2014年08月10日

第48話・定例 伏線回収ウォッチング

恒例のエントリですが、第6巻に入り各自視点回が続いていますので、もともと設定していた伏線リストとは関係のない新事実や伏線回収が続いている印象です。

1)特A級
1a)硝子の将也への恋心は届くのか。将也の硝子への恋心は自覚され届くのか。
1b)将也、硝子双方が持つ自己嫌悪は克服されるのか。
1c)島田の中学での将也迫害の理由、島田が将也に考えている(いた)こと
1d)小学校時代の硝子がなぜ将也と友達になろうとしたか
1e)硝子が自殺を決意するに至る(小学校からの)心情的経緯 →44話の手紙と45話の結絃の回想で語られました
1f)橋メンバーとの和解。誰と和解し、誰と和解しないのか。 → 46話、47話で、硝子-永束-佐原の人間関係が再構築され、48話では川井との断絶の可能性が示されました。
1g)将也がクラスメート全般につけている×は外れるのか
1h)硝子が「諦めていたもの」とは何だったのか→45話の結絃の回想から、かなり重いものである可能性が強まりました
1i)将也は、いつ硝子に過去の行い(いじめ)を謝罪するのか

2)A級
2a)硝子が植野に出した手紙の中身 → 第44話で明らかになりました
2b)硝子の補聴器が片方になった理由
2c)水門小から転校後の硝子の学校生活、交友関係
2d)なぜ島田はテキ屋になっているのか、ただのバイトなのか
2e)結絃カメラのゴクヒ映像はもう使われないのか → 47話からみると、自殺の映像はガムシロ組にも共有されたようです。
2f)結絃の不登校は解消されるのか、自称「硝子の世話係」を卒業するのか → 第44話、45話で「世話係」の自己像が否定されました。
2g)硝子が「死にたい」から1か月半程度で立ち直るまでの経緯

3)Aマイナス級
3a)真柴の正体、真柴の「同級生」
3b)結絃が死体写真ばかり撮っていた理由 → 第45話で明確になりました。
3c)ガーデンピックはいつ聞くんだ
3d)佐原のメール「成長を証明する」方法 → 第44話、45話での植野への振る舞いに明確に見えました。47話でも成長が示されています。
3e)竹内がなぜ手話を知っているのか
3f)ペドロはどこへ行った?
3g)広瀬のいま、島田・植野との関係
3h)将也が中学時代も孤立していたことを硝子は知ることになるのか
3i)映画はどうなるの? → 硝子を中心に再開されつつありますが、川井には否定されました。

4)B級
4a)喜多先生の結婚相手、喜多はいま何をやっているのか
4b)小学校時代、将也以外のクラスメートの硝子いじめの実態
4c)石田母の「優しさの中の厳しさ」はもう表現されないのか
4d)健脚コンビとは何だったのか
4e)デラックスってなぜ登場したんだろう、再登場はある?
4f)石田姉の顔出しはある?
4g)花火大会の「あれ 西宮さんじゃね?」の発言者は?


今回「伏線リスト」のなかで動きがあったのは、映画の進展と「橋メンバーとの和解」あたりでしょうか。
映画については、今回のビンタで、最後はネガティブに回収される(実現せず硝子が批判される)可能性が高まったと思います。
また「和解」については、川井と硝子との間に絶望的なまでのコミュニケーションの断絶があることが示されたことで、川井が「和解できない」側に入る可能性がかなり高まりました。ただし、硝子が最後に抱きしめ返している描写があり、それが「和解」の方向性なのか、「和解しないけれども距離を置いて共存する」という意味なのか、まだはっきりしません。

「リスト」の伏線回収がほとんど進まなかった一方、今回「川井視点回」だったため、これまでほとんど分からなかった川井の内面が明らかになっています。

なかでも一番はっきりしたのが、

・川井は、この物語でほとんど唯一に近い「自分が大好きなキャラ」である
・川井は腹黒キャラではなく「天然キャラ」である
・自分が受けたネガティブな反応や批判は、川井にとってはすべていわれのないバッシングで、自分は常に被害者だと思っている


ということです。
石田視点から見ていた川井は、八方美人でさまざまな策を講じて自分の立場を有利にする、腹黒い策略家であるかのように描かれていましたが、今回の第48話で、どちらかというと自分のことが大好きで、そんな自分をクラスメート全員から認めてほしくて努力している、どちらかというと「天然キャラ」であることが示唆されています。

小学校時代の学級裁判から始まり、8月5日の「記憶を捏造しないで」事件、さらに第48話での硝子への大演説と、「川井劇場」があちこちで繰り広げられていますが、どうやら本人は演技というよりも大真面目でやっていることもわかりました。

ただし、将也がいった「気持ち悪い」だけは、今回のLINEもどきでまったく同じく「気持ちワルイ」と指摘されたこともあって、ほとんど唯一、川井の胸に「刺さった」ようです。
その結果として、病室での「川井劇場」の後半は、タテマエで言ってるだけではない、川井の考え方・生き方の「ホンネ」が垣間見える内容となりました。

このあたりで、川井のキャラクターが非常にはっきりしましたね。
一方で、今回もまた「川井劇場」が展開され、相手方になっている硝子そっちのけで自分の言いたいことだけ語ってしまった川井は、特に「成長」が描かれずに保留された印象があります。
このあたりの再度の掘り返しも、今後出てくるかもしれません。(もしそういう展開があるとすれば、そのときのキーワードもまちがいなく「気持ちワルイ」でしょう。)
タグ:第48話
posted by sora at 08:19| Comment(4) | TrackBack(0) | 第6巻 | 更新情報をチェックする

第48話は「シリアスギャグ回」になってる?

今回、第48話は、もちろん物語全体の流れのなかでは、壊れた橋メンバーの関係を1人ずつ追いかけていく「各自視点回」の1つであることは間違いないですが、それとは別の視点として、連載1回分の読み物としては、「シリアスギャグ」を狙って遊んでいる回なのでは?と思わずにはいられません。

まず何より、連載でのみ書き込まれる(単行本では消える)冒頭煽りが、今回だけ明らかにおかしいです。

KOEKATA_48_001.jpg
第48話、1ページ。

学級委員長・川井。
その知られざる生態に迫る。


なんですか知られざる生態って(笑)。
これじゃほとんど珍獣扱いです。

そして、シリアスギャグは冒頭から炸裂しています。ページ末の

私 本当は気付いてた
私が 実は…


から、ページをめくって、

かわいいって ことに…

で鏡をとろんと見つめる大アップの川井(2ページ目の60%の面積を占拠)!


第48話、2ページ。

そしてここから、最後のページまで延々と川井劇場が続いていくのですが、このすべてが、

自分はツッコミの側だと思っているけど、実際にはすべてボケになっている

という、ギャグの構造になっています。

つまり、こういうことですね。

1)まんがのなかで「優秀で人気のある優等生」を自認して、
2)自分の周囲にある「おかしな問題」とか「間違ったことを言ってる人」(=ボケ役)に対して、
3)「正しく認識」して、「的確に行動」することで問題解決し(ツッコミ)、
4)ますます自分の周囲からの評価と人望が上がっていると認識している(自分ではツッコミ側だと信じて疑わない)川井さん


を見て、読者が、

2b)おいおい、それ別におかしくないし、間違ったこと言ってないぞ、と、「ボケをかましている川井」に「ツッコミ」を入れ、
3b)おいおい、その認識はおかしいだろ、その行動は間違ってるだろ、と、「ボケをかましている川井」に「ツッコミ」を入れ、
4b)ずれた言動で引かれているのに、「私って立派なツッコミ役だわ」と信じて「ボケをかましている川井」に、「お前がやってるのはツッコミじゃなくてボケだぞ」と「ツッコミ」を入れる。


という、二重構造のボケツッコミの様相を呈しているわけですね。

そういう視点から第48話をみると、最初の「私はかわいい」も、「橋事件」の回想で自分がいかに被害者だったかを再確認する場面も、病院ロビーで硝子を相手に「川井劇場」を展開する場面も、すべて「自分はツッコミのつもりの天然ボケ」の川井を読者がツッコンで楽しむ、というギャグの構造がきれいに守られていることに気づきます。

そしていうまでもなく最大のギャグは、川井劇場終了後、真柴のお世辞へのドヤ顔からの佐原の「後で説明するね」攻撃です。
さすがにまんがのなかでもここだけはつっこまれてしまっているという面白さ。

実は、第48話は、緻密に構成されたシリアスギャグ回だった!ということです(笑)。
タグ:第48話
posted by sora at 08:15| Comment(3) | TrackBack(0) | 第6巻 | 更新情報をチェックする