ちょっと前に触れていたとおり、将也のメンタルが弱っていることを端的に表す描写として、クラスメートの顔に×(バッテン)マークがついています。
この×、基本的には将也の通う高校のクラスメートにだけついていて、将也が心を少し開くとペラリと外れる、という展開になるのですが、例外が2人だけいます。
それが植野と島田で、この二人の場合は最初は×がついていなかったにも関わらず、高校生になってからの将也と再会したあとに×がつきました。
この「最初からクラスメートについている×」と「植野と島田にあとからついた×」、その意味もずいぶん違いますが、まんがのなかの描写としても、非常に面白い違いがあります。
それは、「この2人の×だけは、出会うたびにどこかから飛んでくる」ということです(笑)。
たとえば、第22話で、石田宅に植野が押しかけてきた場面をみてみましょう。(第3巻149ページ、第22話)
この場面、最初に突然植野と出くわしたときには×はついていませんが、何コマかあとで、このように×が「どこかから飛んで」くるわけです。(赤↓参照)
「飛んできている」ことを示すために、動作線が描き込まれているのがわかります。
同じように、第26話、遊園地で島田と再会したときの×も見てみましょう。(26話5ページ)
こちらでは、島田だけでなく、よく見ると植野についても×が「飛んできて」いることが分かります。
あとは、第33話で映画の脚本づくりでみんなが将也宅にいったら植野が上がりこんでいたときも、×が「飛んできて」いますよ。
植野と島田以外の、「最初から×のついているクラスメート」は、こんな風に「飛んでくる」描写はありません。
なぜ植野と島田に対する×だけ「飛んでくる」描写になっているのかといえば、おそらくこれは「将也が意識的にこの二人を拒絶しているから」だと思います。
特に植野については、×をつけたあともその位置がブレブレで、顔の表情がよく見える(笑)ことからも、×をつけて拒絶しているつもりだけど本心では気になっていることを表しているといえますね。
この「植野の×」についてはもう1つネタがありますのでそれも書きたいと思います。
×はクラス担任の女性の先生にもついています。
つまり「高校のクラスメート」というより「クラス関係者」の方がより正確かと思います。
それにしても植野の×はホントにムリヤリ感があって将也の本音がよく出ていますね(笑)
植野から×が取れる日はいつやってくるのでしょうか?
コメントありがとうございます。
まあ、クラス担任は広い意味で「クラスメート的なもの」ということで(笑)。
植野の×はエンディングまでには必ず取れると思っています。
連載の38話でも、不意をつかれたせいか、×をつけるまでにずいぶん時間がかかっていますからね(笑)。
しかし、気合込めてペン入れしたあとに、バッテンつけなきゃいけない作者の心境は心苦しそうですね。