2014年08月24日

第49話、真柴が川井についた「嘘」の中身とは?

第49話で、比較的わかりやすく示された「伏線回収」の1つとして、「真柴は川井の欺瞞と身勝手さを完全に見抜いていた」というものがあります。

それは、真柴と川井が会話する、このあたりの展開から分かります。

1)川井さん… 僕は 昔… まゆ毛の太さが普通じゃないって からかわれてたんだ…
2)それでさ… いじめってことで クラスで問題になってさ
3)先生はみんなを叱った 先生も僕のこと 面白がってたくせに
4)中には 自分は悪くないって 言ってる子もいて 罪のなすりつけ合いみたいになった
5)結果 僕のせいで みんなの関係を壊してしまった

6)そんな僕は みんなに負い目を感じるべきかい?
7)自分は悪くないって 言ってた人も?


第49話、11ページ。

8)そうか まあ 嘘なんだけどね
9)いやあ ただのたとえ話だよ みんな 勝手だなぁと思ってね…
10) 僕 含めて……


10ページ目から11ページ目の真柴のせりふを、全部重要なのでちょっと長く引用しました。

さて、ここで真柴はまず、1)から5)で自分が受けたいじめの話をしているのですが、8)で「嘘なんだけどね」と言っています。

では、1)から5)がすべて嘘なのでしょうか?

そうではないと思います。
どうやら、真柴は3)までは本当に自分が経験したことを言っていて、4)と5)は嘘(というか、9で言っているように「たとえ話」)を言っているようです。

では、どういう「たとえ話」かというと、

4)については、登校日事件~橋事件で起こったことをたとえて言っているのでしょう。
「自分は悪くないって言ってる子」というのは、他ならない川井のことを指していることは間違いありません。


第5巻109ページ、第38話。

5)については、これとまったく同じことを言っている人がいました。
そうです、硝子です。


第46話、11ページ。

真柴は、硝子と永束の筆談ノートを見て(永束が詳細に書いていたので、真柴もそのときの様子をありありと思い浮かべることができたでしょう)、このせりふを発見したのでしょう。

そして、真柴は川井に問います。(9で言っているとおり、ここからは「嘘」ではなく「たとえ話」になっているわけです。)

6)の真意=「硝子は橋メンバーに負い目を感じるべきか?」

それに対して、川井は「そんなことないよ!あなたをいじめたクラスメートが最低なのよ」と答え、続く

7)の真意=「じゃあ、自分は悪くないって言ってた川井さんは?」

に対して、川井は「ぜったい ウソついてる その人!」と答えて完全に墓穴を掘ります

これを「たとえ話」から「真意」に翻訳すると、川井は、「硝子は橋メンバーに負い目を感じるべきか?」と聞かれて「そんなことないよ!(私を含む)橋メンバーが最低だったんです」と答え、「じゃあ、自分は悪くないって言ってた川井さんは?」と聞かれて、「私はウソをついてました」と答えたことになっているわけです。

この話の流れで、真柴はまったく川井にだまされておらず、冷徹に川井の本性を見抜いていて、それでも相手をしてやっているんだ、ということが明らかになったと思います。

もしかすると、川井の相手をしているのも、自分のことが見えていない「自分勝手な」川井のことを、あえてそのことを指摘せずに「ずっと見てや」ることによって、どんな問題や事件が起こるのかを興味深く見守って、それによって自分が「普通だ」ということを確認しようとしてきたのかもしれません。
そして真柴自身も、将也に近づいた動機だけでなく、川井に対する態度も含めて、自らの自分勝手さを10で「僕 含めて(みんな勝手だなあ)」と言っているのだと思います。

いずれにせよ、今回の第49話で、川井の真柴への想いは明らかに川井の片思いであることがはっきりしました。
この2人も、おそらく第7巻で完結するまでずっと、本質的に「通い合えない関係」のままで終わるんだろうな…と思われますね。
タグ:第49話 第38話
posted by sora at 07:05| Comment(8) | TrackBack(0) | 第6巻 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
真柴が川井の本性を見抜いていたんだとしたら川井が硝子に演説かましたあとの「優しいね」発言も皮肉なんでしょうね。

Posted by ぽこ at 2014年08月24日 09:17
ぽこさん、

コメントありがとうございます。

はい、見抜いていると思います。
その直前のコマで「…」となっている真柴の顔と、今回の真柴回での冷静な川井への評価をみると、間違いなくあれは分かっていての皮肉だと思っています。
Posted by sora at 2014年08月24日 21:25
深いんだね、びっくりです。( ノ゚Д゚)
Posted by 4巻買ったよ ( ^-^)/ at 2014年08月25日 02:45
4巻買ったよ ( ^-^)/さん、

今回の真柴回は、読み解くのがなかなか難しい回になっていると思います。

そのなかでは、この「嘘なんだけどね」は、比較的素直に読みとれる「謎」のほうだと思います。
Posted by sora at 2014年08月25日 10:36
37話の「すごい! 分かるんだ!」
も真柴の腸が煮えくり返っているのがよく分かる台詞ですね。
真柴にはキレた時にガス抜きとして嫌味を言う癖があります。
凄くキレやすいんですよね。
真柴自身はそれをガマンしているシーンが結構多いように見えます。

ため込んだ憎しみを撒き散らす危険なヤツなんでしょうけど、
来歴含め自分とそっくりだから嫌いにはなれない……かなぁ。
Posted by 白えんぴつ at 2014年08月26日 00:30
白えんぴつさん、

コメントありがとうございます。

真柴のあのあたりのシーンでは、カマをかけながら将也がどんなことを言うか、期待通りの返事が返ってくるかをわくわくしながら見ている、そんな感じがします。

第49話を受けての、真柴の過去の言動の再検証のエントリを書いてありますので、そちらについてもおいおいアップしていこうと思います。(明日に新話が出てしまいますが…)
Posted by sora at 2014年08月26日 21:31
こんにちは。真柴と川井については、他者からの評価を過度に一般化しがちで、「みんながどう思うか」に囚われている点がとてもよく似ていると思っています。

真柴は、同級生たちからの疎外感を持ちながら「普通」になればみんなに溶け込めると思って生きてきました。川井も、みんなのコンセンサスとしての自分に対する評価を高くすることを目指して生きることしかできません。これは、本人たちにとってはかなり苦しい大きな足枷だと思います。

真柴については、社会に溶け込んでいるみんなが自分より普通なわけでもないことにも気づいており、その淀んだ不満が関係のない他人への攻撃に向けられていましたが、個別の他者への想いに根ざした将也や西宮の行動に触れ、「普通」という価値観から解放されつつあるのだと思います。

川井については今後、気持ち悪いと言われても傷つかないですむ他者を獲得しない限り、自分の問題を自覚することさえできないのではないでしょうか。その点真柴は結構適役ではないでしょうか。真柴にギリギリの嫌味を言われて赤くなったり青くなったりする川井を見てみたいです。残り話数的には厳しいですが、私としては川井へも何らかの成長の契機があって欲しいと思っています。
Posted by alps at 2014年08月28日 17:23
alpsさん、

コメントありがとうございます。

確かにそうですね、真柴は今回「成長」が描かれたように思いますが、川井は若干の気づきの芽生えくらいで、成長は保留されたように思います。

まだこのあとも真柴と川井の関係が続くようなら、もう1回くらいそのあたりのエピソードは出てくるかもしれませんね。
Posted by sora at 2014年08月29日 20:34
コメントを書く
コチラをクリックしてください
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/404009392
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック