2014年08月29日

第50話から考える、硝子転校の経緯とは?

さて、第50話では、将也のカースト転落後、将也の机を拭いている硝子を見て嫉妬した植野が、硝子いじめをエスカレートさせ、硝子を転校に追い込んだ、という話が描かれています。


第50話、7ページ。

ただ、これはあくまでも「植野視点」の話であって、描かれている内容が全部そのとおり正しいということには必ずしもなりません。
硝子の転校については、当時の担任の竹内が語っている内容もあり、それらもふまえて、「どういったことが起こったのか」について、推理してみたいと思います。

まず、将也によるいじめが硝子の転校の「直接の」きっかけになったとはあまり思えません
将也のいじめはきっちりと学級裁判で裁かれ、それ以降、将也は硝子いじめをやめています。
ですから、学級裁判以降は「終わったこと」になっていたはずです。
もちろん、この将也いじめのなかで、筆談ノート池ぽちゃ→「死にたい」の流れがあったことは見過ごせませんが、これ自体は硝子はなんとか乗り越えて明るさを取り戻しています。

そして、学級裁判以降は、島田らによる将也いじめが始まり、将也の机への落書きが始まりますが、これを毎朝硝子が消してしまい、それを見た植野が嫉妬して、植野による硝子への「非常に悪意に満ちたいじめ」が始まります。

また、島田らにより将也がいじめられ、植野により硝子がいじめられているなか、クラスの他のメンバーはすべてどちらについても「見て見ぬふり」をしていたのだと思います。
それによって将也は決定的に孤立し、硝子は孤立すると同時にクラスメートからのサポートを完全に失っていったと思います

その、植野による硝子いじめが続いているなかで起こったのが、将也との取っ組み合いのケンカだったのでしょう。
「ほりぇても かんぱってう!」というのは、(植野によるいじめが続いているなかでも、クラスで孤立していても)頑張ってるんだ、という、初めて腹を割ってぶつけた本音だったのかもしれません。
ですから、この将也とのケンカも、むしろ「ためこんでいた思いをぶちまけることができた」ことになっているはずで、転校の直接の理由にはなっていないはずです。
むしろ西宮母なども、「硝子が初めていじめっ子と戦った!やられてやり返した!」と喜んでいたかもしれないくらいでしょう。

では、いったいなにが硝子を転校せざるを得ない事態に追い込んだのでしょうか。

恐らく、最大の要素は、

クラスからのサポートを完全に失った結果、授業についていけなくなったから。

ではなかったかと想像します。

第1巻の前半、「うまくいっているころ」の描写を見てもわかるとおり、硝子が水門小の普通クラスの授業についていくためには、教師はもちろん、クラスメートからの相当のサポートが不可欠でした。(その世話役代表が植野でした。)
ところが、その「面倒さ」がたたり、クラスメートから硝子は孤立していきます。


第1巻85ページ、第2話。

これ自体は、将也による硝子いじめとは独立して進行していて、将也が学級裁判後に池から拾った硝子の筆談ノートを見ると、硝子をサポートしきれないクラスメートからの批判や悪口が6月くらいからは既に書き込まれ始めていることが分かります(その「サポート喪失」の流れを決定づけたのが、合唱コンクールだったのかもしれません)。

学級裁判後は、植野以外のクラスメートはあからさまに硝子をいじめることをやめたと思いますが、でも同時に、硝子とかかわることも避けていったでしょう。そして、クラス全体が硝子を「無視する」状態となっていったはずです。
サポートがまったく受けられない状態で授業を受けることは、硝子にとってはきわめて困難だったと思われます。

それに加えて、植野のいじめ継続も小さくない影響を与えたと思います。
西宮母や教師の竹内からみると、「いじめの主犯」だったはずの将也が「消えた」はずなのに、執拗ないじめが継続し、クラスメートからの無視もかえってひどくなったということで、「硝子いじめは実はクラス全体の行為である」ことを認めざるを得ない状況になったはずです。

このような状況が続き、またいじめ問題が表面化するようなことがあれば、竹内は教師として極めて厳しい立場に立たされます。
それまでも提案し続けていた「聾学校への転校」を、これまで以上に強く西宮母に迫っていったことは間違いないでしょう。

そして、西宮母も、将也なきあともいじめが続き、クラスメートから無視されて授業についていけず、担任教師からも強く転校を求められる状況を無視できなくなり、ついに竹内のすすめに同意、聾学校への転校を決意した、そんな流れだったのではないでしょうか。

そう考えると、確かに将也は硝子をひどくいじめたのは事実ですが、島田が中学で将也を孤立させるために流した「硝子をいじめて転校させた」といううわさはあまり正しくなく、また将也自身ももしそう思って罪の意識にさいなまれているとするなら、これは不幸なことだな、と思います
ラベル:第50話
posted by sora at 07:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 第6巻 | 更新情報をチェックする

西宮いじめを継続してたのは誰?

※以下は、第50話のリリースよりもずっと前に書いてストックしておいた記事です。
 第50話で「硝子いじめを続けていたのは、やはり植野」という答えが出てしまったのですが、せっかくなので投稿しておきたいと思います。意外と当たってるのはちょっと嬉しい(^^;)。
 <教訓>なぞ解き系のエントリはストックしておくとたいてい使えなくなる(笑)


聲の形のなかには、深く語られないけれども「現に起こっている」物語がたくさんあります。

そんな物語の1つでもあり、なぞの1つでもあるのが、「将也の転落後も硝子いじめが続いている」ということです。
将也がやっていたような暴力的ないじめは消えたようですが、教科書に「ブス」と書かれたり、下駄箱の上履きに花が突っ込まれていたりと、陰湿ないじめが続いていることが見てとれます。


第1巻150ページ、第4話。

考えてみると、これはなかなか不思議なことです。
「硝子へのいじめ」は既に、校長すら知っている問題となっています。
そして、その全責任は将也がかぶり、将也はスクールカーストを転落しました。
そんななかで硝子いじめを継続するというのは、大変にリスクが高い(教師に見つかるリスク、硝子の親から再度告発されるリスク、補聴器事件の責任が一部回ってくるリスク)行為であり、「空気」でやれるようなことではないように思われます。
さらに言うと、とっくに孤立してすでにカースト最下位レベルに転落していて、上がってこようとする気概もない硝子をわざわざいじめても「うまみ」もない、ということもあります。
言い換えると、リスクをおかしてでもやろうとする積極的な悪意がないと、硝子いじめを継続する動機にはならないと思うわけです。

そう考えたとき、そういう「積極的な動機」がありそうなのは…

うーん、これまでのストーリーを考えると、ぶっちゃけ植野しか考えられないんですよねえ…

植野だとするといくつか動機は考えられて、

・もともと嫌いだった。
・補聴器事件を学校にチクって大人を味方につけ、将也を転落させ傷つけた
・それにより自分も将也との関係が途絶えてしまった
・将也転落後も将也の机の落書きを消すなどして将也に媚を売っている
・どれも硝子自身にも原因があるのに、それを反省していない


みたいな感じで、植野に限っていえば、将也転落後も、継続して「西宮さんってムカツク」という認識をもっていてもおかしくないというわけです。

加えて、もしかすると、クラスのいじめの対象が将也だけになるより、同じスクールカースト最下位にもう1人いるほうが、いじめの矛先が分散して少しでも将也へのいじめが減るかもしれない、という、植野ならではの想いもあったかもしれません。

ともあれ、第21話で、植野が久しぶりに硝子を見かけたときの、意外なまでの口汚い罵りかたも、植野は硝子が転校する最後まで憎んでいて、その気持ちのまま時間が止まっていた、と考えると、自然な流れであるように思われます。
posted by sora at 07:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 第1巻 | 更新情報をチェックする

第50話までで、これまでの「謎のせりふ」の主が判明?

第50話の植野回(それに加えて第49話の真柴回)で、これまで謎とされていた、3つの「誰が言ったかよく分からないせりふ」の発言主がほぼ判明したと言えます。
そして、そのなかの1つでは、驚きのどんでん返しが含まれていました

その、「3つの謎のせりふ」とは、以下の3つです。

1)第4話で硝子の転校後、将也が悪口の書かれた机を見つけたときの「やっと気づいた?」


第1巻166ページ、第4話。

2)第39話の橋崩壊事件で植野が立ち去った後の「いくら善人になったつもりでも いつか報いは受けるんだな」


第5巻133ページ、第39話。

3)第42話で花火会場から立ち去る硝子を送った将也が耳にした「あれ 西宮さんじゃね?」


第5巻179ページ、第42話。

さて、このうち3)は、第50話の広瀬のLINEもどきからして、広瀬のせりふと取ってまず間違いなさそうです。
植野に「西宮さんいたじゃん」と送っていることから、このとき広瀬のそばに植野(と恐らく島田も)がいて、その2人に呼びかけたせりふだったのだと思われます。

次に2)ですが、これは真柴回の回想をふまえれば、真柴のせりふでほぼ間違いないでしょう。
真柴をいじめていた同級生が、のうのうと幸せになっていることにモヤモヤを感じていた真柴は、かつて硝子をいじめていた(と知った)将也が、高3になってその報いを受けたことに、強い納得感(「正しい」インガオーホー)を感じて、このせりふを吐いたのだと考えられます。

さて、そして1)です。
1)についてはやや推理が加わりますが、これは「植野」で決まりだと思います。
今回、第50話で、植野は、硝子が毎朝将也の机の悪口を消しているのを見て、いずれ硝子が「私が毎日消してました」と名のり出て将也の歓心を買うのではないかと疑っていたことが分かりました。
そのため、硝子を学校から追い出すためにいじめを続けた結果、硝子は将也と仲良くなる前に転校していったわけです。
植野にしてみれば心からせいせいしたのと同時に、将也と硝子がくっつかなくてほっとしたことでしょう。
そして将也が、硝子が転校してしまったその後で「やっと気づいた」(それまではずっと気づかなかった)ことに対する、植野の硝子に対するある種の「勝利宣言」が、この「やっと気づいた?」だったということになります。

ここで驚くのが、上記のように「判明」したことで、この「やっと気づいた?」の「気づく」対象と意味あいが、これまでの推理とまったく違ったニュアンスを持つようになっている、ということです。

これまでは、ここで「やっと気づいた?」と聞かれたのは、将也が「自分の机に毎日落書きをされていたこと」であり、硝子がそれを消していたことは、「硝子の善行」として、将也以外の多くの人が知っていたことだった、という風に解釈していました。
ニュアンスとしては「実はずっと君の机には悪口が書かれていたんだよ、君が思っている以上にクラスのみんなは君のことを嫌いだよ、西宮さんが消していて気づかなかったようだけど、やっと気づいた?」みたいな感じでしょうか。つまり、この発言は将也への「批判」だと想定していたわけです。

ところが、ここで「やっと気づいた?」と聞いたのが、硝子の行ないを密かに知って腹を立てていた植野だと考えると、「気づいた?」と聞いたのは、落書きされていたことというよりは「硝子が落書きを消していたこと」そのものだった、と考えたほうが自然になります。
つまり、「硝子の善人っぽい行ないにようやく今頃気づいたんだね、でももう硝子は転校していないから、硝子は硝子で今さら善人アピールもできないし、将也とくっつくこともなくて手遅れだけど」といったようなニュアンスでかけられた声だった、ということになる、ということです。つまり、この発言はむしろ、もはやそこにはいない硝子への「中傷」だった、ということになるわけです。

この「やっと気づいた?」の声が、将也への中傷ではなく、どっちかというと硝子への中傷だった、というのは、1巻の重要な場面であるあのシーンの印象を相当変えてしまう、かなり大きなどんでん返しだと思うのですが、いかがでしょうか。
ラベル:第50話 第49話
posted by sora at 07:20| Comment(7) | TrackBack(0) | 第6巻 | 更新情報をチェックする

すみません!今後は更新頻度が下がります。

当ブログにお越しの皆さん、いつもありがとうございます。

このブログ、文書量が半端ないので、空いている時間をめいっぱい使って書いているのですが、ここへきて仕事が急に忙しくなってきたため、ブログに割く時間をセーブせざるを得なくなってきました。

いちおう、今週の「植野回」分についてはそこそこエントリもストックできているのですが、概ね来週の新話がでてくる水曜以降、若干更新頻度等が下がってしまうと思います

また、いただいたコメントについても、レスできない日があったりすると思います。
申し訳ありませんが、ご了承いただければと思います。

限られた時間で、できるだけ中身の濃いエントリを書いていきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします!(^^)
posted by sora at 00:41| Comment(4) | TrackBack(0) | その他・一般 | 更新情報をチェックする