2014年11月05日

第60話、真柴と川井の恋愛バトルのメタ的意味とは?(3)

さて、第60話での川井と真柴のコミカルな「恋愛プロレス」でのやりとりのポイントとは、

1)進路選択では、いま自分がやりたいことを優先すべきだ。
2)川井にとって「恋愛に生きる」ことが、いま自分がやりたいことだ。
3)恋愛に生きることが自分のやりたいことなら、その進路選択は間違っていない。


ということだろうと思っています。


第60話、9ページ。

つまり、川井の進路選択というのは、実は永束の進路選択と同じで、「夢に向かってまっしぐら」というものなわけです
その「夢」の対象が、永束は映画であり、川井は真柴との恋愛だという違いです。
一般的には、「恋愛」を高校卒業後の「夢」として進路選択することは、まあ「賢明でない」選択だという議論になるでしょうが、この物語の中では、とりあえず真柴によって「その選択もアリだよね」という結論が出されたことになります。

そうだとするなら、この議論は将也の進路選択にもそのまま当てはまることになります。
今回、第60話では、将也は母親にも川井にも、硝子について東京にいったらどうだと促されています。
一方で将也は、東京に出るにしても、地元に残るにしても、はっきりした「やりたいこと」がありません。

…いや、ほんとはやりたいことはあるんですよね。
「硝子と一緒に生きていきたい」というのが、いま将也が具体的に抱いている唯一の「やりたいこと」でしょう

だとすれば、将也は無理に「やりたいこと」を新たに見つけなくても、川井が選択しようとしているのと同じように、「硝子への感情」を優先し、「硝子とともに生きていきたい」という「やりたいこと」を実現するために、「硝子とともに東京に出ること」を選択したって構わない、ということになるのではないでしょうか。

どうも、こんなラストぎりぎりのところで、川井と真柴を使って将也の目の前で「恋愛に生きるのだってそれが自分のやりたいことなら立派な進路選択だ」という議論を展開するのは、将也の決断をそっち方向にもっていくためのフラグであるような気がしてなりません。

まあ、川井も、真柴と同じ大学に行くというところにだけ「恋愛」を優先しているに過ぎず、大学に入ってからどんな風にさらにその先の人生を設計していくかについては、真柴と同様「オープン」なままでいられますし、将也にしても、硝子とともに東京に出るというところだけ「恋愛」を優先したうえで、頑張って勉強して東京のそこそこの大学に入ってしっかり勉強すれば、むしろ地元に残って近場の大学にいくよりも将来が開ける可能性が出てくるわけですから、この2人の進路選択においては、あながち「恋愛」を優先するのが間違っているとは言えません。

そういうわけで、普通に考えるとちょっと(ベタすぎて)ないんじゃないかと思える「硝子も将也も上京エンド」が、今回の真柴・川井の恋愛プロレスによって、その展開になる可能性がそれなりに高まったようには思います
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第60話、真柴と川井の恋愛バトルのメタ的意味とは?(2)

さて、第60話で最もコミカルな場面の1つだと思われる、真柴と川井の直球の恋愛プロレスについて書いていますが、そもそもこのランチの席で将也と一緒だった3人が語った進路は、そのまま将也がとりうる進路のオプション(選択肢)になっていると考えられます。

永束パターン:今からやりたいことを見つけて、その夢が実現できる進路を選択する。

真柴パターン:まだやりたいことは決まらないということを前提に、選択肢が狭まらないように大学(総合大学)に進学する。

川井パターン:いま何よりも大切なのは大好きな硝子なのだから、硝子と一緒にいられるような進路を選択する。


この先、恐らく将也も、この3つのパターンのどれかを自分自身の進路として選択するのでしょう。
無難なのは真柴パターン、もしも夢を見つけられたら永束パターンを選ぶのが黄金の選択になるのでしょうが、具体的な夢が見つからず、しかも真柴のように「夢がないなりにつぶしが利く選択」もしないという川井パターンは、かなりの冒険だと言えます。

そう考えると、この3つのパターンのうち、川井パターンは選ばれない可能性が高いのでしょうか?

普通に考えれば、そのとおりだと思います。
ただ、第60話のある展開によってその優劣の順列がかき回されてしまったため、現時点ではこの3つのパターンが選ばれる確率はまったく互角、それどころかもしかすると「川井パターン」が頭ひとつ抜き出てきたかもしれないという状況になっていると感じています。

その「ある展開」こそが、あの、

真柴と川井の恋愛プロレス

に他ならないのです。

よくよく読んでみると、この「恋愛プロレス」ですが、まさに「うまくいくかどうか分からない恋愛を最優先して自分の進路を選択する」という川井の考え(=川井パターンの進路選択)に、真柴が「そんなんじゃだめじゃない?」とダメ出しをするやりとりになっていることに気づきます。


第60話、8ページ。

その真柴のダメ出しのポイントとは、

「恋愛なんかよりも本当にやりたいことがあるなら、そちらを優先すべきだ」

という内容になります。
それに対して、川井ははっきりとこう答えるのです。

「本当にやりたいことが、それなのだ」

と。


第60話、9ページ。

それに対して真柴は、ある意味他人事のように、

「恋愛が本当にやりたいことなら、その選択をしてそれを頑張ればいい」

と答えたわけです。
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第60話、真柴と川井の恋愛バトルのメタ的意味とは?(1)

さて、第60話にはいろいろな見どころがありますが、個人的にかなりツボだったのが、真柴と川井との間で繰り広げられた、ガチンコの恋愛対決です。

まずはその驚くべきやりとりを抜き出してみます。

真柴「川合さんは大学どこにするの?」
川井「私?」
  「君と同じ♪」
真柴「あはっ そんなに僕のことが好きなの?」
川井「うんっ…」
真柴「…川井さん」
  「自分のやりたいこと やりなよ」
川井「うん」
  「やりたいことだよ これが 私」
真柴「そーか じゃあ頑張ってね!」
川井「うん!」


うーん、何度読んでもすごいですねえ。
このふたり、仲間の目の前で愛の言葉を交わし合っているのに、どう見てもプロレスをやっているようにしか見えません(笑)。

そして、このやりとりの1コマ1コマで、将也と永束が、目の前で展開される「恋愛プロレス」に驚愕の表情を浮かべるのが最高に面白いですね。
このまんがにしては珍しく、ここは私は声を出して笑ってしまいました(笑)。


第60話、8ページ。

さて、この川井と真柴のやりとりから透けて見える2人のいまの関係や、川井が髪型やめがねを元に戻した事情などについては別途エントリを分けて考察したいと思いますが、ここでは視点を変えて、この2人のある意味不思議なやりとりがこの場面で描かれた意味について考えたいと思います。

このランチの席にいたのは、永束と真柴、川井でした。
そしてそれぞれが目指している進路とは、

永束:夢に向かってまっしぐら
真柴:目的を決めず、とりあえず大学に進学
川井:恋愛を優先して人生を選択する


このように整理してみると、この3人が目指している進路は、それぞれ、これから将也が目指していくべき進路の方向性の選択肢を示していることが分かります。
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第60話以降、最後の波乱の可能性は「石田母」?

第60話を終わった時点で、将也の進路は白紙、硝子の進路は宙ぶらりん、結絃の進路は今後の学力向上次第、と、あとたった2話しかないことを考えると、進路のネタだけでいっぱいいっぱいのように思われますが、第60話にはそれだけで終わらないかもしれない波乱要素が盛り込まれています。

それが、

石田母が病で倒れるかも。

という伏線です。

今回、将也に東京行きをすすめる石田母は、3コマもかけて薬らしきものを飲んでいます。


第60話、2ページ。

しかも、3コマめでは石田母の「将也による気苦労」の象徴と言ってもいい例の「耳のキズ」が強調されています。

そういえば、ギャグっぽい演出にはなっていましたが、第54話で病院から脱走した将也を発見した石田母はその場に倒れ込んでしまい、第55話をみるとそのまま将也と同じ病室で朝まで寝込んでしまっています。
しかも、そのときに医師から「急に起きるとまた悪化します」と言われているんですね。


第55話、2ページ。

「悪化」ということは、やはり何か持病があって、それが将也発見時には出てしまって倒れたと考えるべきでしょうし、第60話で飲んでいる薬も、その持病の薬だと考えられます。

ショックを受けたときに失神してしまうような「持病」ということで考えると、可能性として高そうなのは

慢性の心臓疾患

ということになるでしょうか。
第55話の「悪化します」や、今回の薬の伏線が回収される=石田母がどこかのタイミングで倒れる、とするならば、それがいつなのか、で展開がかなり変わってきます。

1)将也らが高校を卒業するより前
 将也は地元に残ることになり、いったんヘアメイクイシダは閉店。
 硝子はそれでも東京に行き、資格をとったらすぐに戻ってヘアメイクイシダを再開させる。

2)数年後
 石田母が倒れたとの知らせを聞き、すでに理容師の資格を取っていた硝子は急遽地元に戻り、ヘアメイクイシダを手伝う。

そしてどちらのパターンでも、硝子がヘアメイクイシダに働きに入ることをきっかけに、将也と結婚して一緒になる流れなんじゃないかと想像します。

なんとなく、石田母1人で回せる程度の零細理髪店であるヘアメイクイシダに硝子が入ってくるためには、「2人で働く」のではなく「入れ替わる」必要があるように思われるので、そこで「石田母が倒れる」という展開を使ってきそうに思うんですよね。
ちょっと不気味な「伏線」が設定されてきたなあ、と感じます。
posted by sora at 07:26| Comment(7) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする