2014年09月14日

第52話、たった1コマの入れ替えで回収された意外な伏線とは?

第52話では、読みきり版では描写され、連載版では当初カットされていたシーンである、「ノート池ポチャ事件のときに硝子がいったん拾ったノートを絶望のあまりまた池に落としてしまう」というシーンが、ようやく描かれました。


第52話、9ページ。

ところでこのシーン、実はよく読むと読みきりと連載(今回)で描写が大きく変わっている部分があります
そして、それがびっくりするような形で、非常に重要なまったく違う場面の伏線を回収しているらしいことに気づきました。

それは、

筆談ノートを拾ったときの「笑うタイミング」

です。

読みきりでは、

1)池に落ちた筆談ノートを拾って、
2)笑顔になり、
3)転校日に筆談ノートで友達を作りたいと語ったシーンを思い出して、
4)絶望的な表情になり、
5)拾ったノートを池に再度落とします。


でした。
連載(今回)は、

1)池に落ちた筆談ノートを拾って、
2)転校日に筆談ノートで友達を作りたいと語ったシーンを思い出して、
3)笑顔になり
4)拾ったノートを池に再度落とします。


読みきり版を読むと分かりますが、読みきり版の硝子の笑顔は、「池に落ちたノートをうまく見つけられて良かった」という意味での笑顔です。
一方、連載(今回)のほうは、読みきりで「絶望の表情」をした場面で、逆に笑顔になっています
連載版の硝子は、「諦め」て絶望したところで、ふいに「笑顔」を見せているわけです。そしてこの後、自宅に帰った硝子は「死にたい」と結絃にもらします。

つまり、今回のこのシーンで読みきり版とは異なる演出がなされ、新たに「絶望し、自殺を意識したときに、硝子はふいに『絶望の笑顔』を見せることがある」という設定が示されていることになります。

さて、そうなると、「読み解きかた」が変わってくるシーンがあります。
硝子が「絶望」し、自殺念慮をもつ瞬間は、このまんがの中で2回あります。
1回目は、この小学校時代のノート池ポチャ事件で、筆談ノートを拾って、再度落とした瞬間です。
2回目は、橋崩壊事件後の「デートごっこ」で、「私といると不幸になる」と将也に告げて、将也が一瞬答えに詰まった瞬間です。

「1回目」の瞬間に、硝子は「絶望の笑顔」を見せていることが、今回分かりました。
では、「2回目」はどうだったでしょうか?


第5巻156ページ、第40話。

そうなんです、やはり「笑顔」を見せているのです。
このシーン、なぜここに「笑顔」が描かれているのかこれまでずっと分からなかったのですが、今回の描写によって、このデートごっこのときの「笑顔」も、かつてと同様、「諦め」て自殺を決意した硝子の「絶望の笑顔」(5年ぶり2回目)だったのだ、と解明されたように思います。

この読み解きが合っているとすれば、これはなかなかすごい伏線回収ですね。
「読みきり版から、たった1コマ笑顔のコマの位置をずらすこと」によってその謎解きが実現されているわけですから。
posted by sora at 08:54| Comment(3) | TrackBack(0) | 第6巻 | 更新情報をチェックする

第52話で復活した読みきり版の演出とは?

さて、第52話は硝子視点で、かつ第51話のような「空想」ではなく、硝子が経験した実際の過去の回想(「枠線問題」がありますが、これについては別エントリで書きました)が描かれたこともあって、読みきりでは描かれていて連載では削除された、いくつかの演出が「復活」しています

そのなかでも重要なのはこちらです。


第52話、9ページ。

硝子が将也に筆談ノートを池に捨てられた「ノート池ポチャ事件」のとき、硝子はノートを探すために池に飛び込んでいるにもかかわらず、学級裁判の日に池に落とされた将也は、池の中からその筆談ノートを発見します。

あのとき、硝子は筆談ノートを見つけられなかったのか?という疑問が(連載だけ読んでいる方には)残る場面ですが、今回、第52話で、

硝子はいったん筆談ノートを見つけて池から拾い上げるが、クラスメートと仲良くなるための筆談ノートが、実際には悪口だらけで池に捨てられるという現実を思い、絶望して、また池に落としてしまった。

という「真相」が語られました。

ちなみにこの「真相」、読みきり版のときは池ポチャ事件の流れで普通に描かれていたのですが、連載では省かれました。


読みきり版、29ページ。

これは、作者の大今先生がインタビューで語ったように、連載化にあたって視点を将也視点に限定したため、硝子視点でしか見えないエピソードはカットされたことによるものです。
今回、第52話にして硝子視点での回想が登場し、ようやくこの「連載で隠されたエピソード」が明かされました。

さらにこのシーンですが、よく読むと読みきりと連載(今回)で描写が大きく変わっている部分があり、それがびっくりするような形で非常に重要な伏線を回収しているので、それは別エントリでまとめたいと思います。

そしてもう1点、目立たないですが「読みきりでは掲載されて、連載ではカットされたエピソード(?)」があります。
それが、このシーンです。


第52話、10ページ。

将也が「友達になれるか?」と聞いて硝子がびっくりしてとまどうシーンです。

このシーン、連載版でもあったよ?と思われるかもしれません。
確かにあったのですが、そのときの描写はこうでした。


第2巻21ページ、第6話。

はい、硝子の顔が筆談ノートで隠れているんですね。
ノートで隠れた後ろで、硝子はこんな表情をしていたというわけです。

これも、読みきり版ではこちらの「横視点」でこのシーンが描かれていて、硝子の顔の表情がよく見えていたのですが、連載では「将也視点」とするために、ノートで顔の半分が隠れた硝子しか見えていなかった、というわけです。

今回のこれらの描写で、読みきり版では描かれて、連載では省かれていた描写は、ほとんどなくなったように思います。(あとは補聴器を最初に外に捨てられたときの硝子の表情とか、そのくらいでしょうか。)
ラベル:読みきり 第52話
posted by sora at 08:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 第6巻 | 更新情報をチェックする