2014年08月15日

いよいよ明日は単行本第5巻の発売日です!

4巻から3ヶ月と、このシリーズにしては長めの期間があいてずいぶん待たされた感がありますが、聲の形のコミックス単行本、第5巻が、明日8月16日に発売となります!



第5巻は、あの永束の「全然絵のタッチが違う回」から始まって、あの…あの回までが収録されています。

そして、ミスリードを誘う表紙のふたりと、ミスリードを誘う帯の煽り文。
これは、明日は初めて単行本でこの5巻までの内容を読む方の阿鼻叫喚の声が聞こえてきそうです(^^;)。

ともあれ、いよいよ聲の形の物語、単行本も佳境に入ってきました。
私も、明日は特典がもらえそうな書店でさっそく手に入れる予定です。
うわさによると、結構連載のときと比べて修正が入っているそうなので、連載派でも楽しめそうですよ。
posted by sora at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 第5巻 | 更新情報をチェックする

第48話で垣間見えた、川井の本音とは?

第48話の川井回は、よくみると不思議な構成となっています。

この回、最初から最後まで「川井劇場」とでも言うべき、川井が自分が言いたい事をひたすら語ったりモノローグで考えたりし続ける独壇場になっているわけですが、その中身のニュアンスが、一箇所だけ明らかに異なります。

それは、このシーンから後の部分です。


第48話、14ページ。

この直前、硝子を「きれいごと」で激励していた川井が、同級生のLINEもどきで言われた「マジ気持ちワルイ」、橋事件のときに将也から言われた「心底 気持ち悪いと思う」を思い出し、一瞬硝子を抱きしめていた腕が緩んでしまいます。

そして、こんどは全然違う表情で硝子を抱きしめた後、それまでとはまったく違ったニュアンスの「激励」を語り始めます。

川井「だからね…つらいことがあっても いちいち気にしてちゃ だめ」
「自分の ダメなところも愛して 前に進むの そう…たとえば 自分はかわいいって…かわいいんだって…思うの…」
「だって そうしないと 死んじゃいたくなる…」


たしかその前の「きれいごと」のときは「苦しいけど それが命なんだよ いちばん大事なんだよ」と言っていたはずですが(笑)、ここでは「苦しいと思ったら死んじゃいたくなる」と、まったく逆のことを言っています。

これは、素直に解釈して、自分のもっとも痛いところを突かれて(それを思い出して)、つい本音が出てしまった、と考えるのが妥当でしょう。
つまり、他ならない川井自身が、「つらいことを気にしないようにして、ダメなところを愛して、自分はかわいいって思うことで、死にたくならないようにしている」ということなのだ、ということになります。

あれ、「自分はかわいい」…?

これ、最初の最初に出てきましたね。


第48話、2ページ。

1ページの後半から2ページまでのところで、川井のモノローグで、

私 本当は気付いてた 私が実は… かわいいってことに…

と語っているのです。

ここを素直に読めば、川井は本気で、自分のことをかわいいと信じて疑っていないと読めます。

でも、後半の「ホンネ」で、「自分はかわいいって思うの」と言っています。
しかもその直前で「自分のダメなところを愛して」と言っています。

ここからすると、川井は実は、「自分のダメなところを『かわいい』と思い込むことで自我を守っている」と解釈することもできてしまうわけです。

そう考えると、かなり前の第18話の、このコマにがぜん意味が出てくるように思うのです。


3巻73ページ、第18話。

川井は、小学校から高校にいたるまで、ずっと同じキャラを通しています。
が、この間には思春期もあり、さらには高3ともなると今度は「大人になっていく」ステップに入っていきます。

実は川井は、もはや自身が演じている(ないしは、周囲から目されている)「優等生キャラ(ないし、偽善者キャラ)」について、違和感を感じてきているのかもしれません。「きれいごと」ばかり言ってしまって、「本当に感じてることをいえない、相談できない(これも川井自身が言っていましたね)」のは、「自分のダメなところ」と思っているのかもしれません。

でも、それを修正して違うキャラになるにはイメージが固定されすぎていますし、自分自身も変われる自信もないのでしょう(実際、そういう自分に甘えている部分もあってそれを切り捨てる覚悟もないと思います)。

だから、そういう「きれいごとを言ってしまうような優等生キャラを続けている自分」を、「かわいい」と自分自身で思い込むことで、自分自身への疑問を断ち切り、これまでのキャラを演じ続けることで自我を守っているところがあるのかもしれません。

さらに考えると、川井の名前が「川井=かわいい」であるというのも、アイデンティティのすべてを「かわいい」でとりまとめていること自体がアイデンティティである、という、川井の生き方そのものを(メタ的に)暗示しているのかもしれませんね。
タグ:第48話
posted by sora at 07:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 第6巻 | 更新情報をチェックする

第47話から読み解く、佐原の「もう1つの発達課題」とは?(2)

前エントリの続きです。

佐原の対人関係における行動原理は「条件付き承認志向」、つまり、相手に何か「役に立つこと」を提供して、それによって相手や周囲から承認を受け、それで初めて自分自身が肯定される、という構造をしているようです。

この原理に乗せて、小学校時代の佐原不登校事件を読み解くと、こうなります。

1)佐原は、みんなに代わって手話を学び、硝子をサポートすると発言した。佐原は、硝子の「役に立」ち、さらに周囲の負担を軽くすることで周囲にも「役に立つ」ことで、硝子および周囲の承認を得ようとした。

2)ところが結果は意に反して、植野からの否定(さらにはクラスメートの植野への同調)という反応となり、「承認」を受けられなかった。

3)「承認」を受けられず、否定されたことで、佐原自身の「自己肯定感」が著しく傷つけられ、「自分がここに存在してもいい」という感覚が失われた。

4)結果、不登校となり、植野への苦手意識もあわせて生まれた。


思い起こしてみると、佐原は硝子と再会してから、いきなりみんなでカラオケに行ったり、プールに連れていったり、なぜか微妙に「接待」じみたことを硝子に対して行っています
これも、硝子の「役に立つ」ことで相手から承認され、それにより逆に自分の居場所を確認する、という、「条件付き承認」を受けるクセのついた行動だと言えなくもないです。

そして、高校に進学し、スタイルの良さで後輩から慕われるようになって以降は、後輩からの「スタイルがいいから」愛される、という「条件付き承認」を維持するために、高いヒールをはくことにこだわるなど、「後輩が期待する自分」を演出していることにも改めて気づきます。

植野に対しても、ここ数話で少し対等な関係になる以前は、まあぶっちゃけて言えば「植野にとって格下の便利な手下」的ポジションに甘んじ、植野の「役に立つ」ことで、「友達ごっこ」を維持していたような状態だったともいえます。

このように、佐原の行動原理は実はかなり明確に、条件付き承認ばかりを与えられて成長してきた(だからそういう承認を得ようと行動する)人間のそれとして設定されていることがわかります。

そもそも、第47話全体を通じても、「高めろ」とか「成長」とか、そういうことばかり言っていますし、佐原は基本的に「自分が自信を持ち、周囲からも認められ愛されるためには、資格が必要で成し遂げなければならないハードルがある」と考えているわけですね。

もちろん、こういう「成長志向」が悪いわけではありません、実際、成長すること、いろいろなことを成し遂げることは、社会で成功するために欠かせないことでもあるでしょうから。

でも、こういったメンタリティを持っていることは、「承認してもらえると思った相手から認めてもらえなかった」という状況に陥ったとき、脆さを露呈します

また長くなってきたのでエントリを分けて続けます。
タグ:第47話
posted by sora at 07:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 第6巻 | 更新情報をチェックする