2014年07月09日

第44話、植野はなぜ「知っている」のか?

第44話は、ドラマとしては実に過激な展開になっているものの、「なぞ解き」という観点からは若干おとなしい回となっているように思います。

でも、その中で1件、決定的に難しい難問があります。
相当難しいので、「もしかしてこれは、設定ミスで起こっている矛盾なのでは?」と思ってしまうくらいなのですが、それは、

植野はなぜ硝子が飛び降りたことを知ったのか?

という、素朴な疑問です。

第44話冒頭のタイミングで、硝子が飛び降りたことを知っているのは、とりあえず以下の人間に限られます。

・将也(昏睡中)
・結絃・西宮母(カメラで知った)
・硝子自身


その後、結絃と石田母が出会って事件の真相を聞かされるので、この段階でようやく、

・石田母

が事情を知っている人間に加わります。

植野が硝子に暴行を加え始めたのは、この石田母が真相を知ったのとほぼ同時です。

さらに、永束・佐原が病院にかけつけますが、こちらの情報ルートは、石田母→永束→その他の仲間、という流れですので、どこまで永束が拡散したかは分かりませんが、情報元が(真相を知る前の)石田母ですので、硝子の飛び降り情報はこちらのルートでは拡散していません

そうなると、やはり不思議なのです。
「最初から真相を知っているメンバー」の中に、植野が連絡を取れそうなメンバーが見当たりません。
植野は西宮母とは面識がないと思われ、結絃は植野のことをそこまで信用していないでしょう。
辛うじて残っているのは硝子、ということになりますが、硝子にしても、聞かれたからホイホイ答える、ということはなさそうです。

そして、もし情報が永束経由で来たのだとしたら、そこには硝子飛び降りの情報は含まれていません。

では、植野が永束の情報を聞いて病院にかけつけたら、途中で硝子に会って、様子がおかしいから問いただして真相が分かったのだとしたら?
これだと説明がつかないのが、「ではなぜわざわざ手紙を持ってくる嫌がらせができたのか?」ということで、「いつも持ち歩いていた?」みたいな謎な説明でしか説明できなくなります。
また、植野と硝子が偶然出会っても、手話ができるわけでもなく、やはり複雑な会話は不可能なはずですから、そもそも真相が聞けるのか?という問題が出てきます。

さらに可能性を追って、花火大会の「あれ 西宮さんじゃね?」が植野だった場合。
このケースで、もし硝子と将也をマンションまでつけていって事件を目撃した場合、第一通報者は間違いなく植野でしょう。
だとしたら、病院にはまっさきに植野がいるはずで、これも実際はそうではないので矛盾しています。

うーん…やっぱり、普通に考えるとどうしても植野に硝子の飛び降りの情報が届かない…。
これは、かなり苦しいですね。

ただここでヒントになるのが、植野が硝子の手紙をもってきたという事実そのものと、植野が硝子に暴行を加えながら「こいつは私にボコってほしーんだよ!」と発言していることです。
これは植野の勝手な正当化なのかもしれませんが、同時に硝子と植野との間に情報の疎通がある可能性を示唆しています。

以上をふまえて、つじつまの合う説明を1つ考えてみました。

1)花火大会の「あれ 西宮さんじゃね?」は植野。植野は、硝子に続き、将也が歩いていくのを見かけたが、家族もいるので追跡はしなかった。(この1.については、なくても筋は通ります。)
2)翌日永束から将也転落の話を聞かされ、硝子がらみで将也が転落したのではないかと直感した。
3)植野が硝子に問い詰めメール。硝子は植野に事故の真相をメールで説明。植野激怒。
4)植野、硝子に現在の居場所を聞く。病院の駐車場にいることを聞き、手紙を持って病院へ。


ここから先が、まんがでの暴行場面とつながる、という感じです。

一方、この説明だと疑問となるのは、なぜ硝子は植野に、メールで問い詰められたからといってデリケートな事故の真相をホイホイ教えてしまったのか、ということです。

ここで思い出すべきなのが、植野が手紙を持ってきていることと「ボコってほしーんだよ」発言です。
恐らく硝子は、以前の手紙で「これからも私が何か間違ったことをしたら叱ってください」的なことを書いていたのではないでしょうか
だから、硝子は「叱られる=罰を受ける」ために植野に真相を教え、植野は実際に暴行するために硝子のもとに向かい、それを正当化するために手紙をもってきた、ということのように思えます。
(手紙の内容についての考察は別エントリで。)
タグ:第44話
posted by sora at 07:24| Comment(8) | TrackBack(0) | 第6巻 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
個人的な推測を語らせてもらうと、(1)の後に硝子を追いかけていく将也を見て、将也の後を着いていったのではないでしょうか。
該当箇所が手元にないのでうる覚えですが、変な箇所があったら、すいません。
もし自分が花火大会(?)の雑踏の中で普段親しい(?)好きな人を見れば、声をかけるぐらいするでしょう。
しかし近くにその人の地雷源が複数いることを知っていたら、(自分が気のきく奴なら、)その場で声をかけないにしろ、少し離れた場所に行くまで待つかもしれません。
加えてその人が真剣な表情をして花火に目もくれず歩いていたら、不思議には思いませんか?
そしてその対象が自分の嫌いな人であり、恋敵だとわかったら…。
自分の好きな人が嫌いな人を追いかけていることは知ってる知らないにしろ、自分だったら、思わず追いかけてしまうかもしれませんね。
まぁ、あくまでも、自分の感情から考えたシミュレーションですが…。
そして、その好きな人がその人の家ではないマンションに入っていったら、怪しいと思いませんか。
自分なら、マンションの外で待ちますね。
そう、ちょうどいい小川が流れてれば、涼しく待てますね。
そして暫くした後、その人が恋敵を救う為に落ちる一部始終を目撃するのですね。
以上、私の推測というか、妄想です(笑)
けど、今回のあらすじのところに書いてあった通報した人が植野なら…、詭弁はおしまいにしましょう(笑)
駄文すいませんでした。
Posted by しっぽさきまるまり at 2014年07月09日 10:27
私も硝子と植野との間に独立したやりとりがあったという推測に同意します。
飛び降りというこれ以上ない自傷行為に失敗した硝子は、その代行者として植野を選んだのだと思います。植野もまた、硝子のために他でもない石田が傷ついたという事実に激怒し、こうして二人の思惑が一致した形になったのでしょう。
硝子の自殺が石田によって阻止・否定されたように、たとえそれが硝子の意志であろうとも、植野には(そして誰にも)硝子に暴行を加える資格などないということが描かれるのではないかと思います。
Posted by ジョー at 2014年07月09日 13:07
植野に罰と咎を与えてもらうため・・うーん。
何か対象を誤っているような?なぜ、ここで植野
なんだ?という疑問がどうしてもしますし。

設定ミス?43話に度胸試しを持ってくるほど緻密に
話の構成を考えている作者がそんなミスをやらかす
とも思えないし・・。

非常に意地の悪い味方をすれば、硝子に対する「事情はどうあれ、人一人巻き込んで半殺しにしといて・・・」というキャラ叩きを封じる為に植野を暴れさせて、リアルなら間違いなく犯罪、かつ胸糞の悪くなるような痛めつけ方をしてるのかなぁと、つい思ったりもしてしまいます。

正直よくわかりません。次回以降の展開を待つしかないですね、これは。
Posted by レッドバロン at 2014年07月09日 19:08
ジョーさん、レッドバロンさん、

コメントありがとうございます。

「なぜ」を、物語上の理由で考えるなら、これはほんとに明白で、硝子を責める役割ができるのはとりあえず植野くらいしかいないから、ですね。

でも、植野は物語のこのタイミングでは将也サイドから距離がある状態になっているので、微妙に矛盾っぽい展開になってしまっているような気がします。

これについて、うやむやにならずちゃんとこの先で解決されたらやはり大今先生はすごいと思いますが…
Posted by sora at 2014年07月09日 20:30
>硝子を責める役割ができるのはとりあえず植野くらいしかいないから
そうでしょうか?
究極の自傷行為を選んだ硝子を「叱る」ならば、西宮の家族
石田を巻き込んだ事への「怒り」ならば、石田の家族
どちらも植野以上の適任者がいます
なぜ植野にやらせたのでしょうか?

レッドバロンさんの指摘したようなこと以外で考えられるのは
・あくまで主要人物のみで物語を回したかった
・植野と佐原の意見のぶつかり合いを絡めておきたかった
・硝子本人が植野にその役を担わせるように動いた

納得できる解決があるのかは、まぁ来週以降の展開次第ですかね
Posted by ウフコック at 2014年07月09日 21:44
ウフコックさん、

コメントありがとうございます。

石田母も、西宮母も、どちらも自身に負い目があるから厳しいことを言える立場ではないですよね。

ここは「極論」を言わせたかったんだと思います。
だから、植野が適任だったんだと思っています。
Posted by sora at 2014年07月09日 23:26
しかし、今回44話の植野はまるっきり女子プロレスの
悪役レスラーですよね。腹蹴り飛ばしたり、髪掴んで引きずりまわしたり、お前はブル中野かよ・・で(笑)。

次々と反則技(手紙読み上げなどなど)を繰り出し、ベビーフェイス西宮を苦しめる植野。佐原が支援するも歯が立たず・・。
観客の怒りがMAXに達したころ、44歳ママ宮突然の乱入、必殺の縮地ビンタ炸裂・・観客は拍手喝采、ウワーってな感じで(笑)。

44話は聲の形プロレス回として記憶されるでしょう(笑)
Posted by レッドバロン at 2014年07月09日 23:26
レッドバロンさん、

今回、第44話は、前半の「静」の展開と後半の「動」の展開のコントラストが非常に印象的な回と感じました。

かつ、後半は完全にバトル漫画ですね。
第3巻で永束をブル束に変えたころから、植野の暴力性はまったく変わっていなかった(むしろ悪化した?)ことが示された回でした。
Posted by sora at 2014年07月09日 23:36
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