2014年09月24日

第54話、将也の「告白」がイケメンな理由(3)

第54話の将也の「告白」が、ちょっと簡単にはマネができないくらい「イケメン」な理由について、いろいろ考えています。

3)ちゃんと「こえ」が伝わるように伝えている。

将也は、感極まって膝から崩れ落ちた硝子にメッセージを伝えるために、ちゃんと自分もしゃがんで硝子と目線を合わせて、それから語り始めています。


第54話、3ページ。

そういうことが当たり前にできて、まったく不自然さがありません。
ちゃんと相手の顔を見て、相手に伝わるように話す、そのためにちゃんと「手間」をかける、そういうコミュニケーションの根っこがしっかりできていることは、素晴らしいですね。

これは、小学校時代の将也が粗暴なガキ大将タイプで、そこからスクールカースト転落して、5年も孤立してほとんど誰とも話さずに過ごしてきたことを思うと、奇跡的だといえます。
(いったいいつ、こういう繊細なコミュニケーションセンスを身に付けたのでしょうか?(笑))

そのあとも、泣き崩れる硝子の肩に手をおいて「支える」姿勢を態度で見せたり、泣いてしまった硝子をあえて止めずにそのまま受け止めたり、自分の伝えたいことをただ一方的に伝えるのではなく、相手の「こえ」も聞き、ことばだけでなく態度でも示し、そうやって地道なコミュニケーションを着実に積み重ねていっているのも、すごいことだと思います。

もちろんそれだけでなく、将也がちゃんと手話をマスターしているのも、ふたりのコミュニケーションにバリアを生じさせないために大きな力になっていることは言うまでもないことです。

…まあ、それで硝子からじっと見つめられると目をそらしてしまったり、肩に手を置くとき、実は抱きしめようとしたのをやめていたりと、相変わらずシャイなところもあるんですが、そういう、せりふとか態度がイケメンで、行動がヘタレというのも魅力ですよね。(^^)


4)そして、ちゃんと謝罪している。

これは他のエントリでしっかり触れたいと思いますが、今回、硝子としっかり話す第一歩、最初の出発点として、将也にはこれまでどうしてもできなかった「過去の過ちに対する謝罪」が、今度こそしっかり、逃げることなくできました


第54話、5ページ。

謝罪を茶化すこともなく、このときだけは呼び捨てではなく「西宮さん」と呼んでいて、将也の真摯さが伝わってきます。

これもまたとても大きなことで、このあとに続いた「告白」の真剣さをしっかり支えていると思います。


このようないくつもの「イケメン」な要素が積み重ねられた、第54話での将也の橋の上での「告白」は、硝子の胸に深く突き刺さり、これまでにない最高の笑顔にさせました。
ようやくふたりの関係は、「友達ごっこ」ではない次の段階に進んだように思います。
ここからあと8話。お互いに「生きるのを手伝う」ことになったふたりの関係がどこまで進展するか、見守っていきたいと思います。

タグ:第54話
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第54話、将也の「告白」がイケメンな理由(2)

さて、将也の第54話での硝子への「告白」が、最高にイケメンだと感じる理由について、続けて書いていきたいと思います。

2)ちゃんと理由をつけて、「必要だ」というメッセージを伝えている。

将也の、「それを手伝ってほしい 君に 生きるのを手伝ってほしい」というせりふ。


第54話、15ページ。

これは、将也にとって硝子が「必要だ」という強いメッセージになっています

硝子は、高校になって最初に再会し、パン係として鯉にエサを与えているときの会話でも、「必要とされるのが嬉しい」と将也に伝えました。


第1巻26ページ、第7話。

そのときは「変なこと考えるんだな お前」と軽く受け流していた将也が、それから5か月後に、「俺が生きていくために君の存在が必要だ」と伝えることになるのですから、運命とは面白いものです。

硝子は障害ゆえに人生において多くの失敗を経験し、自己肯定感が低いまま成長してきています。(これは、障害をもった方全般に、必然的に見られる傾向だと思います。)
自己肯定感が低いと、「自分は生きていていいのだろうか」「自分はここにいていいんだろうか」といったネガティブな思考に傾くようになりますし、なにか失敗を繰り返してしまったときに「自分はここにいる資格のない人間なんだ」といったことを考えてしまいがちになります。
硝子が自殺を決行してしまったのも、突き詰めるとこの「自己肯定感の低さ」というのが大きく背景としてあるように思います。

そんな硝子にとって、「必要なんだ」と言われることが何よりも嬉しいことであり、自己の存在を認めてもらえるメッセージになることは、想像に難くないでしょう。
しかも、単に抽象的に「君が必要だ」と言われているのではなく、「将也がみんなと一緒に話す、遊ぶ」という、硝子にとっても「将也に実現してもらいたいこと」を「手伝ってほしい」という、はっきりした理由つきで「必要」だ、と言われているので、より確信をもって「自分が必要とされている」と感じられたことでしょう。

硝子にしてみれば、このメッセージを受け止めない理由がありません。
これは、硝子に対してパーフェクトに近い「愛の告白」になっていると思います。

こんなパーフェクトな告白が、こんな肩の力の抜けた優しいメッセージとして語れる(しかもたぶん無意識)なんて、本当に将也は天然のイケメン(ないしジゴロ)だなあ、と思うところです。
タグ:第54話
posted by sora at 08:20| Comment(4) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする

第54話、将也の「告白」がイケメンな理由(1)

第54話で、ついに将也が硝子に率直な心のうちを伝えました。
ダイレクトな「愛の告白」にはなりませんでしたが、そんなありきたりの直球よりもたぶんずっと「イケメン」な告白になっていると思います。

ここでは、私が考える、第54話の将也のイケメンな理由を、1つずつとりあげていきたいと思います。

1)「みんな」を大切にしつつ、硝子にだけ「特別な地位」を与えている。

ここがとにかく何よりもかっこいいな、と思いました。

将也は、「もっとみんなと一緒にいたい たくさん話をしたり遊んだりしたい それを手伝ってほしい 君に 生きるのを手伝ってほしい」と伝えました。


第54話、15ページ。

最初に「みんなと一緒にいたい」と言ったことで、橋崩壊後に「硝子だけと一緒にいたい」という依存状態になってしまったのとは違う、ちゃんと「みんな」との関係を大切にする、ということを硝子に伝えています。

それは、硝子にとっても「将也にぜひ実現してほしいこと」だったはずです。
「みんなと一緒に」のところを放棄してしまうと、それはまるで、硝子のいう「諦めた」状態と同じになってしまい、そんな状態でどれだけ「君と一緒にいたい」と言われても、それでは「橋崩壊事件後」と本質的に変わらなくなってしまいます
だから、最初に「みんなと一緒にいたい」から始まっていること、これが実はとても重要なわけです。

そして、そのあとに続くのが「それを手伝ってほしい」というせりふでした

このせりふが意味するところが分かるでしょうか?
つまり、将也は硝子に対して、硝子は「みんな」のなかには「含まれない」ということを言っていることになるわけです。

将也はここで、「みんな」対「俺たち」という構図を示しています。
そして、硝子を「俺たち」の側に入れて語っているわけです。

「みんな」を今まで以上に大切にして精一杯生きていきたい、そんな思いに続けて、将也は、その「みんな」以上に大切で特別な存在になってほしいと硝子に告げたわけです。

もはやこれは、硝子に「人生のパートナーになってほしい」と言っているも同然で、ほとんどプロポーズですね。

将也は、第2巻で硝子を捜索するときに「西宮のために命を消耗したい」と宣言して、結絃を赤面させました。
そのときも、ほとんどプロポーズみたいなせりふだと思いましたが、今回はそのときよりもはるかに穏やかな表現で、でもそのときよりも強い愛情のこもった「プロポーズ」になっていると思います。

いや、何度かみ締めても味わい深い、ほんとにいい「告白のせりふ」だと思います。
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posted by sora at 07:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする

第54話、まずは率直に「本当によかった!」

第54話では、将也の謝罪、硝子の謝罪、将也の事実上の「告白」など、見どころ満載の感動的な回になりました。

今回もいろいろ考察していきたいと思いますが、まず何より一読者として、

ふたりが初めて心からホンネで話し合えて、本当に良かった。

と思います。


第54話、16ページ。

これまでも、将也と硝子はたくさんの出会いと会話を重ねてきましたが、それらはすべて、自己嫌悪からくる鎧をお互いにまとったままのもので、それぞれが本当に思っていること、感じていることを必ずしも語っていませんでした。

その「ホンネとタテマエのズレ」が絶望的なまでに広がって、もはや修復不能なところまでいってしまったのが、橋崩壊事件後のふたりだったと思います。
将也が今回、7ページで語っているように、そんな「壊れているのに、壊れていないふりをしていた」ことが、結果的に硝子の自殺につながっていった側面もあったことは否定できないと思います。

そんなふたりが、さまざまなものを乗り越えて、お互いに「生還」して、「本当に大切なもの」に気づき、「奇跡のような再会」を果たして、そして何も隠さず、感情をぶつけ、ホンネで語り合った第54話。
ほんとにいい話でした。
将也の涙、硝子の豊かな表情、そのあと最後のふたりの笑顔もよかったですし、「生きるのを手伝ってほしい」という将也のせりふも、本当にかっこよかったと思います。
第23話の「それでいいから」とか、第2巻で結絃に言った「西宮のために消耗したいと思ってる 命を!」を超える、硝子への最高の愛情表現が込められたメッセージになっていると思います(ほとんどプロポーズですねこれは)。

これまでに積み上げられてきた鬱積を一挙に晴らすようなカタルシスあふれる第54話を、まずは一読者として心から楽しませてもらいました。

こんな素晴らしい作品に出会えたことに、感謝。(^^)
そして、明らかに物語が終盤に差し掛かっていることをひしひしと感じて、少し寂しい気分にもなりますね。
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posted by sora at 07:48| Comment(10) | TrackBack(0) | 第7巻 | 更新情報をチェックする