2014年06月04日

硝子が将也を好きになった瞬間はいつ?(5)

さて、植野の×ネタで少し間が空きましたが、こちらの連続エントリについても、最後のエントリを投下しておこうと思います。

さて、これまでの考察で、実は硝子は単行本2巻の巻末の時点ですでに将也に(かなり明確な)好意をいだいていた、ということが判明しました。



そうすると、好きになってから告白するまで、実は単行本3巻1冊をまるごと使っていることになりますから、全7冊といわれているこの作品の中では、実は「ある程度時間をかけて」告白にいたっている、ということになります。

それが唐突に見えるのは、少なくとも部分的には、私たち読者が「ものすごく鈍感な将也目線」だけで物語を読まされているからなのだろうと思います。

そこで、第3巻で登場するさまざまなイベントを、「既に将也のことが好きな硝子(と、そのことに気づいている結絃)」の視点から見直してみると、この第3巻がまったく違ったものに見えてくることに愕然とします

それこそ、「硝子からみた第3巻」だけでスピンオフ小説が1冊書けてしまいそうなくらいです。

・佐原の話題が出た端の上でのやりとりの時点で、既に恋する女子モードだった(これは番外編2で描かれているとおり)
・このとき将也のメアドを聞かなかったのは、結絃経由でとっくに聞いていたから
・将也の佐原探しに付いていったのは、将也と一緒にいたいという気持ちが強かったから
(冷静に考えると、硝子自身が佐原といきなり会うというのは、佐原を傷つけた、という経緯からすると少しデリカシーに欠ける行動とも言えるが、将也への好意がまさってしまった、と考えられる。天使も人の子。)
・たぶんこのデート?をお膳立てしたのは結絃。永束から連絡を受けて硝子をたきつけて連れていき、自分は永束ともども「気を利かせて」帰った


(第3巻17ページ、第15話)

・3巻の表紙はこのときの二人だが、ここでの硝子の笑顔は、すでに将也への好意を含んだものだということに
・電車のなかで自分からメールを送ったのも、将也に対する精一杯のアプローチ、積極性のあらわれ。さらには将也にメアドを提供するため
・そんな将也から猫ポーチを送られて、それはうれしかったはず。お返しのプレゼント選びも気合いが入りまくりだったはず
・そこに突然植野登場、修羅場が展開され、将也はことばを濁して詳細を語ってくれない
・その翌日、不安な気持ちを何とか振りきっていつもの橋でお返しのプレゼントを渡そうとしたら、なんと再会後はじめて橋にこなかったことで疑心暗鬼に
・スパイ結絃を石田家に派遣、結絃も植野情報を存分に収集していい仕事をする(どこまで硝子に伝えたかは不明なものの、二人は付き合ってないくらいは最低限伝えただろう)。
・次の火曜日、髪型も変えて気合いを入れて待っていたが緊張のあまり帰ってしまったが、帰り道で偶然将也に出会って勢いで「うきぃ!」


なんか「将也目線」と全然違う話でワロタ。
こうやって整理してみると、硝子は小学生時代からかわらず、「こいつと仲良くなりたい」と思ったら躊躇せずにガシガシと相手との距離を縮めてくる、かなり積極的な性格の持ち主であることが浮き彫りになりますね。

そして、こうやって整理してみると、少なくとも硝子にとっては、あの「うきぃ」はそれほど唐突でむちゃくちゃなことではなくて、自身の感情に素直に行動するなら、あのタイミングで言ってしまうというのも「十分ありえる」ものだった、と私には思えます。
ラベル:第15話
posted by sora at 21:55| Comment(1) | TrackBack(0) | 第3巻 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、キンドルの「なぞ解き・聲の形」拝見しまして、このサイトを知りました。
数年前に、読売新聞夕刊の記事で聲の形が紹介されてるのを見て「これは!」と思いコミックスを買いました。記事では硝子視点での聞こえ方(6巻154ページあたり)が的確で、まさに難聴の聞こえ方が視覚的に表現されて驚きました。
私も子供のころからの難聴です。性別と年齢の違いこそあれ硝子に色々感情移入しながら読みました。
では本題にいきましょう。
このエントリーは硝子が将也を「いつ」好きになったかについての考察ですが、私は「なぜ」好きになったかについて考えたいと思いました。40年以上難聴人生を送った経験からの視点も面白いかな、と。
全ての難聴の方がこうだ、というわけではなく勿論例外もいるでしょうが、私の経験だと、会話慣れする相手とそうじゃない相手では心の距離感(パーソナルスペース)が極端に変わるんです。大多数の人は会話にならないから視界に入っただけで「あ、それ以上近づかないで」って思います。だから無言になるし適当に相槌うってやりすごす癖がどうしてもついてしまいます。疲れます。
PSが遠い人と会話する場合、PSが近い人がつきっきりで間に入ってくれると、すごい助かるんです。通訳者ですね。難聴者にとってこの人は天使です。
硝子の場合はどうでしょう。将也も含め、小学校時代のクラスメートはパーソナルスペース(以下PS)がかなり広かったと思われ、それを縮める手段として用いてたアイテムが筆談ノートだった。高校生になって将也は再会するときにそのノートを持ってきて、しかも手話まで覚えてきた。
私の勝手な憶測ですが、この時点で将也へのPSはぐんと近づいたのではないでしょうか。過去いじめられてようがどうだろうが、今、感じるPSが全てです。
つまり再会時でもう好感度は7割超えていて、あとはこのサイトのまとめで言われてた各イベントの積み重ねで「そりゃ好きになるよねえ」と納得できます。

ちなみに映画も2回見ました。感想はヤフ某に書いてますが、あそこはカオスな感想が多いですね。
長文失礼しました。
Posted by 妖怪七変化 at 2016年10月16日 09:11
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