硝子は、将也の学校に転校してきてから、数ヶ月でまた別の学校に転校して行きます。(第1巻165ページ、第4話)

これについて、軽く読んでしまうと、硝子の再転校の原因は将也とけんかしたことのように読み取れますが、実際には硝子が将也とのけんかをネガティブにとらえていたとはあまり考えにくく(少なくともそれが転校を希望する原因になるとは考えられず、むしろこのけんかだけに限定すればポジティブにとらえていた節さえある)、ごく最近までその原因は「不明」でした。
最近、第5巻収録予定の第35話で、そのあたりの経緯が、当時の担任だった竹内の回想としてようやく描かれました。(第35話9ページ)

「俺が そーいう学校への転入をすすめなければ いつまで経っても気づかなかっただろうね」
つまり、竹内が主導して「そーいう学校」に転校するようとりはからった、ということですね。
もともと、竹内の学校は「きこえの教室」、つまり特別支援学級のある「理解のある学校」だったはずで、そこで対応しきれないから「そーいう学校」に転校させた、ということであれば、さらに支援度の高い学校、つまり「特別支援学校」に転校させた、ということになりますね。
恐らく、学級裁判で将也が断罪されて、それにより将也からのいじめはなくなりましたが、その後もいじめは続き(つまり、まわりの大人は実は全員、硝子へのいじめが実際には将也の単独犯ではまったくなかったことを知っていたことになります)、硝子も将也とのけんか事件以降は(机ふき以外は)将也とのかかわりを避けたでしょうから完全に孤立し、にっちもさっちもいかなくなってやむを得ず特別支援学校に転校した、ということなのでしょう。
こう考えてみると、実は「将也の学級裁判後から転校までの硝子(とそれを取り巻く大人、クラスメート)」というものを改めて考え直してみる必要があるようにも思われます。
分かりやすい「将也からのいじめ」がなくなったあと、硝子がどのような境遇にあったのか。
また、小学校の残り少ない期間は特別支援学校にいったとして、その後硝子がどのような学校を選択したのかも興味があるところです。
これについてはエントリを分けて書いてみたいと思います。