、

コメントありがとうございます。
こちらの「仮説」ですが、いちおう「公式ファンブック」ではやんわりと否定されました。

とはいえ、「公式」も必ずしもマンガ内で描写されていることと大今先生が現在言っていることが一致していない部分もあるように思われますので、あくまで「仮説」としては、こういった考え方もできるというのは今でもいえるとは思います。
Posted by sora at 2016年10月13日 23:04
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