2014年04月05日

読みきり版と連載の違い

さて、1つ前のエントリとも関係してくるのですが、なぜ短い読みきり版ではあった「硝子がノートを拾ってまた落としてしまう」シーンが、より尺の長い連載版ではカットされたのでしょうか。

KOE_NO_KATACHI_029.jpg

これ以外にも、読みきりにはあったのに連載ではカットされた描写がたくさんあるのです。

それは、作者の大今先生へのインタビュー記事を読むとわかります。

「クロノ・トリガー」のマンガを描いていました「週刊少年マガジン」で新連載『聲の形』大今良時に聞く2

───『聲の形』の連載にあたり、読切と何か大きく変えたところはありますか。
大今  読切ではとにかく必要最低限の要素──それぞれの登場人物の感情がどう動き、何がどうなったという“情報”を作品の時間軸に合わせてひとつひとつ描きこんだり、コンパクトに情報を伝えるために、聴覚障害者の西宮硝子視点のシーンも描かなければならなかった。連載では視点をなるべく主人公の石田将也にしぼって、理解できない相手との間でどうやって理解を深めていくかということに焦点を当てるつもりです。“読み味”は読切と少し違うかもしれません。

───視点を固定した狙いはなんでしょう。
大今  これまで読んでいない人をどう引き入れるかということを考えた結果です。読切で描き上げたものを連載にするというのも、リメイクといえばリメイクですし、同じことを描きながら、いままで興味を持ってもらえなかった人を引き込みたい。それでいて読切で知ってくれたたくさんの読者にもオトク感というか、新鮮な印象で読んでもらえたらいいですね。


このように、連載版は読みきりとは異なり、視点を石田からの一人称に原則統一しています。
硝子がノートを落とすシーンは、完全に「硝子視点」からの描写であり、硝子の内面まで具体的に描いてしまっています。
ですから、「石田視点限定」という連載版の原則にしたがって、このシーンは外されたということになります。

もちろん、「石田視点限定」という「縛り」によって、描写(特に硝子の側の描写)には著しい制約がかかることになります。
その制約を緩和するために、読みきり版の内容の「その後」となる単行本第2巻以降では、「硝子側の視点」を語る新たな人物が登場してくることになります。

また、上記の「視点」以外にも、連載版では「その後の伏線」になるよう、読みきり版からは細かく修正されているところがたくさんありますが、それはまた次の機会に書きたいと思います。
ラベル:読みきり
posted by sora at 11:35| Comment(0) | TrackBack(0) | その他・一般 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック