当ブログでは、いわゆる発売日前の「フライングのネタバレ」に関する話題は扱いません。フライングのネタバレとなるコメントはご遠慮ください。ご協力よろしくお願いします。(発売日後のネタバレはOKです。)

おすすめエントリ(最初はこちらからどうぞ)

2014年08月24日

第49話、植野の一言から垣間見えた「植野が恐れていること」とは?

第49話は「真柴回」ではあったものの、真柴の掘り下げはかなり控えめで、むしろそれ以外の登場人物にさまざまなドラマが透けて見える、興味深い回となっています。

そんななか、本エントリで注目したいのは、植野のこのせりふです。


第49話、2ページ。

「締めだしてるのよ!この部屋に入る資格のないやつをね!」
「西宮とかゆー お姫様のこと」


植野が、硝子には将也の病室に入る資格がない、と考えていることは、まあ植野の理屈としては理解ができます。

ちょっと不思議なのは、ここで唐突に「お姫様」ということばが出てきていることです。

植野からみると、硝子は常に将也から守ってもらっていて(自殺まで救ってもらっていますから)「お姫様」のように扱われている存在に見えているでしょうから、それを揶揄して「お姫様」と呼んだ、と考えれば、いいたいことは分かるのですが、今まで、植野にしても周囲の人間にしても、硝子のことを「お姫様」などと呼ぶことはこれまで一度もなかったと記憶しています。
なのに、なぜここへきて急に、植野は硝子のことを「お姫様」と呼んだのでしょうか?

そこには、植野がいま恐れていることがあって、その恐れが「お姫様」ということばにつながっているのではないでしょうか?

つまり、この「お姫様」というのは、

眠れる森の美女(ないし白雪姫)からの類推から来ているんじゃないか。

と思うのです。

眠れる森の美女は、(呪いにかけられて)昏睡しているところを、王子様にキスをされることで目覚め、目が覚めたときに最初に目にはいった王子と結ばれてハッピーエンドとなります。
(ちなみに「白雪姫」は、王子のキスではなく召使によって毒りんごが喉から出てくることで目覚めるのが「本当の話」のようなので、本当はそっちのほうがイメージに近いのですが「眠れる森の美女」のほうで書きました。)

男女の関係は逆ですが、植野は、硝子を将也のそばに近づけてしまうと、そこで将也が目覚め、最初に目に入るのが硝子で、そのまま硝子とくっついてしまうんじゃないか、ということを恐れているのではないかと思うのです。

植野はいろいろ理由はつけているものの、要は、将也が目覚めたときに最初に目に入る存在になりたい、そのことだけを考えているのではないかと思います。
そして、そういう存在になっていいかどうかには「資格」があって、それが自分にはあって硝子には絶対にない、と信じているのではないでしょうか。
植野の口から思わず飛び出した「お姫様」ということばは、そういう風に理解するのが一番しっくりとくるように思うのです。

もちろん、そういう童話への飛躍ではなくて、「いつも周囲から(あるいは将也から)ちやほやしてもらえて自分では何もしなくても幸せがやってくる人」といった意味での嫌味を言っている可能性もありますが、その意味ではすでに第44話で「性悪女」という別のことばを使っているんですよね。
ニュアンスとしては、この「性悪女」の意味をマイルドにしつつ、かつ「眠れる森の美女」の男女逆バージョンへの連想から、「お姫様」ということばを使ったのかな、という風に感じています。
タグ:第49話
posted by sora at 07:40 | Comment(8) | TrackBack(0) | 第6巻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第49話、硝子には「石田家跡継ぎフラグ」が立っているのか?

第49話で、石田母と遭遇するも、会話を拒絶されてしまった硝子ですが、実は「将来、石田家の理髪店を継ぐフラグ」が着々と立てられているように思われてなりません。

第49話で立てられたフラグは、ヘアメイクの雑誌でした。


第49話、5ページ。

この「HAIR HAIR」という冊子、第48話を読んだ時点では石田家の電話番号が広告として載っている病院備え付けのタウン誌かなにかかと思っていましたが、今回、硝子がずっと持ち運んでいて、石田母も読んでいるということから、硝子の所有物で、かつ、タウン誌ではなくヘアメイクの専門雑誌らしいことが明らかになりました。
硝子は、自分でヘアメイクの雑誌を買って読んでいるようです。

以前のフラグということでは、第36話で植野がデザインした難しそうな結絃の妖精の髪型を、硝子があっさりと仕上げて、口の悪い植野さえ「ふーん うまいわね」と誉めている、というシーンがありました。


第5巻83ページ、第36話。

そして髪型ということで言えば、うきぃ回のポニーテール、葬式会のアップ、そして第6巻の「覚醒」後のアップ(最後のは片手でやってるせいかボサボサですが)と、色々な髪型を器用にまとめています。

さらにもう1つのフラグ。

第29話で、西宮祖母が硝子と結絃を評して、「たとえ お母さんに色々言われてもさ ゆづも硝子も 自分でやりたいことを決めてる」と言っているシーンです。


第4巻115ページ、第29話。

つまり、「硝子はすでに進路を決めている」ということになります。
この「硝子が目指している進路」というのが、もしかすると理髪師ないし美容師である可能性もあるのではないか、と思われます。

さらにもう1つのフラグですが、第1巻の番外編、硝子が母と一緒にヘアメイクイシダでカットをお願いする場面、しっかり自分の希望を聞いてくれて、西宮母の要望よりもそれを優先してカットしてくれた、そんな石田母に硝子がとびきりの笑顔を返すシーンがあります。


第1巻66ページ、番外編。

この場面で、硝子にとって石田母が「憧れの存在」、ヘアメイクが「憧れの職業」になった可能性があるのではないかと思うのです。
(そう考えると、この番外編が物語全体のなかでどういう位置付けになっているのかもはっきりする気がします。)

さらにいうと、石田姉がヘアメイクイシダを継いでいないこと、将也も大学希望なのでこのままだと店の跡継ぎがいない状態になっていることも、「フラグ」を補強している気がします。

そんなわけで、硝子がヘアメイク担当として石田家の家業?を継ぐというフラグが次々と立てられているような気がしてなりません
posted by sora at 07:15 | Comment(9) | TrackBack(0) | 第6巻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第49話、真柴が川井についた「嘘」の中身とは?

第49話で、比較的わかりやすく示された「伏線回収」の1つとして、「真柴は川井の欺瞞と身勝手さを完全に見抜いていた」というものがあります。

それは、真柴と川井が会話する、このあたりの展開から分かります。

1)川井さん… 僕は 昔… まゆ毛の太さが普通じゃないって からかわれてたんだ…
2)それでさ… いじめってことで クラスで問題になってさ
3)先生はみんなを叱った 先生も僕のこと 面白がってたくせに
4)中には 自分は悪くないって 言ってる子もいて 罪のなすりつけ合いみたいになった
5)結果 僕のせいで みんなの関係を壊してしまった

6)そんな僕は みんなに負い目を感じるべきかい?
7)自分は悪くないって 言ってた人も?


第49話、11ページ。

8)そうか まあ 嘘なんだけどね
9)いやあ ただのたとえ話だよ みんな 勝手だなぁと思ってね…
10) 僕 含めて……


10ページ目から11ページ目の真柴のせりふを、全部重要なのでちょっと長く引用しました。

さて、ここで真柴はまず、1)から5)で自分が受けたいじめの話をしているのですが、8)で「嘘なんだけどね」と言っています。

では、1)から5)がすべて嘘なのでしょうか?

そうではないと思います。
どうやら、真柴は3)までは本当に自分が経験したことを言っていて、4)と5)は嘘(というか、9で言っているように「たとえ話」)を言っているようです。

では、どういう「たとえ話」かというと、

4)については、登校日事件〜橋事件で起こったことをたとえて言っているのでしょう。
「自分は悪くないって言ってる子」というのは、他ならない川井のことを指していることは間違いありません。


第5巻109ページ、第38話。

5)については、これとまったく同じことを言っている人がいました。
そうです、硝子です。


第46話、11ページ。

真柴は、硝子と永束の筆談ノートを見て(永束が詳細に書いていたので、真柴もそのときの様子をありありと思い浮かべることができたでしょう)、このせりふを発見したのでしょう。

そして、真柴は川井に問います。(9で言っているとおり、ここからは「嘘」ではなく「たとえ話」になっているわけです。)

6)の真意=「硝子は橋メンバーに負い目を感じるべきか?」

それに対して、川井は「そんなことないよ!あなたをいじめたクラスメートが最低なのよ」と答え、続く

7)の真意=「じゃあ、自分は悪くないって言ってた川井さんは?」

に対して、川井は「ぜったい ウソついてる その人!」と答えて完全に墓穴を掘ります

これを「たとえ話」から「真意」に翻訳すると、川井は、「硝子は橋メンバーに負い目を感じるべきか?」と聞かれて「そんなことないよ!(私を含む)橋メンバーが最低だったんです」と答え、「じゃあ、自分は悪くないって言ってた川井さんは?」と聞かれて、「私はウソをついてました」と答えたことになっているわけです。

この話の流れで、真柴はまったく川井にだまされておらず、冷徹に川井の本性を見抜いていて、それでも相手をしてやっているんだ、ということが明らかになったと思います。

もしかすると、川井の相手をしているのも、自分のことが見えていない「自分勝手な」川井のことを、あえてそのことを指摘せずに「ずっと見てや」ることによって、どんな問題や事件が起こるのかを興味深く見守って、それによって自分が「普通だ」ということを確認しようとしてきたのかもしれません。
そして真柴自身も、将也に近づいた動機だけでなく、川井に対する態度も含めて、自らの自分勝手さを10で「僕 含めて(みんな勝手だなあ)」と言っているのだと思います。

いずれにせよ、今回の第49話で、川井の真柴への想いは明らかに川井の片思いであることがはっきりしました。
この2人も、おそらく第7巻で完結するまでずっと、本質的に「通い合えない関係」のままで終わるんだろうな…と思われますね。
タグ:第49話 第38話
posted by sora at 07:05 | Comment(8) | TrackBack(0) | 第6巻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする