2014年06月09日

聲の形のWikiっぽいものを作る:あらすじ

まだ登場人物が残っていますが、今度は「あらすじ」のほうにいきたいと思います。
3つの別バージョンの違いが分かるように気を使いました。

ちなみに、今回の「Wikiっぽいもの」は、「完全に客観的でフラットな最大公約数てきな解説をする」のが目的ではありません(そこが「っぽいもの」たる所以でもあります)。
それよりは若干踏み込んで、「明確に描かれていないことでも、多くの人が同意するであるような解釈や人物像はむしろ積極的に盛り込む」という内容を目指しています。


あらすじ

オリジナル版
将也の通学する小学校には、耳の聞こえない少女、硝子が在籍していた。
硝子は成績優秀ながら、障害ゆえに授業を止めてしまうことも多く、生徒の多くから厄介な存在として敬遠されていた。担任教師も例外ではなく、ある日担任に呼び出された硝子は、このまま普通校に在籍していると迷惑だからと聾学校への転校をすすめられる。
硝子は、クラスメイトからも悪口などの陰湿ないじめを受けるが、中でも暴力的だったのが将也であった。硝子が補聴器を壊されたことを先生に告げ口したことに激高した将也は、硝子に殴りかかりケガをさせる。
このケガがきっかけで硝子へのいじめについての学級裁判が開かれ、すべての罪が将也になすりつけられ、将也はいじめられっ子に転落。手のひらを返したように冷たくなるクラスメイトとは逆に、態度を変えず優しく将也に接する硝子であったが、そんな硝子に邪険に当たりつけてしまう将也であった。
ある日、硝子は突然聾学校へ転校していく。迷惑な存在が消えてせいせいしたという本音を隠さないクラスメイトと担任。こんな人間と一緒にいたくない、こんな大人になりたくない-そんな思いにかられた将也は、硝子に謝りたくて行方を探し始める。
高校生になった将也はようやく手話の勉強会で硝子に再会。当時のことを謝罪する将也に、会いに来てくれて嬉しいと返す硝子。将也は、初めて硝子と会話をしたように思うのだった。

リメイク版
将也の通学する小学校に、ある日、耳の聞こえない少女、硝子が転校してきた。
障害ゆえに授業を止めてしまうことも多く、また障害があっても積極的にクラスの活動にかかわろうとする硝子は、徐々に厄介な存在として敬遠されるようになっていった。
硝子の障害ゆえの音痴が原因で合唱コンクールの入選を逃したことが決定打となり、クラスメートによる硝子いじめが始まった。硝子は、クラスメイトから悪口などの陰湿ないじめを受けるが、中でも暴力的だったのが将也であった。そんな将也に対し、なぜか友好的な態度を示す硝子だったが、将也は筆談ノートを池に投げ捨て、補聴器を繰り返し壊すなど、硝子へのいじめをエスカレートさせた。
やがて、硝子が短期間に補聴器を8個も壊されたことでいじめが学校問題化。学級裁判が開かれ、すべての罪が将也になすりつけられ、将也はいじめられっ子に転落。手のひらを返したように冷たくなるクラスメイトとは逆に、態度を変えず優しく将也に接する硝子であったが、そんな硝子に将也は邪険に当たりつけてしまい、ついには取っ組み合いのけんかまで起こしてしまう。
その1か月後、硝子は突然転校していく。転校の翌日、将也はあることを知る。硝子が早朝、机に描かれたいじめの落書きを消しているのを将也は見かけていたのだが、その落書きが書かれていたのは将也の机だったということを。
5年後、高校生になった将也は硝子に再会。自分が池に投げ捨てた筆談ノートを硝子に返し、当時のことを謝罪した将也は、学んだ手話で「俺とお前 友達になれるか?」と聞く。硝子はその将也の手をしっかりと握り返すのだった。

連載版
小学校6年生になった将也は、退屈が大嫌いで危険な遊びを繰り返す、クラスのガキ大将的存在。
そんな将也の通学する小学校に、ある日、耳の聞こえない少女、硝子が転校してきた。
もの珍しさもあって当初歓迎される硝子だったが、障害ゆえに授業を止めてしまうことも多く、徐々に厄介な存在として敬遠されるようになっていった。
硝子の障害ゆえの音痴が原因で合唱コンクールの入選を逃したことが決定打となり、将也を中心として、クラスメートによる硝子いじめが始まった。そんな将也に対し、なぜか友好的な態度を示す硝子だったが、将也は筆談ノートを池に投げ捨て、補聴器を繰り返し壊すなど、硝子へのいじめをエスカレートさせた。
やがて、硝子が短期間に補聴器を8個も壊されたことでいじめが学校問題化。学級裁判が開かれ、すべての罪が将也になすりつけられ、将也はいじめられっ子に転落。手のひらを返したように冷たくなるクラスメイトとは逆に、態度を変えず優しく将也に接する硝子であったが、そんな硝子に将也は邪険に当たりつけてしまい、ついには取っ組み合いのけんかまで起こしてしまう。
その1か月後、硝子は突然転校していく。転校の翌日、将也はあることを知る。硝子が早朝、机に描かれたいじめの落書きを消しているのを将也は見かけていたのだが、その落書きが書かれていたのは将也の机だったということを。
その後、中学になってもいじめを受け続け孤立する将也。幸福な人生を諦めた将也は自殺を決意し、死ぬ前に一言謝罪しようと硝子を探し、高校3年生の春、手話サークルで再会するが、勢い余って学んだ手話で「俺とお前 友達になれるか?」と聞いてしまう将也。硝子はその将也の手をしっかりと握り返した。
自殺の理由だったいじめの被害者の硝子とあっさりと友達になれたことで自殺の大義を失い、友達とは何かを思索する将也。永束という新しい友人もできたことでその思いは強まるが、一方で硝子の家族からは過去のいじめを非難され、過去のいじめに対する罪の意識と、その贖罪への祈念が将也に重くのしかかっていく。
自分のせいで硝子が失った小学校時代の友人関係を修復しようとする将也。その働きかけにより、小学校時代のクラスメートが再集結していく。かつて硝子と友達になろうとして不登校になってしまった佐原は硝子の親友になり、実はガキ大将だった頃の将也が好きだった植野は、硝子との三角関係に巻き込まれつつ、硝子が転校してくる前の元気な将也を取りもどしたいと奮闘する。
小学校時代に一度壊れてしまった人間関係が、5年の歳月を経て、再び試されていく。学級裁判で崩壊した、かつての親友たちの信頼関係は取り戻せるのか。今も将也の心を苛む過去のいじめに対する罪の意識を克服することはできるのか。感情を押し殺し自分を犠牲にすることでばかり問題を解決してきた硝子は、自らを縛るその鎖を解き放ち自由になることができるのか。あの頃は届かなかった「聲(こえ)」を、今度こそさまざまな「形」で伝え合うことで、失ったもの、届かなかったもの、欲しかったものを手に入れようとする、かつてのクラスメートたちの群像劇。

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posted by sora at 21:27| Comment(2) | TrackBack(0) | Wikiっぽいもの | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この『あらすじ』と『西宮硝子』のどちらにコメントしようか迷いましたが、「3つのバージョン」に絡むので、こちらにコメントします。

敢えて記述する必要はないかもしれませんが、少なくとも『オリジナル版』と『連載版』を比較すると硝子の障害の程度が少し異なる設定になっています。
『オリジナル版』の場合、相手が正面を向いて話した場合は補聴器と読話の併用である程度、相手の言っていることを理解できたようです。その一方、発声は高校生になっても母音程度しか出せない(「いいあう…」と言っている)非常に不完全な状態でした。
それに対し、『連載版』では聴覚障害の程度は重めに設定されていますが、発声は祖母の特訓の成果もあり、不十分とはいえ、子音もある程度出せる(第23話の「いちだくぅ」)ようになっています。

まあ、このレベルまで記述するとくどくなってしまいそうで、兼ね合いが難しいですね。
Posted by ぽてと at 2014年06月10日 09:54
ぽてとさん、

コメントありがとうございます。

これは興味深いポイントですね。確かにそうです。
もう少し掘り下げてみると、実は硝子は「リメイク読みきり版」ではほとんどまったくしゃべりません(授業で一度教科書を読まされたときだけ)。
なので、障害が一番重く設定されているのは、リメイク読みきり版なんじゃないかと思います。

今回「3バージョンの違い」というアイテムを「Wikiっぽいもの」でまとめましたので、そちらで言及したいと思います。
Posted by sora at 2014年06月11日 23:37
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