2014年11月25日

「植野と佐原」の物語は、「将也と硝子」のリフレイン?

最終話で、植野と佐原が微妙に接近している姿が描かれ、気づいたことがあります。

それは、

植野―佐原の関係は、将也―硝子の関係のミニサイズ版のリフレインになっている。

ということです。
そういう視点から、この2組の関係を整理してみると、対応関係がかなりきれいにとられていることに気づきます。

1)小学校時代、植野は佐原をいじめた。
2)そのいじめの結果、佐原は学校を追い出された。
3)植野と佐原は中学時代は「別の空間」で過ごす。
4)そしてふたりは高校に入って再会。
5)とまどう佐原。でも佐原は植野を受け止めようと決める。
6)植野と佐原との関係は、橋崩壊事件後、第6巻のあたりから劇的に変化。佐原は強くなり、植野は過去を真摯に反省することで、誠実かつ親密な関係が構築されていく。
7)高校卒業後の進路は同じ「ファッションの短大」となり、同じ夢を目指す仲間となる。
8)そして最後は恋人関係?へ…


これに対して、将也と硝子の関係を同じ公正で整理してみると、

1)小学校時代、将也は硝子をいじめた。
2)そのいじめの結果、硝子は学校を追い出された。
3)将也と硝子は中学時代は「別の空間」で過ごす。
4)そしてふたりは高校に入って再会。
5)とまどう硝子。でも硝子は将也を受け止めようと決める。
6)将也と硝子との関係は、橋崩壊事件後、第6巻のあたりから劇的に変化。硝子は強くなり、将也は過去を真摯に反省することで、誠実かつ親密な関係が構築されていく。
7)高校卒業後の進路は同じ「理容師を目指す」となり、同じ夢を目指す仲間となる。
8)そして最後は恋人関係へ…


将也は、高校3年でのさまざまな経験によって硝子というかつてはいじめの対象だった、でも今ではかけがえのないパートナーを得、同様に植野も、高校3年でのさまざまな経験によって佐原というかつてはいじめの対象だった、でも今ではかけがえのないパートナーを得たわけですね。

こんな風に考えると、最終話の2つのシーンも、実は対応していてリフレインになっていることに気づきます。

9)将也と硝子が手話でイチャついているのを見て、そばにいた植野が「イチャついてんじゃねーよ」と反応。

9’)植野と佐原が指輪をプレゼントするような関係であるのを見て、そばにいた将也が「よかったな 植野!」と反応。


まあ、ここでも植野と将也の対応は正反対なわけですが…(笑)。
タグ:第62話
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第62話(最終回) コネタ集

さて、この火曜日恒例?の「コネタ集」もいよいよ今回が最後となりました。

1)カラーページがまた魚眼レンズ

今回のセンターカラーのカラーページ、ざっと見ると特に違和感はないのですが…


第62話(連載)センターカラー。

よくよく見ると、「つり革が多すぎ」です。
なぜそんなことになっているのかというと、ドアが外側の丸く歪んでいるところからして、「魚眼レンズで撮った取材画像を使っているから」ということのようですね(これまでも、魚眼レンズを使った背景はけっこう出てきています)。
そういう目で改めて見てみると、背景に対して、ちょっと将也・硝子を大きく描きすぎなのかもしれません。


2)さん付けペドロと呼び捨て将也

最終回、ペドロが再登場しましたが、将也とのかけあいのところで…


第62話、3ページ。

ペドロが将也のことを「ショヤサン」とさんづけで呼んでいるのに、将也はペドロのことを「ありがとう ペドロ」と呼び捨てています(笑)。
西宮母もペドロさんと呼んでいますし、ここは将也もさんづけしたほうがいいと思いますよ…(^^;)。


3)マリアのとなりの子は「がいあ」?

将也が成人式に向かう途中、集団登園しているマリアたちの列に遭遇しますが、このときのコマ、


第62話、4ページ。

よく見ると、となりの男の子の名札がうつっていて、目を凝らして何とか読み取ってみると…

「がいあ」ですね、これは。

どんな漢字を書くのでしょうか。「地球」だったら、かなりのキラキラネームですね…(--)


4)また「どうでい」をやる結絃

将也が成人式会場に着くと結絃がいて、いつものように漫才を繰り広げることになりますが、


第62話、5ページ。

また今回も、葬式回(第30話)で結絃が初セーラー服を披露したときと同じ「どうでい どうでい」のポーズをやっていますね。
これで、葬式回、文化祭、今回と、「どうでい」ポーズは3回目ですね。


5)市のマークが鯉

成人式会場で、市長とおぼしき大人が退屈なあいさつをしているシーンがありますが、このシーン、よく見ると…


第62話、7ページ。

なんと、国旗と一緒に掲げられているマークが、鯉です

この位置に掲げられるのは、市章でしょうから、水門市の市章は「鯉のマーク」だった、ということになりますね。
それで、川に鯉がたくさんいたのでしょうか。
でも、きっと、水門市の市民は鯉たちに見守られているんだろうと思います。


6)ニチニチソウを頭につける硝子

佐原からのメールで、将也は硝子たち3人を会場の群集のなかに見つけます。


第62話、8ページ。

このときの硝子の和服姿をよく見ると、髪の花飾りが、ニチニチソウですね
硝子にとって、ニチニチソウは自身の苦難と成長をずっと見守っていてくれた、大切な花です。
それを、成人式の髪飾りにして、しっかり成長した姿をともに祝うことができたことは、本当に幸せなことですね(一度は、成人式に出られないような選択をしたこともあったわけですから…)。


7)全然ベストショットじゃない将也

成人式が終わったあと、永束の号令でかつてのメンバーが集まって、結絃のカメラで記念撮影をしました。


第62話、9ページ。

…将也が、目をつぶってしまっていて、しかもピースサインが間に合ってません(笑)。
結絃が「うむ!いい感じ」といってこの写真でゴーしてしまっているのは、少し前に「ちんちくりん」と言われたことへの仕返しでしょうか(笑)。
でも、大切な成人式の思い出になるものなので、この写真はネタで使ってもいいので、もう1枚、ちゃんとした写真をとってあげないとかわいそうですね(^^;)。


8)「どんな空気のなかにいたか」がついに分かる結絃

これは、ちょっと「重い」コネタです。
第62話の後半で、結絃は川井に誘われて、水門小の同窓会場にもぐりこむことになります。
そこは、将也と硝子が勇気をふりしぼらないと入れないような、「過去のトラウマ」が残る因縁の場所でもあります。

だとすると、これは結絃にとっても…


第4巻112ページ、第29話。

かつてずっと知りたいと願っていた「姉ちゃんが どーいった人達の中にいて どんな空気を感じてたか」をリアルに知るチャンスがとうとう訪れた、ということを意味します。
この結絃のせりふが、こんなところで伏線回収されるとは思いもよりませんでした。

実際、将也と硝子は、同窓会会場のなかで、いろいろな声をかけられるでしょう。
「聞こえない」硝子に対しては、意外と陰口なんかもあからさまに語る同窓生がいたりするかもしれませんね。
そういったことがあれば、その「空気」を、結絃も感じ取れるということになります。いまの結絃なら、そういう「空気」を、静かに受け止められるだろうと思います。


9)最終話、こっそり微増ページ!(笑)

最終話で、第1話並とはいわないまでも、32ページとかそれくらいの増ページがあったらいいなあ、という望みは、残念ながらかなえられませんでした。
でも、よく見ると、実は今回、最終話の長さは「20ページ」です。
ここしばらくずっと1話が18ページ(たまに17ページ)だったので、そういう意味ではわずか2ページですが、いちおう「増ページ」していることになります(笑)。

ちょっと遡ってみましたが、1話のページ数が20ページになったのは、第36話で永束と将也がけんかした回以来でした。26話ぶりの「増ページ」ということになりますね。
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最終回、成人式が「ウォーリーをさがせ」状態!

さて、最終回の舞台は成人式ということで、かつてのクラスメートなどが次々と集まってきているのですが、最初のページをよく見ると…


第62話、1ページ。

あれ、これって

・デラックス
・健脚コンビ


じゃないですか!?


第2巻118ページ、第11話。


第3巻109ページ、第20話。

予想どおりというか何というか、すっかりヤンキーとして地元に根をおろしている印象です。また、以前からの考察で、第2巻の結絃の回想に出てきたデラックスの取り巻きだった男2人(上のコマです)=健脚コンビ、という仮説が意外と正しかった可能性が高まりました

そして成人式後、真柴が消えていった先には。


第62話、10ページ。

これは真柴回で真柴をからかっていた、あの男女に違いありません(特に女性の髪形が符合してます)。

そして、永束が呼ばれた相手は、


第62話、10ページ。

永束回のこのシーンで、3コマ目に出てきた(おそらく高校時代の)モブキャラによく似ています。


第6巻67ページ、第46話。

このときの高校モブキャラは、小学校のころから一緒だったのかもしれません。

そして、水門小の会場の前で会った子どもと奥さんと一緒のこのキャラは、

KOEKATA_62_014.jpg
第62話、12ページ。

言うまでもなく、広瀬です。(けーちゃん、とも呼ばれていますしね)
あの、植野回でのLINEのアイコンは、婚約者(もしくは奥さん)だったんですね。

そんなわけで、最終号には、これまで出てきたモブキャラが密かに勢揃いです(広瀬はモブキャラに近いサブキャラですが…笑)。
他にもいるかもしれませんので、古いですが「ウォーリーをさがせ」的にキャラ探しをしても面白いでしょう(^^)。
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最終回、最後まで石田家に入らなかった佐原

さて、最終話ではなんだかんだ言ってもこれまで登場した主要登場人物が勢揃い(島田はたぶん扉の向こう)しているわけですが、そんな中に一人、ある点について特異なキャラクターがいます。

佐原です。

佐原は、第3巻で最初に硝子のもとに戻ってきた「小学校組」であり、橋での鯉の餌やりにも硝子・結絃・将也以外で唯一参加し、ふたりのよき理解者でずっとあり続けていたわけですが、実は、

いわゆる「橋メンバー」で、唯一石田家に出入りしたことがない。

のが、佐原なのです


最終話でも、成人式のセットと着付けを石田家ではなく自分の部屋(写っているのは西宮家ではなく佐原宅です)で済ませたことで、佐原は結局最後まで石田家にやってくることはなかったことになりました。

ちなみに、佐原以外のメンバーの石田家への「初出入り」ですが、

硝子:小学校時代にヘアメイクイシダにカットに来ています。高校編では、第7巻で将也退院後の快気祝いでやってきたのが最初です。
結絃:第2巻で、家出していて将也に拾われました。
永束:第2巻で、パクられた将也の自転車を取り返して、自転車の住所を見て自宅前まで届けてくれました。
植野:小学校時代にはヘアメイクイシダに通っていました。高校編では、第3巻で家におしかけています。
真柴、川井:第5巻の映画談義の際、将也の家に遊びに来ています。
島田、広瀬:小学校編ではいつも家で遊ぶ親友でした。


といった感じです。
見事に佐原だけ、来たことがないんですよね。

これは、おそらく「たまたま」ということではあると思いますが、同時に、佐原に密かに設定されている「実は人間関係に対して意外とクールで距離をおいている」という性格とも関係があるのではないかと思っています。
(その「距離感」は、例えば、佐原回で硝子の自殺を回想しているシーンに現れています。)


第6巻79ページ、第47話。

最初に登場してずっと親しい関係が続いていたのに、最後まで「微妙な距離」が残り続けた佐原、将也との「距離」を強引に縮めようとして実力行使にも出たものの、結局その距離は縮まらなかった植野、この作品では、そういうデリケートな「距離感」が、それぞれのキャラクターごとに設定され、それが物語の重要な要素としてうまく表現されていたのではないかと思います。
この「佐原だけ石田家に来なかった」というのも、その1つの要素なんだろうと思います。
タグ:第47話 第62話
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最終回にもあった「なぜ知ってるのか問題」(2)

さて、最終回、第62話で気づいた「なぜ知ってるのか」問題の2つめは、このシーンです。


第62話、3ページ。

西宮母がスマホで見せた、硝子・植野・佐原の奮闘シーンです。
このシーン、いろいろ謎があるので1つずつ解いていきます(そうすると最後に「なぜ知ってるのか問題」が残ります)。

まず、「この写真は誰が撮っているのか?」という問題です。
この場所には恐らく硝子、佐原、植野しかいないのに、その全員が写っている、ということですが、この答えはシンプルで、

佐原が撮っている。

で間違いないでしょう。
佐原も写真に写っているのでは、ということに関しては、

鏡に映った映像を、スマホのリアカメラで撮っている。

ということで問題ありません。
佐原が一番よく分かりますが、3人の振り袖の合わせ方が逆になって死装束になっていますから、これは鏡像です

ついでにいうと、「この写真の場所ってどこ?」という疑問については、

どうやら佐原の部屋らしい。

が答えですね。
佐原回で描かれた、佐原の部屋の鏡の反対側と、今回の鏡の向こう側に映る背景が同じです。


第6巻79ページ、第47話。

さて、というわけで、この写真は、

・佐原の部屋で、
・佐原が鏡の前に座り、
・佐原がスマホのリアカメラで撮って、
・佐原が西宮母に送ったもの。


ということになります。

…あれ?
何かおかしいことに気づきましたか?

はい、そうです。

なぜ佐原が、西宮母のアドレスとつながってるのか?

という「なぜ知ってるのか問題」が、発生している
のです。

いくら硝子と親しいからといって、さすがにその母親のスマホにダイレクトにメールを送る関係になるということはありえないでしょう。

にも関わらず、ここでの佐原は、写真を西宮母に送っているのです。

「実は佐原がいじってるスマホは硝子のスマホだった」というのも苦しく、さすがに親友だといっても、スマホを預かって勝手にメールまで送ってしまうというのは極めて不自然ですね。

というわけで、こんなところにも、ちょっと解決が難しい「なぜ知ってるのか問題」が潜んでいたのですね。
タグ:第47話 第62話
posted by sora at 07:09| Comment(6) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする

最終回にもあった「なぜ知ってるのか問題」(1)

さて、聲の形は人間関係がなかなかに複雑で、あるシーンである人物が別の人物やイベントを「知っている」とき、それが「なぜ知ってるのか?」という謎になってしまうことが多々あります。

それをこれまで「なぜ知ってるのか問題」と読んで、何度もエントリで取り上げていますが、最終話である第62話でも、やはり「なぜ知ってるのか」問題が2件出てきています

1つめは、このシーンです。


第62話、3ページ。

西宮母が、「佐原さんと植野さんは二人でブランド立ち上げてるんですって」と語っていますが、

植野と佐原の名前と顔を、いつ知ったのでしょうか?

…まあ、実はこの「なぜ知ってるのか」は大して謎ではないことは、ちょっと考えればすぐにわかります。

物語の中ではすでに硝子が上京してから2年近くが経過しているわけですし、硝子と同じタイミングで一緒に上京した仲間でもあり、そして現にいまみんなでセットと着付けをやっているくらいですから、この2年の間に面識ができたということなのだろうと思います。

ただ、「上京前」までの状況を考えると、西宮母とこの2人の出会いはなかなか興味深いものがあります。

特に植野については、最初に出会ったときが硝子への暴行からのビンタバトルですから(笑)。
あのとき、娘に暴行を加えられ、自分には罵声とビンタを食らわせた植野のことを、いまは朗らかに「植野さん」と呼べるようになっていることからしても、いかに西宮母が物語のなかで「救われ」て、精神的に落ち着き心が寛大になったかということを表していると思います。

佐原については、最初に会ったのはやはり同じく植野とのビンタバトルの場面(ただしけんかを仲裁し硝子を守る側)のはずですが、そのときには場が混乱していましたし、ふたりは必ずしも面識を持たなかったのではないかと思います。
そしてその後は、ストーリーのなかでは明確に西宮母が佐原と面識をもった描写は出てきません。
とはいえ、硝子にとっては高3時代を一緒にすごし、上京の夢を後押しし、そして実際に東京で一緒に頑張る仲間ですから、どこかのタイミングで硝子が西宮母に紹介したんだろうと思います。
タグ:第62話
posted by sora at 07:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする