2014年11月14日

最終回を無理やり予想してみる!(3)

前のエントリから続いています。

4)成人式後の展開は?

これまでの展開を読み直してみると、「聲の形」での将也をとりまく人間関係は、文化祭や映画選考会などの「公」の場面と、いつもの橋や石田宅などの「私」の場面を切り替えながら描かれていることに気づきます。

そういう意味では、「成人式」というのは間違いなく「公」の場面になります。
「公」の場面では、将也の心の障壁が外れ、誰ともちゃんと話ができ話を聞くことができるといった「成長」は描くことができますが、将也と硝子(・結絃)との関係や家族のデリケートな部分の進展は描く事ができません。そういった展開は「私」の場面で描かれることになります。

そう考えると、最終回も、単に「公」の場面である成人式で最初から最後まで終わるのではなく、成人式のあと、「私」の場面も描かれるだろうと予想します。

個人的には、やっぱり最後も「橋」に行ってほしいな、と思っています。
あそこからすべてが始まって、そして第7巻の冒頭の感動的な再会もあそこ、そして今回、「一緒に頑張ろう」と誓った場所もあそこだったわけですから、未来に向かって歩き出していく2人もまた、改めて「橋」に戻って、未来を語ってほしいですね。


第61話、13ページ。

まあ、石田宅にまた石田家・西宮家が集まって、今度こそヘアメイクイシダの跡継ぎ話になる、というガチで現実的な展開になっても、それはそれでいいですが…。

とにかく、最初から最後まで成人式で「公」の場面だけでエンディング、というのは寂しいので、「私」の場面も必ず入れてほしいなあ、とは思いますね。


5)最後に波乱は起こるのか?

ここから先はかなり大胆な予想にならざるを得ませんが、第60話で設定された伏線爆弾としての「石田母が薬を飲んでいる」が最終話で爆発し、ちょうど成人式で硝子が戻ってきているときに石田母が倒れる、もしくは、それより前に体調を崩してヘアメイクイシダが一時閉店になる、といった形で、「最後の波乱」が訪れるのではないかと予想します。


第60話、2ページ。

というのも、そういうイベントが起こらないと「硝子を東京から引き戻す」理由が生まれにくいように思うからです。
東京で資格を取った硝子は、そのあと何もイベントが起こらなければ、どうしても東京で仕事を探す流れにならざるを得ません。ハンデのある硝子が、せっかく東京にツテがあるのに、東京より求人が厳しいであろう地元に戻って職を探すというのは、それ相応の理由がなければ無理があります。

ここで、硝子が地元に戻って石田母が倒れたヘアメイクイシダを助ける、という展開になれば、まさに将也と約束した「生きるのを手伝ってほしい」にもつながってきます。

ちょうど成人式前後のタイミングであれば、硝子は理容師の資格をとっている一方で、将也はまだ理容学校在学中で資格を取るにはもう少し時間がかかる状態なので、将也ではなく「硝子が」ヘアメイクイシダに入ることにも必然性がある、絶妙のタイミングにもなっています。


6)というわけでエンディングは?

もし上記5)の予想が当たるとすれば、

・成人式でみんなの成長を確認したあと、

・硝子は石田母の体調不良、ヘアメイクイシダ閉店の危機を知る。

・硝子は地元に戻ってヘアメイクイシダを助けることを決める。

・地元に戻ってヘアメイクイシダで働き始める硝子。それをサポートする将也。店の前のプランターにしっかりとささる、あのときのガーデンピック。


といった感じで、エンディングの場面はヘアメイクイシダ、そして将也と硝子がいて、ガーデンピックが小道具として描かれる、といったものになるのでは、と予想します。(^^)


7)それでも残るトンデモエンドの可能性

さて、上記では(石田母が倒れる波乱の可能性を含めて)オーソドックスなエンディングを予想していますが、もしかすると最後にとんでもない爆弾をしかける可能性も、ゼロではないと思います。

例えば、

・サブタイ「島田一旗」で、まさかの島田視点エンド。
・せりふ一切なしの「静寂」エンド。
・硝子視点再び。将也・結絃・佐原との会話だけが手話ではっきり伝わり、逆に他のメンバーの会話が「読み取れない」という形に。
・最終話全部が、結絃か永束が撮影した「成人式ビデオムービー」として描かれるエンド。
・これまでの物語全部が、永束が撮影した「聲の形」という映画で、それが成人式で流される、という映画オチエンド。


みたいな系統ですね。
ここ最近はあまりに展開がオーソドックスになっていることもあり、何か最後にあるんじゃないか、と、今でも思わずにはいられません。


8)サブタイはどうなる?

最終話につけられるサブタイですが、もっとも王道なものは

・聲の形

でしょう。
ただ、ここまで第7巻のサブタイは基本的に「2文字」でできているので、これだと最終話だけ例外になります。「2文字」を堅持するなら、

・未来
・夢へ
・大人

あたりかな、と思います。


…今回は、最終回前ということもあって、長めに予想エントリを書いてみました。
まあ、当たるか当たらないかは分かりませんが、こうやっていろいろ予想して楽しめるのも今回までだ、と考えると寂しいですね。
ラベル:第62話 第61話
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2014年11月15日

第62話で、将也と島田は会うのか?何を話すのか?(1)

第61話の展開には予想外のものがいくつかありますが、そんな「驚き」の1つが、島田の話題が改めて出てきたことです。

第61話では、島田の話題が2回登場しています。

1回目は、植野の暴露話のなかで、マンションから転落した将也を助けたのが島田達だった、ということが明かされた場面です。
(ここでの植野の話は、それ自体が興味深いものなので、別途エントリを分けて考察したいと思います)


第61話、6ページ。

そして2回目は、ラストシーンで将也が永束に島田のメアドを聞く場面です。
この場面で、島田がフランスに音楽留学に行く、という「島田の進路」もあわせて明らかになりました。


第61話、18ページ。

そして、将也はこの場面で「成人式に来るか 聞くだけ / 話してみたいんだ ちゃんと」と言っています。
一方、ラストのコマは既に成人式、あおり文には「そして舞台は2年後へ…。」と書いてありますから、次回、第62回のエンディングの舞台は、確実に2年後の成人式から始まります。

つまり、ここで島田が成人式に「来る」ということであれば、次回、最終話では将也が島田と改めて「ちゃんと話す」展開となり、かつて言われていたような「島田ラスボス説」が復活することになります。
一方、フランスに音楽留学という設定は、成人式には来たくても来れないという展開の布石であるようにも思われます。
実際のところ、次回島田が成人式に登場するかは五分五分か、少し「来る」確率が高いくらいといったところではないでしょうか。

いずれにしても、「今さら」でもちゃんと話したい、と思う熱い将也と、「もう昔のことなんてどーでもいいだろ」と考えているに違いないクールな島田、という対比を示す展開になるとは予想されるので、

・会いたいと願う将也に対して、戻れないとそっけなく返す島田(成人式に島田は来ない)

・ちゃんと話したいと願う将也に対して、そっけない返事だけ返す島田(成人式に島田は来る)


のどちらかの展開になるだろうと予想しています。

さて、島田が成人式に「来る」とした場合、将也は島田に、どんなことを話すのでしょうか?
ラベル:第61話 第62話
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第62話で、将也と島田は会うのか?何を話すのか?(2)

さて、第61話で、将也は島田に連絡をとり、成人式にくるつもりかどうかを聞いたようです。
その結果はわかりませんが、もし島田が成人式に「来る」とした場合、2年後の将也は、島田にどんなことを話すのでしょうか?

恐らく、最初に声をかけるのは将也のほうだと思います。
それはある意味、第1巻第5話の「限定盤CD」の場面のリフレイン的になるのかもしれません(もしかしたら広瀬が相変わらず隣にいるかも(笑))

そして、将也が島田に対して確実に話すだろうと思われるのは、やはり、

・命を助けてくれたことへの礼

だろうと思います。
そもそも、第61話で将也が島田とちゃんと話したいと思ったきっかけは恐らくこれだったはずですから。

あとは、

・将也が植野に対して語ったような、かつての友情とその崩壊についていま感じていること

を淡々と語るくらいでしょうか。

私は、それ以上のことは、もう将也は語ろうとしないのではないか、と思っています。
いまの将也(ましてやさらに2年後)には、島田に対して、怒りとか恨みはもうないでしょうし、逆に島田に(淡々と感じていることを語る以上に)謝りたい、とかもう一度友達になりたいとか、そういうベクトルの気持ちも既にないのではないかと思うからです。

そして、それに対する島田のリアクションは、やはりそっけないものでしょう。
「今さら」そんな昔のことを語りだす将也について、また改めて「相変わらずダセーな」とでも言い返すのでしょうか。それとも、助けたことについて「当たり前のことをしただけだ」と言い捨てるのでしょうか。

島田が過去のことについてなんらかの謝罪をする、ということはないと思います。
観覧車回の植野ではありませんが、島田もおそらく、現在でも「当時の感情は間違っていなかった」し「もう過去のことだ」し「今さら謝ったり何かすることに意味はない」と感じているだろうからです。

いずれにしても、もう舞台から退場したと思っていた島田に再登場の目が出てきたことは、本当に意外でした。
まだ最終話でも、意外な展開が待っているかもしれませんね。
ラベル:第61話 第62話
posted by sora at 07:43| Comment(4) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする

第61話、またもや「なぜ知ってるのか」問題が!(1)

さて、第61話ということで、もう残すところ最終話しかないというところまできてしまいましたが、今回、またもや、聲の形では恒例?の「なぜ知ってるのか」問題が新たに登場しています。

それは、最後に将也が永束とやりとりをする場面です。

石田「そういえば永束君 音楽担当のメアド持ってる?」
永束「あるけど どうして? 彼 フランスに音楽修行に行くらしいよ」


第61話、18ページ。

永束が、島田のメアドを将也に知らせる際に「フランスに音楽修行に行く」という情報をついでに伝えています。

…が、

なぜ永束は、島田のこんな情報を知っているのでしょうか?

これまでの状況からは、永束と島田の接触はせいぜい下記の程度だと推測されます。

1)植野、硝子に島田のメアドを渡す。
2)硝子、永束に島田のメアドを渡す。


第6巻154ページ、第51話。

3)永束、島田に連絡をとる。
4)島田、永束にサンプル曲を送る。永束、資料として島田に脚本を送る。
5)島田、最終版の音楽を永束に送る。
6)島田、選考会に現れる。永束、島田にギャラを手渡す。

KOEKATA_58_013d.jpg
第58話、13ページ。


6)でギャラを渡していることから、5)と6)との間で島田と永束が実際に会ったことはなかったでしょう。さらに言えば、プロ的な視点で言えば5)の段階で仕事は終わっているわけですから、5)で会っていればそこでお金のやりとりがあるはずです。となると、5)のときも会っておらず、曲の最終版はメール等で電子的に送られたものだと推測されます。

一方、6)で相手を見ただけで永束は「音楽担当」と認識できていますから、4)はメールでのやりとりではなく、実際に会ったことがあったと考えられます。

さらに、川井や佐原、硝子は6)で島田が登場したとき、島田が映画メンバーであったことを知って驚いていますから、島田は映画メンバーの集まりには参加していないことになります。

島田がフランスに行く、なんていう話題は、単に映画メンバーとしてのメールでの事務的なやりとりでは絶対に出てこないでしょうから、上記の前提をふまえると、永束が島田のフランス留学情報を得たとすれば、

・4)のときに雑談で聞いた。
・6)のあとに永束が別途連絡をとった。


のどちらかしか考えられないことになります。
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第61話、またもや「なぜ知ってるのか」問題が!(2)

第61話で新たに出現した「なぜ知ってるのか」問題とは、「永束がなぜ島田のフランス留学情報を知っているのか?」というものです。

これについて、前のエントリでの考察を踏まえると、可能性があるのは、

a)永束が島田からサンプル曲を受け取るときに、島田との雑談で聞いた。

b)映画選考会のあと、永束が別途連絡をとった。


のどちらかくらいだということになります。
あと、もう1つ可能性としては、

c)島田の知り合いである植野から聞いた。

というのがあるかもしれません。
これらのうちどれなのか、といえば、私は

b)選考会のあと、永束が連絡をとった

の可能性が最も高い
と考えます。

a)のときにはお互いに初対面ですし、永束は特に愛想がそんなにいいほうでもないでしょうから、島田が将来の進路なんていう話題を話すところまでくだけた関係になるとは思えません。(実際、ギャラを渡すときもまだ他人行儀でした)

ですから、映画選考会のとき、島田が将也と知り合いで将也の過去について何か知っているらしい、ということを察して、島田に別途連絡をとって探りを入れたのではないか、と推測するわけです。
島田は、そんなに細かいことは話さないでしょうが、自分がかつて将也と友達だったことを話したのではないかと思います。
それに対して永束が「だったらまた映画メンバーで集まらないか?」みたいなことを聞いて、島田が「もうすぐフランスに行くから会えない」みたいな形で断ったのではないかな、と推理(妄想(笑))するわけです。

ちなみに、c)の「植野に聞く」ですが、意外と人間関係のデリケートなところに敏感なところのある永束は、あの映画選考会のやりとりで、島田ー将也ー植野の関係が複雑なものであることにはすぐに察したと思います。
もともと植野とやりとりするのが苦手だということもありますし、永束が選考会のあとコンタクトするなら植野ではなく直接島田だったんじゃないかと思います。

このあたりは、もう情報が少なすぎるので、想像するしかないですが、永束がなぜ島田のフランス行きを知ったのか、というのは、意外と「楽しい方の妄想」が膨らむネタのように思います。(^^)
ラベル:第61話
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2014年11月16日

第61話、なんと将也の進路も理容師だった?(1)

さて、第61話、将也はいったい何を目指すんだろう?ということについて、私はほぼ間違いなく「教師」だと思っていたのですが、第61話を見る限り、将也は理容師になる事を選択したようです。
ということは、将也が第34話で語り、また第60話でもいまだ匂わせていた「大学進学」自体を、すっぱりやめるという選択をしたということになります。

将也は、いったいなぜ、大学に進学するという「オーソドックスな」進路を捨てて、理容師への道を目指すことを選んだのでしょうか?

ここは、将也が今回植野に語ったこのせりふを素直にとらえるところから始めるのがいいだろうと思います。

石田:俺はここに残って いずれするだろうと思ってたことをやるよ
   うちの店継ぐために そっちの学校行こうかと思ってる



第61話、4ページ。

つまり、もともと将也にとって最終的なキャリアのゴールのイメージは、「実家の店を継ぐこと」だったのだろう、と思います。
地元の大学に入り卒業して、平凡なサラリーマンか何かになるというのは、将也にとっては一種のモラトリアム(猶予期間)のつもりだったのかもしれません。
しばらくはそうやって「自分が何者であるか」みたいなことを考えながら働き、それが見つかればその道に進めばいいし、もしそれがだめなら実家に戻って店を継げばいい、といったことを漠然と考えていたのではないか、と思います。

ところが今回、将也はその「モラトリアム」を捨て、ダイレクトに理容師を目指すことを選びました
第60話でもまだ迷っていたことを考えると、その決断に影響を与えたものは、基本的には第60話で提示されたものだ、と考えるのがいいと思います。

それは具体的には、

1)母親がひとりで店を切り盛りすることへの心配。
2)硝子が東京に出て行くという事実。
3)そもそも自分は家を出るつもりがあるのか?ということへの自問自答。
4)仲間から聞いた、それぞれの進路とその動機。
5)母親に聞いた、理容師を選んだ理由。


それ以外には、大きなところとして、

6)あまり成績がよくないという現状。

というのも将也の進路選択に影響を与えたかもしれません。
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第61話、なんと将也の進路も理容師だった?(2)

さて、第61話で将也が高校卒業後の進路として、理容師を目指すために専門学校に進むということを選択した「理由」について考えています。

将也が植野に語った話からすると、将也はもともと「当面は大学に行って働いて、ゆくゆくは自宅の店を継いで働きたい」ということを考えていたようですが、それを「今すぐ理容師に」という思いに変えたものは、何だったのでしょうか

第60話にあった「ヒント」としては、

1)母親がひとりで店を切り盛りすることへの心配。
2)硝子が東京に出て行くという事実。
3)そもそも自分は家を出るつもりがあるのか?ということへの自問自答。
4)仲間から聞いた、それぞれの進路とその動機。
5)母親に聞いた、理容師を選んだ理由。
6)あまり成績がよくないという現状。


といったところが考えられます。

恐らく、将也は自分の進路を改めて深く考えるにあたって、特に3)について考え直したに違いありません。

”自分はそもそも、サラリーマンとかになって、家を出て東京や地方で働くイメージを持っているのか?……”



そして将也が出した結論は「家を出るイメージがまったくわかない」ということだったんじゃないかと思います。

その大きな理由の1つが、1)ということなのだろう、と思います。
第60話を見ると、将也は小学校の頃から、女性である母親が一人で店を切り盛りして頑張っていることを気にかけていた様子が伺えます。
そんな「優しい」将也が、自分の将来を改めてイメージしたとき、数年単位で家を空けてしまって、自宅を母親と姉、姪という女性だけにしてしまう、ということを非常にイメージしづらかったことは容易に想像できます。
そう考えれば、将也にとって、少なくとも「硝子と一緒に東京に出て大学に通う」という選択肢は消えることになるでしょう。

そして、第60話から伺えるもう1つのことは、4)で明らかなように、将也が「進路を選ぶ理由」を求めていた、ということです。
将也は、周りの人に次々と、進路だけでなく、その進路を選ぼうとしている「理由」も聞いていることに気づきます。


第61話、5ページ。

夢を追いかける硝子、永束。
あえてモラトリアムを選択する真柴。
恋に生きる川井。
ちょっと意味あいは違いますが、家族を安心させたいという結絃。


そして、最後の決め手になったのは、もしかすると5)の母親の「理由」だったのかもしれません。


第61話、10ページ。

「楽しそうだったから」。

将也は、ここで気がついたのかもしれません。

進路を選ぶ理由なんて、実はどうでもいい。
要は「目指すものになれれば、それが答えになる」のだから。


現に、「楽しそう」で理容師を選んだ母親は、立派な理容師となって店を経営しているわけですからね。
ラベル:第61話 第60話
posted by sora at 07:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする

第61話、なんと将也の進路も理容師だった?(3)

さて、将也が第60話ではまだ進路を迷っていたのに、第61話では「理容師」に決めていた、その背景について考察しています。

将也には、もともと漠然と「やがて理容師になる」というイメージはあったようですが、

a)一旦、大学に入ってサラリーマンになるような「モラトリアム」的な進路を選ぶべきだろうか?

b)進路を選ぶときには、立派な理由が必要なんじゃないか?


どうやらこの2つの疑問をずっと持ち続けていた
ように見えます。

そして今回、将也は、上記2つの問いに対していずれも「No」という答えを出し、「今すぐ理容師を目指す」という選択をしたように感じられます。

b)の「立派な理由が必要?」ということについては、1つ前のエントリで触れたとおり、将也は「理由なんて実は本質ではなくて、『目指すものにちゃんと実際になる』ことこそが重要なんだ」という確信にいたったのではないかと思います。
それに、「母親を安心させたい、守りたい」という理由だってちゃんとありますからね。
昏睡から目覚めたとき、そして今回自分の部屋で植野に遭遇したときのリアクションを見れば、実は将也は相当の「お母さんっ子」であることは間違いありません。


第61話、3ページ。

では、なぜ将也はa)の「モラトリアムを選択すべきか?」に対しても「No」という結論を出したのでしょうか?

これについては、前エントリで列挙した「将也の進路選択に影響を与えた要素」のうち、まだ取り上げていない、

2)硝子が東京に出て行くという事実。
6)あまり成績がよくないという現状。


の2つの要素が影響したのではないか、と考えられます。

まず、これまで何度も描写されたとおり、将也の高校3年になってからの成績は良くないです。
夏休みは補習クラスに参加させられる学力水準でしたし、さらに橋崩壊事件、転落、昏睡によって、夏休み後半をほぼすべて棒に振り、2学期についてもしばらく授業に出られませんでした。


第5巻65ページ、第36話。

将也が通う東地高というのは地元の公立高で、竹内の母校でもあってそこそこ偏差値も高いという設定のようですが、それにしても成績がクラスの下位では国公立大学は厳しく、頑張って私立の中堅大学といったところが(進学すると決めた場合の)進学先になるのではないかと思います。
でも、将也は理系でありながら国語も勉強していたことからも分かるとおり、国公立志望でした。
それは、母子家庭である実家の経済状況も影響しているのだろうと思います。

そうなると、非常にカネのかかる私立の理系大学を進路として選べないとすると、国公立にこだわって浪人も辞さないで頑張る、ということになりますが、将也にとっては、そこまでして(親にさらに負担をかけるリスクを犯してまで)「モラトリアム」を得ることにこだわる意味があるのか、ということになっていくでしょう。

また、硝子が2年で資格を取って戻ってくる(だろう)、ということも、モラトリアムを「選ばない」ことに影響した可能性があります

既に高校卒業の時点で硝子は社会人となり、さらにこのままいくと2年で資格を取り、社会人としてさらに自立していくことになるでしょう。
その頃に、自分はまだ大学に入ったばかり、あるいは万が一にもまだ浪人中、みたいな段階に留まっていることだけは避けたい、そんな気持ちが将也のなかにあったとしてもおかしくはないと思います。

さらには、「モラトリアム」を使って会社員などになった場合、その後理容師になるためには、いったん会社員をやめ、また何年か「学生」に戻らなければならないという事実も、硝子が自立していくスピードに対する「遅さ」を感じさせるものだったかもしれません。

そういったことを総合的に考えて、将也は「モラトリアム」を持つことに対しても「No」という答えを出し、「いますぐ理容師を目指す」ことを選択することを決意したのだろう、と思います。

この「職業選択」について、機会があればビジネス的な側面からも改めて書きたいと思いますが、既に店もあり(恐らく初期投資も回収していて)固定客もついている自営業を継ぐ、というのは、決して愚かな選択ではないと私は思います。


ラベル:第36話 第61話
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2014年11月17日

第61話には西宮母への「救い」も描かれている?(1)

聲の形は第7巻に入り、6巻までの、ほぼあらゆる登場人物に対して苦難が描かれてきたのとは一転して、伏線回収的に「和解」や「救い」が描かれてエンディングに向かっています。

さて、そんな中でラス前の第61話ですが、「和解と救い」という観点で見ると、実はこの回でもっとも明確にそれが描かれたのは、

西宮母

ではないか
、ということに気づきます。

思えば、西宮母は、硝子の障害発覚によって夫から離婚を告げられて以来、孤独な人生を歩み続けてきました。

夫やその家族に、硝子という存在(さらには、硝子を産んだ自分自身の存在)を、硝子の障害がゆえに否定されたという西宮母の絶望と怒りは、そのまま硝子に向けられました。
その結果、西宮母は硝子に対して、障害を克服して「普通」になれ、そして「普通」の幸せを手に入れろ、という難題を押し付けることになり、逆に自分は手話を学ぼうともしませんでした。手話を学ぶことは、ある意味、硝子に障害があることを認めてしまうことになるから、学ぼうという気持ちになれなかったのでしょう。
そして、そういった母親のやり方に反発した結絃とは完全に信頼関係が崩壊し、結絃は不登校、家出を繰り返すような子どもに育ってしまいました。
残る祖母とも、協力は受けつつも子育ての方針では完全に対立していたわけで、西宮母は(自業自得という側面も否定できませんが)家庭の中でも孤立無援でした。
そして、そのような子育ての方針は、家庭の外においても対立を招き、いわゆる「ママ友」のような存在とは無縁だったと思います。竹内の話を引くまでもなく、学校とも折り合いは悪かったでしょう。


第5巻51ページ、第35話。

家の中にも価値観を共有する味方がおらず、また家の外に出ても友達も誰もいない、といった状態で、西宮母は離婚してからいままでの15年あまりを過ごしてきたということになります。

そんな西宮母に、結果的に「救い」をもたらしたのは、皮肉にも、かつて硝子をいじめ、自らも「下品な親子」と蔑んだ、将也と石田母でした。


第1巻136ページ、第3話。

将也は、硝子の心と命を救い、硝子が障害を受け入れ、自信をもって自立していくだけの生きる力を与え、かたくなだった結絃の心を溶かして生活を立て直し、西宮家そのものの関係を再構築するところにまで至りました
それどころか、橋崩壊事件以後、西宮家で一緒にケーキを食べたり花火を見に行ったあたりからは、硝子や結絃を通じてではなく、将也が直接西宮母を癒やしていた側面すらあると思います。


第5巻171ページ、第41話。

硝子が東京に出ていったあと、西宮母にとっても結絃にとっても、石田家が「心の拠り所となる第二の居場所」になったのは間違いないと思います。

第61話では、そういった西宮母をとりまく環境の変化と、それによってもたらされた西宮母への「救い」がいくつかの場面によって描かれています。
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第61話には西宮母への「救い」も描かれている?(2)

第7巻では、さまざまな登場人物に和解や救いが与えられていますが、第61話は、一見「植野への救いの回」に見えて、実は「西宮母」にも「救い」が与えられていることは見逃せません。

第61話では、いくつかの場面で、西宮母をとりまく環境の変化と、それによってもたらされた西宮母への「救い」が描かれています。

まず冒頭、硝子の上京を西宮母が認めた、という話。


第61話、1ページ。

これは、西宮母がもともと持っていた「障害があっても自立して力強く生きてほしい」という願いを、硝子自身が自らの意思で(それこそ、母親の意見に反対してまで)実現しようとしていることの現れであり、西宮母にとっては実は嬉しいできごとだったでしょう。

同時に、硝子が上京を決意し、西宮母自身もそれを受け入れていいと考えられるようになった背景には、結絃の進路に明るさが見えたということもありますが、それを実現したのは「硝子のコンクール応募」という計らいと、「将也の家庭教師」と、「結絃のやる気」だったわけで、この「みんなが協力しあう体制」というのも、西宮母にとって嬉しかっただろうと思います。

そして、11月から3月まで、時がながれていくコマのなかで描かれた、石田母とのふたたびの酒飲みシーン。


第61話、15ページ。

石田母というのは、家の中でも外でもすべてを敵に回して戦い続けていた西宮母にとって、おそらく離婚後初めてできた「友達」だったのではないかと思います。
そんな石田母の家にときおり遊びにいって、思う存分酒を飲みながら、それぞれの息子と娘の関係の進展や進路を語り合うというのは、西宮母にとって最高のストレス解消であり、幸せな時間であるに違いありません。

さらに、ラストの硝子上京時のやりとりにも、「救い」は現れています。


第61話、16ページ。

まず、結絃が自然な形で母親におみやげをねだっています。
これは当たり前に見えますが、少し前の絶望的なまでの親子の断絶からは劇的な変化であり、西宮家の家庭内の関係が完全に修復されたことを示しています。

一方、西宮母は将也と永束に対して「結絃をよろしくね」と、留守中の世話を任せています。


第61話、16ページ。

こんな風に、家の外にも家族がつながっていて孤独ではない状態が生まれていることも、15年もの間、家の中でも外でも孤独だった西宮母には考えられないことなのではないでしょうか。

「聲の形」という作品は、「大人が子どもの問題を絶対に解決しない」という徹底した特徴があるのですが、ここへきて逆に「大人の問題は子どもがけっこう解決する」という、非常にユニークな?展開がいくつか出てきました
そういう視点からこの作品を読み解くのも、なかなか興味深そうです。
ラベル:第61話
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第61話、「同じこと」考えてた、の意味とは?

さて、第61話は、エンディングに向けて、これまでの懐かしいシーンのリフレインがてんこ盛りの展開となっています。
リフレインそのものについてはエントリを分けて書いていますが、ここではその中でも「同じこと考えてた」という硝子のセリフについて考えておきたいと思います。


第61話、13ページ。

言うまでもありませんが、この「同じこと考えてた」は、2巻の橋でのやりとりのリフレインです。その2人をファインダー越しに眺める結絃、というのも同じ構図ですね。


第2巻84ページ、第9話。

ところで、この「同じこと考えてた」の「同じこと」とは、一体何でしょうか?

ここはシンプルに、以下の部分が「同じこと」だった、と考えるのが一番自然だと思います。

将也は今回、

1)硝子の進路を知らずに、自分の進路を決めた。
2)それがたまたま硝子と同じだと、後で知った。
3)硝子が自分と同じ進路を目指していると知って、とても恥ずかしい。
4)硝子と同じ進路に進みたいから理容師を目指したのではないから、誤解しないで欲しい。


といったことを硝子に話しています。
それに対応して、第59話あたりで硝子が考えていたことは、

1)将也と「憧れの理容師」の関係を知らずに、自分の進路を決めた。
2)憧れの理容師が石田母で、結果としてたまたま自分の進路が石田家の商売と同じだと、後で知った。
3)自分が目指していた理容師が石田母で、目指している進路が石田家の商売と同じだと知って、とても恥ずかしい。
4)石田家に入りたいから理容師を目指したのではないから、誤解しないで欲しい。


ということだったのではないかと思います。

つまり、将也と硝子、どちらも、独立した考えで理容師を目指すことを選択したにもかかわらず、結果的に相手と一緒になるためにそれを選んだとしか思えないシチュエーションになってしまっていて、きっと相手にもそう誤解されるだろうと思って恥ずかしかったのでしょう。

その類似性に気づいた硝子が、「同じこと考えてた」と言ったわけですね。
そう理解すると、第59話で硝子が将也に進路を伝えるとき、すごく恥ずかしがった理由もすとんと納得できます。
今回も、その「同じこと考えてた」を伝える前に、頭を「カシカシ」とかいて、かなり恥ずかしそうです。


第61話、12ページ。

それでも、はっきりと「一緒に頑張ろう」と伝える硝子、「うん」と答える将也、それを遠くから見つめながら応援する結絃…
この3人には、本当にいい関係が生まれているな、とあらためて感じさせる名場面でした。
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2014年11月18日

第61話・定例伏線ウォッチング

さて、いよいよラス前となった第61話ですが、ついにあの「ガーデンピック」の伏線が回収されました

1)将也関連
1a)将也は硝子への恋心を伝えられるのか → 第61話で最大のチャンスを逃しました。もうダメかも(笑)。
1b)将也は硝子に過去の過ちを謝罪するのか → 54話で謝罪。
1c)将也は硝子の自殺の理由を理解するのか → 54話の会話で回収されたと言えるでしょう。
1d)将也はガーデンピックのことを硝子に聞けるのか → 第61話でようやく聞けましたが…そこはその質問じゃないだろ!(笑)
1e)将也がつけていた×は外れるのか(植野・島田以外、モブ) → 第57話で外れました。
1f)将也がつけていた×は外れるのか(植野・島田) → 第58話で島田の×も外れていることが確認できました。
1g)将也は小学生時代への幻想から卒業できるのか → 第58話で島田と会っても動揺しなかったことで示されたといえるでしょう。
1h)将也は自己嫌悪を克服し前向きに生きられるようになるのか → 第57話で解決しました。
1i)将也の進路(もともと明確な希望がなかったが?) → 第61話で、将也も理容師を目指すことが示されました。

2)硝子関連
2a)硝子は将也への恋心を伝えられるのか → 第61話を見る限り、硝子からは言わなそうですね。
2b)硝子と石田母との会話(三者会談?)はあるのか → 55話では回避されました
2c)硝子は自身の障害を前向きに受け入れられるか(呪いの解消は成るか) → 54話で大きな進展、57話で解決したと言えるでしょう。
2d)硝子の進路(ヘアメイク関連に進むのか?) →第59話で具体的な上京の話が出てきました。
2e)硝子の補聴器が片耳だけになっている理由
2f)小学生の硝子がなぜ将也と友達になろうとしたか
2g)小学生の硝子が「死にたい」から立ち直った経緯
2h)硝子転校後も将也が孤立していたことを硝子は知ることになるのか → 第56話で高校での孤立は将也が伝えました。現状を考えるとこれで十分かもしれません。

3)結絃関連
3a)結絃の不登校は解消されるのか → 第60話でついに解消されました。
3b)結絃の写真コンテストの結果 → 第60話で、優秀賞を受賞しました。
3c)結絃は中性的な外見をやめるのか → 55話で髪のカットは硝子担当と分かりましたが…。
3d)結絃の硝子との新しい姉妹関係は描かれるか → 55話で自然な関係が描かれたと思います。

4)植野関連
4a)植野と将也との関係はどのように決着するのか → 第61話で、しっかりとした和解の会話がなされました。
4b)植野と硝子との関係はどのように決着するのか → 第58話で解決されたと判断していいでしょう。
4c)植野は映画撮影に参加するのか → 後半は参加しませんでしたが、上映会にはやってきました。
4d)植野の進路(東京の専門学校に進学?) → 第59話でコンテスト優勝、上京が決定。
4e)植野の中学時代はより詳しく描かれるのか。髪を切った理由は語られるか。
4f)健脚コンビの再登場はあるか

5)島田関連
5a)島田が中学になっても将也いじめを続けた理由 → 第61話で植野から語られた内容がそれにあたるでしょう。
5b)島田の現状(高校生?バンドマン?) → 第61話で、フランスでの音楽修業という進路が判明しました。
5c)島田が現在将也に対してどのような感情を持っているのか → 最終話で語られるかもしれません。
5d)島田は映画撮影にどう関わってくるのか → 純粋に音楽提供だけで終わったようです。
5e)島田と将也の再対面、対話はあるのか → 第58話で実現しました。お互いはお互いにとって過去の人に。さらに最終話でもう一度?

6)真柴関連
6a)真柴と川井との関係はどうなるのか → 第60話から、大学になっても今と似た形で続いていくようです。
6b)真柴は進路を変えるのか → 第60話で、教員になることを保留して大学に進学することが示されました。

7)映画関連
7a)映画は完成するのか → 第56話で完成しました。
7b)映画の内容 → 第56話で明らかになりました。
7c)将也・硝子は映画に出演する? → 第56話で確定。硝子は出演し将也は出演せず。
7d)島田の音楽はいつ使われるのか → 第56話で、明言されてませんが映画内で使われているようです。
7e)永束はこのまま映画関係の進路に進むのか → 第60話で、映画の専門学校を目指すことが示されました。

8)その他
8a)将也の病室にあるCDは「因縁のCD」なのか? → 語られることなく退院してしまいました。
8b)石田母のピアス引きちぎり事件は再度語られるのか → 第60話で東京行きを薦める石田母のコマで再度強調されました。
8c)佐原の進路、橋メンバーとのつながりは続くのか → 第59話でコンテスト優勝、上京が決定。
8d)竹内が手話を覚えている理由
8e)喜多先生の現状、結婚・妊娠しているのか
8f)広瀬の再登場、将也らとの対話はあるか → 第58話を見るかぎり、もうなさそうです。
8g)ペドロの再登場はあるか
8h)デラックスの再登場はあるか
8i)「鯉」による奇跡はまだ起こるのか


今回、植野が大きく登場したことは意外でしたが、植野ー島田ラインについて、思っていたよりももう一歩踏み込んだ伏線回収が、最終話を含めてなされそうですね。
今回も、植野が島田の救出劇や過去の将也いじめ、当時の島田の感情などを語ったことで、将也にとって「謎だったこと」がいくつか解決されたのではないかと思います。

さて、泣いても笑ってもあと1回、最終回のみです。まさに、「泣いて笑える」ラストを期待したいと思います。

「伏線回収」ということでいえば、まあまだ「告白」イベントが残っているわけですが、もう形式的な告白の有無は割とどうでもよくなってきました(笑)。
それよりも、将也と硝子、結絃、みんなの未来がどうなっていくのか、それがどこまで描かれて終わるのか、そちらのほうがずっと楽しみですね。
ラベル:第61話
posted by sora at 07:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする