「聲の形」には、現在連載中のものを含めて、実は3つの別バージョンがあります。
作者の大今氏が2008年、第80回週刊少年マガジン新人漫画賞に応募し、入選した作品が「バージョン1」。当ブログでは「オリジナル版」と呼んでいます。
内容の際どさから当初掲載が見送られたものの、別冊少年マガジン2011年2月号にようやく掲載されます。
それをリメイクして読み切り版として週刊少年マガジン2013年12号に掲載されたのが「バージョン2」。当ブログでは「読み切り版」もしくは「リメイク版」と呼んでいます。
そして、そのバージョン2の好評さを受け、2013年36・37合併号から連載スタートし現在も続いているのが「バージョン3」。当ブログでは「連載版」と呼んでいます。
1つの作品がそれほど間をおかずに3回も作り直され、すべて商業誌に掲載され、そのたびに反響を増してどんどん規模が大きくなっていく、というのはすごいことだと思います。
ちなみに、3つの「聲の形」の違いですが、オリジナル版だけはストーリーがかなり違います。
読みきりと連載はほぼ同じ、連載のための伏線が張られたり、視点を原則将也固定にして硝子視点の画が削られたりといった「修正」に留まっています。
オリジナル版では、将也が硝子に対する価値観を一変させるきっかけが、硝子転校後の担任教師の身勝手で差別的な発言、さらにはその発言に対するクラスメートの反応を聞いたこととなっており、読みきり版・連載版における「将也の机の落書きを硝子が消していた」というものとは違っています(落書き消しイベント自体がない)。
また、あのドラマチックな将也と硝子のけんかイベントもオリジナル版にはありません。
全体的にオリジナル版では、硝子が「普通の(ちょっと大人びた、でも感情も普通に露にする)生徒」として描かれており、読みきり版・連載版のように「いつも愛想笑いする、外から見て何考えてるか分からないヤツ」というキャラクターよりはだいぶ「普通」です。
そういう意味では、オリジナル版から読み切り版に移行するところで、硝子のキャラクターを中心に、全体的にまんが的な構成に修正されているといえるのではないかと思います。
なお、オリジナル版、読み切り版ともに単行本には収録されておらず、いま入手するのは至難のわざです(まあ読み切り版の載っているマガジンはプレミアムさえ払えば買えないことはないですが、オリジナルのほうが超絶レア)。
↑こちらが、「読みきり版」が載っている少年マガジン。
↑こちらが、「オリジナル版」が載っている別冊少年マガジン。
ちなみに、オリジナル版で描かれている、担任が硝子をうとんじて、支援学校への転校をすすめ、最終的にそのとおりになってしまった、というストーリーについては、出たばかりの第35話で、連載版でもほぼ同じ内容で回収されましたね。

「オリジナル版」より。
これで、小学校編の(謎でないように見えて、読み込んでいくとはじめて謎だと分かる)大きな謎の1つだった、「硝子はなぜ転校し将也の前から姿を消したのか」についても、あらましが見えてきたことになります。(この点については、また別のエントリで。)
